{ー雪梅〝課長〟。新宿苑で、アドニスの仲間と思わしき人物が_}
無線から連絡が入る。
{りょ~かい。すぐ向かうね〜}
それだけ言い、無線を切る。
雪梅李菟。
新宿警察官でこの名を知らない者は居ない。
19歳という若さで、警察官をしている上に異例の早さである課の課長をしている。
それ程までに上からの信頼と期待は強いらしい。
「新宿苑かぁ」
呟きながら、パトカーに乗る。
ーー
新宿苑に着くと、場はシーンと静まりかえっていた。
アドニスは、退散したかもなぁ。
私は、見回りをする。
「、、、こういうの、私の担当じゃないんだよなぁ」
実際の所、私が受け持っているのは普段一般人を装い市民を監視することだ。
アドニスの奴らも一般人として、過ごしている可能性が高い。
私の居る署は、少しでも平和を継続するためにある。
それに、警察官でも〝特殊潜入捜査犯罪監視課〟ー略して〝潜犯〟を知る人は多くない。
いわば、警察署の影の部分だ。
「そろそろ、戻るかなぁ、、、、」
そう言い、後ろを振り向いた瞬間何者かに頭を殴られた。
「だ、れ、、、」
そこで、意識を失った_
ーー
「ん、、、」
頭が痛い。
なんだか、冷たい。
首に違和感がある。
「く、びわ、、、?」
そう声を発した瞬間ー
{ご名答です。雪梅李菟さん}
首あたりから、加工された声が聞こえた。
恐らくー嫌、確実に私は誘拐された。
「、、、誰。そして、何故こんなことをする」
{普段とは、口調が違いますね。あからさまな警戒、、でしょうか}
ガラにもなく、苛立つ。
声を荒げそうになるが、抑える。
「質問に答えて」
{そうですね_我々は〝アドニス〟}
その単語に顔を顰める。
{貴方には、猛毒入りの首輪を付けさせていただきました}
想定内。
ただ、首輪を付けるだけとはおかしい。
なら、毒を仕込むなり爆発物を入れるなりするはずだ。
{貴方には、遅効性の毒を打たせていただきました。今から10分間ー0時になるまでに解毒薬のコードを首輪に打たなければ貴方は死ぬ}
これも、想定内。
この首輪には、何かアドニスに関する物が入っているかもしれない。
私1人の犠牲で、事件解決に近づくなら喜んで死ぬ。
「、、、そんな回りくどいことをせずに、さっさと殺せば良いんじゃない」
{、、、}
首輪から、返答はない。
解毒薬のコードといっても、それらしい何かは見当たらない。
もし、私を生かす気でいるのなら誰かにこのことを知らせていると思う。
最初から殺す気でいたら、そのまま殺されて遺体の発見を願おう。
「死、、、か」
毒が効いてきたのか、体から力が抜けていく。
私は、抵抗することもできずに倒れ込む。
別に死なんて、怖くない。
「死んだら、天国かなぁ、、、w」
ううん。
多分、私は地獄に行く。
それでも、母さん達の所に逝けるならそれ以外は、、、どうでもいい。
流れに身を任せ、瞼が閉ざされていく。
ガチャッ_
「お前っっ」
誰かが、寄ってくる。
誰だ、ろ、、、。
「あ、なたは、、、」
next
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!