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〜side葛葉〜




3人で手を繋ぎ墓石の前に立つ




「大切な友人ならもっと早く連れて来てくれたら良かったのに」


「‥‥まぁね」


「この名前‥‥付けるくらいに親しかったんですね」



「かなえって言うんだ、コイツ。‥‥勝手にコイツの漢字貰って付けて悪かったな」


「いえ、俺もこの漢字と名前の響は気に入ってますから。ね、叶《かなた》」




俺はどうしても叶の漢字を付けたかった


自己満足でも良い

この子に叶を与えたかった


かなたは叶の墓の周りを、覚えたての歩きでペタペタと歩き回る




「凄いよな。一度歩き出したらこんなに歩き回れるなんて」


「かなたは早い方かも。ほら、かなた!こっちおいで」



かなたはロウに呼ばれ、隣にしゃがむ



「お兄さんに挨拶して?おてて合わせてナムナムして下さい」


「にーに?なむなむ‥‥」


「そう。お利口さんだな」



ロウの見様見真似で目を瞑り、手を合わせる



「ねぇ、花買って来るの忘れてない?」


「あ、そう言えば‥‥今度で良くない?」


「良くないだろ。来る時に見かけたから買って来る。近かったし」




そう言うとロウは早足でお店に向かい始める



俺はかなたを抱き上げ墓石に向かう




「デカくなったろ?お前にそっくりでビビってるよ俺は。‥‥帰りに婚姻届出してくるから。祝ってくれるだろ?」



俺が墓石に語りかけてると抱っこしてるかなたがバタつき始める



「ろーっ!ろーっ!」


「なんだ?ママが戻って来たか?」



かなたを下ろすとロウに向かい歩き出す


ロウはかなたの頭を撫でて手を繋いだ



ロウが抱えてる花束


真っ白な花束だった




「何となくのイメージで選んできたけど‥‥どう?」


「あぁ、ピッタリのイメージだよ。凄いな」




ユリとバラの花束は叶にピッタリだと思った



花を供え3人で拝む


帰ろうとするとかなたが墓石に戻りたがった




「にーに?」



墓石に手をかけ、後ろに向かい手をグーパーする

かなたのグーパーは人と別れ際にするバイバイだ




「何だよかなた。どうした?誰か居たのか?」




俺はかなたを抱き上げ墓石の後ろを見る


特に何もない



「何?何か居た‥‥‥‥?」



ロウが俺の腕にしがみつく

昼間なのに怖がりは相変わらずだ



「‥‥ビビってるか?」


「ビビって‥‥ねーし」



俺達がやり合ってる間もかなたは後ろを指さしてる



「お兄さんまだバイバイしてる?かなたも『またね』ってして?」



かなたはグーパーを繰り返して笑ってる



「お兄さん、なんか言ってる?」


「‥‥またねっ‥‥‥‥またねっ」


「そっか‥‥また来るからな、叶」



そう言うとロウもこちらを振り返り、一礼をした



「また来ますね‥‥‥‥叶さん」




久々にロウの口から聞く叶の名前


聞いた途端に涙が溢れてくる



俺は慌てて空を見上げる






すると後ろから季節外れの暖かい風が吹き抜けた




『ロウ達を幸せにしてくれてありがとう』




風の音に混じり叶の声が聞こえた気がした




「‥‥お前も幸せで居てくれよ」




俺の声も届いてたら良いな







END.


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