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hbkn
今回もでない⬇⬇⬇
ngkn、srkn
名前有モブとkntが仲が良い描写があります。
一切ないです。
(僕はただ、書類を自分のクラスへ運びに来ただけの男子生徒A)
そう。
僕は男子生徒A。
うんうん。
男子生徒……A。
何もおかしくない。
僕はただのモブ。
当て馬だけど。
(よし。落ち着け、風楽奏斗)
一歩。
また一歩。
三組の教室へ近づくにつれて、なぜか少しずつ緊張してくる。
現在地は四組の後ろの扉付近。
昼休みということもあって、四組の教室からは楽しそうな話し声が聞こえてくる。
そのせいか、まだ恋塚と雲雀の会話までは聞こえてこない。
二人がいるのは、三組の後ろの扉の近くだ。
そして僕は今、四組の前の扉。
距離にして、ほんの数メートル。
(近い……!!)
驚くほど近い。
こんなに近くまで来て大丈夫なのか?
いや。
僕は書類を運んでいるだけ。
何も悪いことはしていない。
堂々と通ればいい。
そう自分に言い聞かせながら、僕は二人の前を通り過ぎる。
雲雀にはバレなかった。
よし。
第一関門、突破。
そして、
聞こえた。
本命の声が。
「渡会君って、中学の時何してたの?」
「野球部してた!」
「へぇ、野球部なんだ……背高いと野球って有利になるの?」
「俺の場合ファーストやから、そうなるなぁ」
「へぇ、いいね! 私、野球部のマネージャーとかやってみたいんだけど──」
「…………」
いい。
とてもいい。
ものすごくいい。
僕は書類を抱えたまま、心の中で拳を握った。
(これだよ!!)
(これこれ!!)
僕が待っていた『VLT学園』の光景!!
恋塚が雲雀に興味を持って。
雲雀がそれに答えて。
そこから少しずつ二人の距離が縮まっていく。
完璧。
実に完璧な序盤イベントだ。
危うくその場に立ち止まってしまいそうになるのを、なんとか堪える。
(あと少し……)
(あと一年一組に戻るだけ……)
今日はもう十分だ。
むしろ大収穫。
この光景を見られただけで、今日一日の疲れが全部吹き飛んだ気がする。
さあ、戻ろう。
そう思って歩き出した。
「奏斗」
「……え?」
聞き慣れた声。
僕は思わず振り返った。
そこにいたのは、
「……ひば……?」
雲雀。
なんで?
なんでここにいる?
さっきまで恋塚と話していたよな?
しかも、まだ会話の途中だったはず。
マネージャーの話なんて、ここからいくらでも広げられそうだったのに。
「奏斗、それ重いやろ。半分持つ」
雲雀が指差したのは、僕が両腕で抱えている書類の束。
「え?」
「ほら」
僕の返事を待つことなく、雲雀が書類の半分、いや。
よく見ると、半分以上を持っていった。
「……ぇ」
あまりの突然の出来事に、僕は唖然としてしまう。
いや、待って。
なんで?
どうして?
(なんで雲雀、恋塚より僕を優先した……?)
頭の中で必死にゲームの記憶を探る。
確か、この辺りは雲雀と恋塚が少しずつ仲良くなっていく時期だったはず。
今の会話だって、まさにその流れだった。
なのに。
雲雀は今、僕の書類を持っている。
(……僕が通ったから?)
(僕がここを通ったことで、恋塚との会話より僕への興味に矢印が向いたのか?)
ありえない話ではない。
この世界に来てから、僕の存在がシナリオに影響していることは何度もあった。
そう考えれば
「奏斗、どしたん?」
「……」
いけない。
考えすぎていた。
「……なんで僕のところに来たの? 恋塚さんはいいの?」
「ん?」
「僕は平気だからさ。雲雀は戻っても──」
「……また」
「え?」
雲雀が足を止めた。
「なんで奏斗は、俺を頼ってくれんの?」
「…………!!」
やっべ。
ミスった。
完全にミスった。
そうだった。
さっきも同じ話をしたばかりじゃないか。
『俺じゃ頼りない?』
そう聞かれて。
『そんなことない』
って答えたばかりじゃないか。
なのに今の僕は、
『僕は平気だから戻って』
と。
思いっきり頼っていない。
(雲雀の地雷、踏んだ……!!)
「ご、ごめん雲雀。そんなつもりじゃ……」
「はぁ~……」
雲雀が大きく息を吐く。
怒っているわけではない。
ただ、少し困ったような顔をしている。
「……もういいわ」
「え?」
「この続きは放課後にするか」
「う、うん……」
少しだけ気まずい空気が流れる。
そのまま僕たちは、並んで一年一組へ向かった。
けれど。
僕の頭の中では、さっきからずっと一つの疑問がぐるぐると回っている。
(確か、渡会雲雀が恋塚ネネに惚れたのって、割と序盤だったはず……)
二人は同じクラス。
だから、もう普通に話すようになっていてもおかしくない。
むしろ今日の会話は、ゲームの流れとしてもかなり自然だった。
(だから……)
(この時期に雲雀が恋塚を好きになっていても、おかしくない……はず)
じゃあ。
どうして?
「…………」
隣を見る。
雲雀は何事もなかったかのように、僕の書類を持って歩いている。
その横顔はいつもと変わらない。
──いや。
よく見ると、さっきから妙に機嫌が良さそうな気がする。
「……やっぱり」
(僕が影響してるのか……?)
そう考えたところで、答えが出るわけでもない。
そんなことを考えているうちに、
気づけば、もう一年一組の教室前まで来ていた。
「あ、ありがとう雲雀。ここまでで大丈夫」
「……んー」
雲雀は少し考えるように書類を見る。
「いや、教室の中まで持ってくわ」
「え”」
思わず、掠れた声が出た。
「いやいや、ここからは僕が──」
止めようとする。
しかし。
「いーから、行くぞ」
僕の制止を待たず、雲雀はそのまま教室の中へ入っていった。
「…………」
案の定。
教室にいたクラスメイトたちが、一斉にこちらを見る。
困惑。
驚き。
そして、
雲雀へ向けられる熱い視線。
(……うん)
(流石、攻略対象)
(イケメンの力、すごいな……)
そんなことをぼんやり考えていると、雲雀が教卓の横にある机を指差した。
「奏斗、ここでいいか?」
「うん、大丈夫。ありがとう、雲雀」
「いいってことよ」
雲雀がこちらを振り返る。
そして。
またしても、満面の笑み。
「じゃあ、また放課後な?」
「うん。またね」
その瞬間。
雲雀が、ほんの少しだけ僕との距離を縮める。
「……またあとで」
耳元で、囁くような声。
「…………」
僕の思考が一瞬止まった。
そして。
「……ウン、マタネ」
なぜかカタコトになった。
「おう」
雲雀は何事もなかったかのように教室を出ていった。
──直後。
「「「……っ!!」」」
女子の方から、抑えきれなかったような甲高い悲鳴が上がった。
「…………」
僕は無言でその場に立ち尽くす。
……何?
なんで?
僕、今何かされた?
よく分からない。
とりあえず、定位置へ戻ろう。
僕は何事もなかったように藤田たちの元へ向かい、そのまま机に突っ伏した。
[……風楽、お疲れ様]
「それはどんな意味で……?」
[もちろん、色んな意味で]
「クソがぁぁ……!!」
[なぁ奏斗……聞きづらいんだけど]
平林が少しだけ言いにくそうに口を開く。
[奏斗と、あいつの関係ってなんなんだ?]
「え?」
顔を上げる。
「ただの友達だけど……」
[[…………]]
[[ご愁傷さまです]]
「え? え? さっきからなんなの……?」
[流石に俺でも分かるわー……]
平林が呆れたようにため息をつく。
[あいつが奏斗を見る視線で……]
[風楽、お前は鈍すぎる。この馬鹿林でも察してるんだぞ]
[おい! 誰が馬鹿林だって?!]
[お前]
[あ”ぁん?!]
また始まった。
いつも通りの藤田と平林のプロレス。
「…………」
僕は二人のやり取りを聞きながら、ぼんやり考える。
《あいつが奏斗を見る視線で……》
雲雀が、僕を見る視線?
何を言っているんだろう。
雲雀はただ、普通に友達として僕を見ているだけだ。
きっとそうだ。
そうに違いない。
…まあ。
考えたって、今の僕に答えが出せるわけでもない。
しょうがない。
しょうがない。
なんとなく、この時の僕はポジティブでいられた。
(今日の僕は、なんでも許せそうだ)
なんたって。
渡会雲雀×恋塚を、この目で見られたのだから。
「……ふふ」
思わず頬が緩む。
途中でちょっとした一悶着はあったけれど。
まあ、気にしない。
今日のところは、それでいい。
時間はあっという間に流れていった。
気づけば、もう放課後。
チャイムが鳴った途端、教室の空気は一変した。
部活へ向かうために慌ただしく荷物をまとめる者。
放課後にどこへ寄って帰るか、楽しそうに話す者。
それぞれが、それぞれの青春へと向かっていく。
そんな中。
かくいう僕は帰宅部。
そして現在、教室で一人、雲雀を待っている。
いや、正確にはまだ僕以外にも教室には何人か残っている。
けれど、その人たちは普段この時間まで教室に残っているような人たちではない。
だから、なんというか。
ものすごく居心地が悪い。
(……僕も部活とか入って、青春したいんだけどな)
せっかく、もう一度手にした高校生活。
部活に入って、汗を流して、友達とくだらないことで笑って。
そういう青春らしいことをしてみたい気持ちは、もちろんある。
だが、ここは『VLT学園』だ。
乙女ゲームの世界だ。
ならば僕には、やらなければならないことがある。
攻略対象×恋塚。
この尊き恋を、絶対に見届けなければならない。
それが僕なりのプライドだ。
僕がこの世界に転移してきた意味と言っても過言ではない。
まあ。
未だにまともなところを全然見つけられていないのだけれど。
「…………」
窓の外を見る。
グラウンドでは運動部が活動を始めている。
遠くから、楽しそうな声が聞こえてくる。
「風楽、またな」
「奏斗、また明日なー!」
声をかけられて振り返る。
藤田の隣には、当然のように平林。
こいつら、もう完全にニコイチだな。
「またね~」
僕が手を振り返すと、二人は教室の後ろの扉から出ていった。
その背中を見送る。
以前までは、僕も二人と一緒に寮の近くまで帰っていた。
それが、雲雀へのお礼として一緒に帰るようになってからは、別々に帰宅するようになった。
寂しくない。
そう言えば嘘になる。
けれど。
だからといって、それを口に出せるほどの仲でもない。
悪い意味じゃない。
むしろ、そういう気を遣わなくていい関係だからこそ、僕は二人といるのが楽だった。
「…………」
静かになった教室を見渡す。
さっきまであれだけ騒がしかったのに、今は妙に広く感じる。
窓から差し込む夕方の光が、誰もいなくなった机を淡く照らしていた。
(これから……雲雀が来るのか)
改めて考える。
すると。
「…………はぁ」
ため息が出そうになる。
昼休みの件がある。
あの時、雲雀に「僕は平気だから」と言ってしまった。
そのせいで、雲雀を少し傷つけた。
僕に非があったことは認める。
認めるけれど。
(だからって、教室であんなことするのはどうなんだ……)
昼休みのことを思い出す。
教室中の視線。
雲雀の満面の笑み。
そして、耳元での一言。
「…………」
思い出しただけで、なんとなく落ち着かなくなる。
教室には、僕を含めて三人しかいない。
残っている二人も、そろそろ帰る準備を始めている。
この時間帯まで教室にいるのは、基本的に僕一人。
そんなことを考えていると、
廊下から足音が聞こえてきた。
一歩。
また一歩。
少しずつ近づいてくる。
そして。
「奏斗、迎えに来たぞー」
「……あ、ひば……」
反射的に顔を上げる。
教室の入り口。
そこには、いつものように笑っている雲雀がいた。
「帰ろう、奏斗」
「うん」
僕たちは並んで教室を出た。
……うん、もう分かってたけど。
(めっちゃ気まずい!!!)
いつもなら、こんなにも無言が続くわけがない。
むしろ息をする暇もないくらい、どうでもいい話を延々としている。
それが僕たちなのだ。
なのに。
今日は妙に静かだった。
廊下を歩く足音だけが、やけに鮮明に聞こえる。
(……何これ)
(気まずい)
(ものすごく気まずい)
この空気には、どうにも慣れない。
僕は耐えきれなくなって、口を開こうと雲雀の方を向いた。
「ひば……」
だけど。
そこで僕は言葉を止めた。
雲雀の顔は、どこか力が入っていた。
頬が少し赤い。
いつもの余裕そうな表情とは違って、妙に緊張している。
しかも、よく見るとこめかみに小さな汗まで浮かんでいる。
「…………」
(……これは)
今、話しかけていい状態じゃないな。
僕の結論は、それだった。
そう思ってしまえば、さっきまで気になって仕方がなかった無言も、少しだけ苦ではなくなった。
きっと雲雀にも、何か考えたいことがあるのだろう。
そういうこともある。
うん。
あるある。
そんなふうに自分を納得させながら歩いていると
僕らが暮らす寮が見え始めた。
その時だった。
雲雀が、突然声を上げた。
「……奏斗、あのさ!」
「うわ!! えっ、あっ、何!?」
条件反射で、声が上擦る。
雲雀は一瞬だけ目を丸くした。
けれど、すぐに真剣な表情へ戻る。
「俺、いつか奏斗に言いたいことがある」
「……言いたいこと?」
「うん」
雲雀が前を向く。
その横顔は、今まで見たことがないくらい真剣だった。
「だけど、今は言えない」
「……う、うん」
何の話だろう。
妙に胸騒ぎがする。
けれど、僕が問いかけるより先に、雲雀は言葉を続けた。
「だから、その時まで待っててほしい」
「え?」
「俺、これから頑張るから」
「え、うん……が、頑張って?」
何の話なのか。
さっぱり分からない。
分からないけれど、今の雲雀の顔を見る限り、茶化していい話ではないらしい。
だから僕は、とりあえず当たり障りのない返事をした。
すると。
雲雀は、ふっと表情を緩めた。
いつもの。
屈託のない笑顔。
その笑顔を向けられると、なんだか妙に罪悪感が湧いてくる。
なんで僕が罪悪感を感じるんだ?
何もしてないぞ?
そう思っていると。
「奏斗、ありがとな」
「……?」
「絶対、他のやつには渡さないからな」
「…………え?」
最後の方は小さくて、よく聞き取れなかった。
「……今、何て?」
「ん? 何でもない!」
「いや、絶対何か言ったよね?」
「言ってない言ってない」
雲雀は笑いながら誤魔化す。
「…………?」
結局、何の話だったのか。
僕にはさっぱり分からない。
ただ。
昼休みの件も含めて考えると
これは、仲直りした……ということでいいのだろうか?
少なくとも、雲雀はもう怒っていないらしい。
僕の隣を歩く雲雀は、さっきからずっと機嫌が良さそうだ。
それどころか。
僕の方を見て、何度も嬉しそうに笑っている。
「…………」
(……まあ、いいか)
何が何だかよく分からないけれど。
雲雀が元気になったなら、それでいい。
僕はそう結論づけることにした。
……もっとも。
その笑顔に込められた意味を、僕だけが知らないことには
この時の僕は、まだ気づいていなかった。
「じゃ、行こっか」
「おう!」
そうして僕たちは。
いつものように並んで、寮へと向かって歩いていった。
hb編終了‼️
次回からはng編です。
hb編が思ってたよりも長くなったのでng編からは少し短くするかもです。
#hbkn
たべ
1,362
#にじさんじ
コメント
3件
またまたコメント失礼します🙌🏻✨今回も素晴らしい作品をありがとうございます‼️‼️kntくんの鈍感さが良すぎました😿💖ng編も楽しみにお待ちしております꒰^ ̳> ·̫ < ̳^꒱
コメント失礼しますm(_ _)m 朝起きて通知をみたときは驚きました!第5話も最高でした。これからも応援してます!
第5話、読了しました! 奏斗が「VLT学園」の光景を見られた喜びに浸る一方で、雲雀が恋塚との会話を途中で切って自分を優先したことに「なんで?」と戸惑うその感覚、すごく伝わってきました。読者としては「あ、これはもう完全に奏斗に気があるやつだ」と確信してしまうんですが、奏斗本人はまだゲーム脳で「恋塚×雲雀」を推し続けてるのが切なくもあり、可愛くもあり……。 教室で耳元に囁くシーン、あれは反則級ですね。放課後の「絶対他のやつには渡さない」も、小さくて聞き取れなかったという演出が絶妙でした。 hb編、お疲れ様でした。次はng編楽しみにしてます!