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最終回楽しみ…… でも寂しぃぃぃぃ!! もうそろそろ終わりか…… 最後まで応援します!! あと、今回も最高でした!
第28話、お読みいただきありがとうございました!!
けちゃくんの目線でお送りします!
僕は、らおと名乗る赤く光る少年と本棚の世界の中を歩いていた。
🩷「ねぇ、なんでキミは僕の探している人がわかるの?」
🐯「らおだって。名前覚えてくれよ、一応これでもけちゃくんの恩人だよ?」
そう言って僕についてくる、光る紫陽花をまっすぐ指さす。
🐯「これが目印。この花はけちゃくんとけちゃくんの探している人を意味するんだ。そしてけちゃくんのいた世界の季節、すなわち今人間として存在するけちゃくんの記憶につながっている」
この紫陽花があの人と繋がっている、僕にはよくわからなかった。
🩷「らおくんは人間ではないの?」
🐯「こんなに光る人間は聞いたことないでしょ?俺らは天使の一族だよ、────彼もそうだった。」
らおくんの表情に陰りがさす。
🐯「昔、ここに一緒に暮らしていた相方がいてね、そいつに頼まれたんだ。この人たちを救ってほしいって。」
🩷「じゃあ、らおくんは僕がここに来ることがわかってたの?」
🐯「うん、知ってたよ。俺の相方の失態でけちゃくんたちの運命を狂わせちゃったからね」
僕の運命がその人のせいで狂った、と聞かれても僕には何もピンと来なかった。
それに、運命を狂わされた側の僕にも早く教えて欲しかったな。
🩷「その人、今どこにいるの?」
🐯「地球だよ。自分の人生を捨てて彼は人間として生まれ変わって、けちゃくんたちの元に行ったんだ。」
僕の元に人間として行ったということは、一度は会ったことがあるんだろうか。
🩷「もしかして、僕の知ってる人?」
🐯「ちぐさって名前の人、聞いたことない?」
ちぐが天使の一族。
あまりに現実離れした言葉に、僕はほんの少しの間、思考停止した。
そしてそこで、ここ最近のちぐの様子に理解ができた。
ちぐが僕を心配してくれるかのように僕の元を訪れていた理由、それは僕の運命を狂わせてしまったことによる罪の意識から来るものだったんだ。
やがて、ずっと向こうに見覚えのある影をとらえた。
通路の真ん中にぽかんとして立っている。
🐯「ほら、言っておいで」
そうやって、僕の背中をらおくんはポンと押してくれた。
🩷「わぁ!!ここにいた!!」
そうして、探していた、僕の大好きな人の胸に飛び込んでいった。
白い光に包まれた、と思ったら、僕はさっきまでいた本棚の森の中にいた。
あの人の姿はもうなかった。
さっきまでの焦りもなくなっていた。
🐯「けちゃくん?!」
あの後、姿を消したらおくんが再び現れた。
困惑しながら、僕の元に駆け寄る。
🐯「嘘、なんでまだここに。。。」
そうして、僕についてきた紫陽花を確認する。
🐯「あれ、さっきよりも光が弱まっている」
らおくんは焦っていた。
🐯「けちゃくん、さっき会ってきた人の名前、思い出せる?」
そう、顔はわかったんだけど、肝心のあの人の名前は思い出せないままだった。
🐯「まじかぁ。仕方ない、ちょっと飛ぶよ?」
らおくんの背中から大きな羽が生える。
赤白く光る綺麗な羽。
天使の一族と言っていたけど、いざ羽の生えた姿を見ると、彼が正真正銘の天使なんだと実感する。
そうして僕を抱えた。
ふわっと体が浮く感覚。
高いところが苦手な僕は、怖過ぎて思わず目を瞑った。
やがて、足の裏に沈み込むような感覚が起こった。
🐯「目開けていいよ」
そこは大きな海岸だった。
広い砂浜と静かな星の海。
🐯「ここから船に乗れば地球に戻れる」
波打ち際には、木製の小舟が横たわっていた。
🩷「僕、乗り物酔いしやすいんだけど、、」
🐯「大丈夫、地球と違ってここは荒れることもない静かな海。水の動きもなければ、天候に左右されない。だから、船酔いの危険はないよ。」
そうやって僕の肩をトンと叩く。
🩷「らおくんは、これからどうするの?ちぐに会えないままなんでしょ?」
🐯「天使は天使。人間は人間。もう会えないってわかっていて俺らは別れたから、大丈夫だよ。」
そう悲しげに微笑む。
大丈夫じゃないよね、僕だけ会いたい人に会いに行けるって不憫すぎる。
🐯「もう紫陽花の力が薄れている、時間がない。言って。」
らおくんは僕の言葉を遮るように背中を押した。
🩷「わかった。らおくん、ここまで連れてきてくれてありがとう」
海の彼方から聞こえる声。
💜(「また、まぜちって呼べよ」)
そうだ、探していたあの人の名前。
🩷「まぜち。」
僕はその人の名前を呟いた。
🐯「思い出したんだね、ほら、お行き、けちゃくんを呼ぶ人が待ってる」
僕は小舟に腰掛ける。
らおくんは、僕が船に乗ったのをみて、沖へ押し出してくれた。
そして、僕はただ一人、青く光る地球を目指して、海原へと乗り出した。
まぜち、僕は君を探しすために、この世界に召喚されたみたい。
悪魔のツンデレくんは、ほんと手のかかる奴なんだから。
まぜちもみんなも元気なのかな。
ちぐ、あっきぃ、あっちゃん、ぷりちゃん、、、
名前を唱えながら、一人一人の顔を思い浮かべる。
うん、忘れてない、今度こそ僕も戻れるぞ。
孤独な星の海の上。
だけど、心は不思議と孤独じゃなかった。
むしろ暖かい。
誰かが僕の手を握ってくれているような暖かさがした。
あとがき
次が最終話となります。
私自身がガチ泣きしながら書いている、いや、どんな状況よ。。。
明日のお昼に投稿予定です、お楽しみに!📣💜🩷❤️💛💚💙🌈