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吉田仁人side
楽屋に入るとみんなが一斉にこちらを見る。その顔は今にも泣き出しそうだ。末っ子1名はまだ泣いてるが。
「……仁人、さっきはごめん、きつく言いすぎた。」
勇斗がしょんぼりしながら謝ってくる。それがすごく可愛くて愛おしく思えた。つい笑みがこぼれる。そんな雰囲気じゃないのはわかってるがギャップがありすぎる。
なぜ俺が笑ってるのか分からないみんなは頭の上にはてなマークをいっぱい浮かべながら見つめてくる。
なぜ俺は今まで気付かなかったのだろう。こんなにまっすぐ素直に伝えてくれていたのに。全然気付かなかった。
もう聞くしかないな。
「みんなに聞きたいことある。素直に教えて欲しい。」
みんな何かを察したのか何も言わない。ただ不安そうにこちらを見つめる。自分で聞くのは恥ずかしいがこのままだとチームに良くない。俺はみんなの笑顔が何よりも大事で大好きなんだよ。
「みんな。俺の事どう思ってる?」
聞いた。聞いたぞ。これで違ったらほんっとに恥ずかしい。
みんな何も言わない。ただ下を見て拳を握りしめる。太智、そんなに強く握ったら跡つくぞ。これまた1人ずつ聞くしかないか?
誰がいちばん素直に答えそうかな。少し考えて俺はまだ涙をポロポロ流してる末っ子の元にゆっくり近付いてしゃがんで目線を合わせた。
「舜太。大丈夫。教えて欲しい。俺の事どう思ってる?全部受け止める。俺らもう何年一緒にいるの?ちょっとした事で壊れるような関係じゃないでしょ。」
「……っ!!!じんちゃーーん!!」
「うぉお!」
俺より大きい体が全力でのしかかってくる。なんとか受け止めて共倒れにならないよう力を入れる。舜太は俺にしがみついて泣いて泣いて。少し落ち着いた頃に話し出した。
「じんちゃん。ほんとにいいの?言ってもいいの?」
「うん、いいよ舜太。」
「うぇぇん!じんちゃん!好き!大好き!」
「うん、知ってるよ。」
合ってた。やっぱりそうだったんだな。この可愛い末っ子を俺はどのくらい苦しめてたのか。それは分からないが今その呪縛から解放された舜太は止まることを知らないように愛を伝えてくれる。俺の好きなところを何個も言ってくれるのは嬉しいがだんだん恥ずかしくなってきた。
落ち着いたのか舜太は俺から離れると肩に手を置いて深呼吸をする。その真面目な表情にちょっと緊張してしまう。
「じんちゃん。俺はじんちゃんのことが1人の男として好き。ずっと大好き。これまでもこれからも。」
「うん。ありがとう舜太。」
「よし!じゃあみんなも伝えよう!!!」
舜太の「みんなも」という言葉は俺の予想があってたことを示してくれた。誰から言い出すのか。俺から言った方がいいのか。
だんだん楽屋の雰囲気が明るくなってきたのを感じる。あぁ、良かった本当に。安心する。俺は何よりもお前らが大切だよ。だからもう苦しい顔はしないで。
…………やっぱり残りの3人も1人ずつ聞いた方がいいな。何も言わない3人に俺は待っていられなくなってしまった。
跡が付きそうなくらい強く握りしめている太智の手にそっと手を重ねる。すると安心したように力が抜けたため拳を開かせ、優しくマッサージする。
「太智。教えて?ゆっくり。ゆっくりでいいから」
「……っ。じんと……。」
「うん。なぁに太智。」
「……好き。大好き。愛してる。」
「うん。ありがとう太智。」
そういうと太智も目から涙が溢れた。小さい子を慰めるように優しく抱きしめ頭を撫でる。やっと言えるようになった安心からか、嗚咽しながらただ泣くだけの太智に胸が締め付けられる。
あぁ、ほんとにみんな一人で悩んでたんだな。
太智は落ち着いたのか柔太朗の方を見る。
次はお前の番だぞ。とでも言いたげだ。
俺が柔太朗の前に移動すると柔太朗は目に涙を貯めながらじっと俺を見る。あぁ、その顔もう見たくない。そんな辛そうな顔。
「じ、じんちゃん……。」
「うん。ゆっくりでいいよ。」
「うん……。じんちゃんこの前の約束覚えてる?」
「約束?あぁ、ハグの件?」
そういうと静かに頷いて下からこちらの様子を伺うように見つめてくる。今してもいいのか聞きたいのだろう。俺は黙って腕を広げる。
柔太朗はガバッと俺に覆いかぶさる。優しく優しく抱きしめられたと思ったらすすり泣く声が聞こえてきた。俺は黙って背中をさする。
「じんちゃん。大好き。好きだよ。」
俺にしか聞こえていないのではないかと思うほどの小さい声で囁く。柔太朗はそれだけいうとちょっとだけ強くそれでも優しく抱きしめなおすとすぐに離れた。
きっとはやとに気を使って早めに離れたのだろう。また後でたっぷり構ってやろう。
残すは1人。いちばん怖い目を向けてきた勇斗のみとなった。勇斗はいつもとは違う、愛おしいものを見つめる目をしていた。でも表情はどこか悲しげ。きっと勇斗のことだから今もまだ伝えることを迷っているのだろう。心配することなんて何もない。全力でぶつかりに来て欲しい。俺も全力で受け止めるから。
「勇斗。」
「……っ。仁人っ。」
「勇斗。ゆっくり。ゆっくりでいいよ。何も心配しなくていい。俺らはずっと一緒にいるんだから。これまでもこれからも。」
「っ!仁人…!好きだ。好きだ。愛してる。心の底から。」
「うん。知ってるよ。ありがとう勇斗。」
勇斗は今まで見た中でいちばん苦しそうに泣いていた。勇斗はソファに座ったまま泣き出してしまったため、全身を包み込むように抱きしめる。
全員が落ち着いた頃、4人とも今更恥ずかしくなったのか俺の顔を見ることができない様子だった。もじもじして。みんなこんなにまっすぐ俺だけを想ってくれていたのに俺はそれに気付くことができなかった。
ごめんなみんな。ありがとう。
comi
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#腐M!LK
コメント
1件
おお…第30話、読んだわ…。ついに仁人がみんなに「どう思ってる?」って聞いたんだね。舜太が「じんちゃん!」って飛びつくところ、めっちゃ泣けた…。みんなそれぞれの伝え方で「好き」って言えたのが本当に良かった。勇斗の苦しそうな泣き顔にも胸が締め付けられたよ…。のりもちさん、この感情の波を丁寧に描いてくれてありがとう。続きも楽しみにしてる!