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血は地獄だ。
両親も
兄弟も
全て地獄だ
私は母の胎のなかから地獄に縛られている。
これからもずっと縛られていく。
お天道様では無く私は地獄に見られている。
「このえいがをなんかいみたらかえっててくる」
幼少期の記憶はいつも生温く心地の悪いものだった。母の帰りを待つ幼い子供が今もわたしの横にいる。身体全体が愛 している母を待つ女の子がいる。母の鍵穴に擦れる金属の音を一人で待っていたのだ。その音に気付かずに朝を迎えてしまう日にはどうしようもなく涙をこぼすのだ。母を待つ間に繰り返し見ていたあの映画が今だに好きな女がいる。私がいる。
「幼いわたしのかわり」
幼少期の記憶はいつも幸せなものだった。
父の関心を集めたくて必死になっている子供がいる。何千枚も上達しない絵を描き続ける子供が居た。出来損ないの、すべてを人並み以上に出来ない自分を愛してくれた父の愛情を忘れられずにいる女がここにいる。その愛情が自分ではない小さな子供に向けられていることに心底、しっとしているわたしがいる。その事実に目を背けていた自分がいる。
幼い子供の心の中に閉じこもっている自分がいる。父と母の一番大切なものになりたかった じぶんがいる。 しばらく経つと 二人には新しいたいせつなものがあるので私は必要が無い のだと割り切れるじぶんがいた。わたしがいた。
こころが苦しくなっても血がわたしを縛っているだけなのだ。愛で縛られて,鬱血しているのだ。