私はこの時代の魔王なり。名前はコラソン・フォルス。
コンコン
ドアが叩かれる音がする。
「はーい、どーぞー」
「失礼します、フォルス様。早速なんですが…「勇者の剣」が発見されたそうです。いか
がしますか?」
「…えー勇者とかどうでもいいし?いたって負けないし?どうでもいいかなぁ」
そう、私は極度のめんどくさがりなのである。魔王なのに。
「…まぁ何となく分かってましたけど…もう魔法陣用意してるので、行って下さい!」
「はい?」
もう用意されているだ…と?えー行かなきゃ行けないの?
「じゃあ変わりに君が行って剣を破壊してきてよ。」
「それは無理です。私たちじゃ到底無理ですね。」
はぁ。となると行かなきゃ行けなくなるのか…
「分かった。仕方ない準備する。三秒待ってくれ。」
三秒で支度をする。その定義は…「立つ」!
「よぉし。準備完了!」
「立ち上がっただけで準備と言うのでしょうか…まぁいいです。早速向かいましょう。」
ビューン。
魔法陣でどこかの森にテレポートした。
「この近くに勇者の剣と噂されているものがあるみたいです。」
「…それ本当に勇者の剣なのか?引っかかっているだけとかじゃ」
「そうですね。剣の周辺は柔らかい土ですから。恐らくそうでしょう。」
ふーん。あれ?これってまわりの土をどければ…早く帰れそうだな。
数分後。
「あれですね。フォルス様抜いてきてください。」
「…ふふっ。これ、土をどければ…アババ!?」
「あ、そう言えば余計なところにさわると電撃が流れるとか何とか…」
「先に言ってよ!」
名案だと思ったのに。くそっ、力でごり押すしかないのか。
「次こそはやるぞ…」
剣の柄を掴んで力を込める。抜けないなぁ…力の入れ方を変えて抜こうとしてみる。
スッ
「あれ?抜けた?」
『通知。勇者の剣に大きな適性のある《勇者》を発見しました。《勇者》の称号を授けます。』
…へ?
「…魔王が勇者の称号を取った。新展開の始まりですね!」
魔王と勇者ってほぼ反対な気がするんだが?勇者は魔王を倒す役職でしょ?
え…?こんなことある?
後日、魔王城にて。
もーの凄く面倒くさいんだけど、このまま放置するほうが嫌だから急遽会議をすることにした。
おれのこの面倒くさがりを知っているのは、幹部である4人だけ。この前勇者の剣のあるところへ同行した、通達者「ナイブラ」、全属性魔法を操る「フミカツカ」、武術の最凶「ケンブ」、証拠なんて一ミリも残さない暗殺者「スレイド」
だ。けれど…
「どうしてこんなにも人がいるんだよ!」
「致し方ないだろう、これからの動きにかかわるんだからな。」
「ケンブ!いますぐ帰らせろ!」
こんなに人がいたらだらける事が出来ないじゃないか!
「…無理」
「はぁ…ケンブ、許さないからな…」
おれはスキルを発動する。え?スキルって何かって?スキルとは人間の持つ素質。持っていないものもいれば複数持っているものもいる。そしておれのスキルは…「王なりし者」。効果は…人を動かす言葉の力を増加させる!
「皆の者!話をよく聞け!此度は私のために集まってくれて感謝する。そして…今回の議題は皆が想像している通りだ!案があるものは紙に書き、幹部四人の持っている箱に入れてくれ。以上!」
「はぁ。いつもあんな風にいればいいのに」
「聞こえてんぞ。」
あぁ疲れた。久しぶりだわ、スキルを使ったの。
それにしても…本当にどうしようかな。魔王と勇者が同一人物だなんて。
魔王と勇者が同一人物!? (0話)
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