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第25話 絶対絶対!
朝の空気は、すっかり冷たくなっていた。
家を出ると、少しひんやりとした風が吹く。
道路の端には、黄色や茶色に色づいた葉が落ちている。
そして今日は――。
文化祭当日。
💚「たっつーん!!早くーー!!!」
💛「おー」
いつものように、たっつんが家から出てくる。
💚「ついに文化祭だよ!!」
💛「……せやな」
💚「楽しみだね!」
💛「俺は……」
たっつんが少し遠い目をする。
💛「女装が怖い」
💚「まだ言ってるの!?笑」
💛「当たり前やろ!!」
💚「絶対似合うって!」
💛「それが嫌やねん!」
💚「なんで!?」
💛「似合ったら余計恥ずかしいやろ!」
💚「あははは!」
💛「でも一番は女装やなくてバンドやからな!」
💚「絶対成功させよ!」
二人で笑いながら、学校へ向かう。
いつもの通学路。
いつもの学校。
だけど今日は、いつもとは全然違う。
校門が見えてくると――。
💚「うわぁ……!」
思わず足を止める。
校門には大きな文化祭の看板。
校舎の窓には色とりどりの飾り。
グラウンドには案内板やテント。
校舎の中からは、すでにたくさんの人の声が聞こえてくる。
「おはよー!」
「衣装どこ!?」
「看板こっち!」
「開会式もうすぐだよ!」
いつもの学校とは思えないくらい、賑やかだった。
💚「文化祭だーー!!」
💛「朝から元気やなぁ笑」
💚「だって楽しみじゃん!」
俺たちは教室へ向かった。
*
3年A組。
扉を開けると――。
💚「おおおお!!」
昨日まで準備していた教室が、完全に完成していた。
壁にはピンクや白の飾り。
机は綺麗に並べられ、メニュー表も置かれている。
写真スポットには可愛らしい背景まで用意されていた。
そして黒板には――。
『女装男装メイド喫茶』
大きく書かれている。
💚「すごい!!」
「おはよー!」
「今日頑張ろうね!」
「もうすぐ開店だよ!」
みんなが忙しそうに動いている。
俺も教室を見回す。
ここ数週間、みんなで作ってきたものが、ちゃんと形になっている。
💚「……なんか感動するね」
💛「せやな」
たっつんも教室を見回していた。
でも…
💛「……」
動きが止まる。
💚「?」
💛「いまから…女装…?」
💚「……」
💛「……」
💚「たっつん」
💛「なんや」
💚「着替えよっか!」
💛「……嫌や」
💚「なんで!?」
💛「分かるやろ!!」
結局、クラスのみんなに連れていかれ。
しばらくして――。
「じゃぱぱくん、着替え終わった?」
💚「うん!」
俺が教室に戻る。
すると。
「おお〜!」
「似合ってる!」
「かわいい!」
💚「ほんと!?」
どうやら衣装はなかなか好評らしい。
黒と白を基調としたメイド服。
リボンがたくさんついている。
胸には『じゃっぴ』と書かれたプレートが付いている。
俺が嬉しく(?)なっていると。
「たっつんくんは?」
💚「まだじゃない?」
すると、教室の奥から。
💛「……あの…」
たっつんが出てきた。
💚「…………」
一瞬、言葉が出なかった。
童顔でかわいらしい顔立ち。
少し高めの声。
そして、少し小柄な体格。
衣装を着ると――。
思っていた以上に馴染んでいた。
胸についてるネームプレートには『たつ子』と書かれている。
「えっ、かわいい!」
「たつ子ちゃん、めっちゃ似合ってる!」
「普通に女の子みたい!」
💛「…………」
たっつんが固まる。
💚「……」
俺は思わず近づく。
💚「たっつん」
💛「……なんや」
💚「めっちゃ似合ってる超かわいい、どした?」
💛「…やめろ!!」
💚「いや、ほんとに!」
💛「褒めんな!!」
💚「なんで!?」
💛「最悪!!」
顔を赤くしながら怒るたっつん。
その様子を見て、教室中から笑い声が起こる。
💚「あははは!」
💛「お前も笑うな!!」
💚「ごめんごめん!」
でも――。
たっつんがこんなに嫌がっていたのに、ちゃんと衣装を着てくれたことが、なんだか嬉しかった。
「あとはメイクだねー」
💚「メイクしてくれるの?人生初メイク!」
💛「……」
*
やがて。
「開店準備できたよー!」
「お客さん来るよ!」
文化祭が始まった。
3年A組のメイド喫茶にも、少しずつお客さんが入ってくる。
💚「いらっしゃいませー!」
💛「こちらの席どうぞー!」
「わあ、かわいい!」
「写真撮っていいですか?」
💚「もちろん!」
💛「……」
たっつんはまだ恥ずかしそうだけど、ちゃんと接客している。
「たつ子ちゃん、これお願いします!」
💛「はい!」
「じゃっぴ、こっちも!」
💚「はーい!」
教室はどんどん忙しくなっていく。
そんな中――。
🩷「こんにちは〜!」
💚「のあちゃん!」
のあちゃんがやってきた。
🩷「わぁ!」
俺たちの姿を見るなり、目を輝かせる。
🩷「二人ともすごく似合ってます!」
💚「ほんと!?」
💛「……」
🩷「たつ子ちゃん、噂に聞いたとおり、すごくかわいいです!」
💛「……もう帰ってええ?」
🩷「あはは!」
💚「たつ子ちゃん、今日ずっとそれ言ってるよね笑」
💛「誰のせいやと思ってんねん!」
のあちゃんは楽しそうに笑っていた。
🩷「じゃあ、二人とも頑張ってくださいね!」
💚「うん!」
💛「ありがとー!」
のあちゃんが教室を出ていく。
💚「よーし、俺たちも頑張ろ!」
💛「おう!」
文化祭は、まだ始まったばかりだ。
*
しばらくして、交代の時間になった。
💚「次どこ行く?」
💛「B組行ってみよ」
💚「ギャルカフェだっけ」
B組にはなんでも相談部ほぼ部員の(?)のあちゃんと生徒会長のもふくんがいる。
二人で3年B組へ向かう。
廊下を歩いているだけでも、いろいろな衣装の生徒が見える。
魔法使いの格好をしている人。
動物の耳をつけている人。
店の呼び込みをしている人。
💚「みんな楽しそう!」
💛「文化祭ってすごいな」
3年B組の教室に入る。
「いらっしゃいませ〜!」
そこには――。
🩷「あっ!二人とも!」
💚「のあちゃん!」
めっちゃ高いツインテール。
制服のボタンを第二ボタンまで空けてネックレスをつけてる。
腰にはカーディガンを巻いている。
ギャル姿の、のあちゃん。
💚「めっちゃギャルじゃん!」
🩷「今日だけギャルです!」
そしてその隣には――。
💜「……」
ちょっと困った顔をしたもふくん。
💚「もふくんもいる!」
💜「俺もやらされてる」
髪の毛をハーフアップにしてピアスや指輪をたくさんつけている。
💛「似合ってるやん」
💜「そう?」
💛「ちょっとうりりんみたい」
💚「それな分かる!チャラいもふくん初めて見た」
🩷「二人とも、せっかくだから座っていってください!」
💚「じゃあお願いしまーす!」
席に座ると、のあちゃんが注文を取りに来る。
🩷「何にします?」
💚「おすすめ!」
💛「俺もそれで」
🩷「じゃあ、おすすめ持ってきますね!」
のあちゃんが忙しそうに戻っていく。
俺たちは顔を見合わせて笑った。
*
次は――3年C組。シヴァさんがいる。
💚「お化け屋敷だ!」
💛「行ってみよ」
「こちらへどーぞー!」
青い髪の毛の男の子に案内され中にはいる。
教室の中は真っ暗。
入口からすでに不気味な音が聞こえてくる。
💛「……」
💚「たっつん?」
💛「全然怖くない」
💚「声震えてるよ」
💛「震えてない!」
中に入る。
しばらく進むと――。
🐸「……うぅ……」
💚「うわあああああ!!」
俺はとっさにたっつんに抱きつき盾にする。
💛「…へっ!?」
たっつんが固まる。
💚「びっ……くりした!!笑」
💛「う、うるさいなぁ」
🐸「……笑」
💚「……あれ?シヴァさん?」
🐸「正解笑」
💛「声で分かった笑」
🐸「怖かった?」
💚「全然!!」
💛「めっちゃ怖がってたやん」
💚「たっつんまで裏切るの!?」
🐸「ほらほら早く行かないと追いかけ回すよ?」
💚「やだやだ笑」
お化け屋敷を出る頃には、俺はすっかり疲れていた。
💚「文化祭、体力使うね……」
💛「まだまだこれからやぞ」
💚「えぇ!?」
*
その後も、俺たちはいろんなクラスを回った。
次は2年A組。
テーマは謎解き
💚「これじゃない?」
💛「違うと思う」
💚「じゃあこっち!」
💛「それも違う」
💚「……」
💛「じゃぱぱ、謎解き向いてへんな」
💚「えぇ?どゆこと?」
「ははっヒントいる?」
💚「王子〜助けて〜笑」
「ここはこうするの」
💚「なる…ほど?」
💛「わかってへんやん笑」
次は2年B組。どぬくくんのクラス。
テーマは射的。
💚「全然当たんない笑」
💛「夏祭りの時から変わってへんな」
たっつんが玉を撃つ
パンッ!
景品が倒れる
💚「おお!」
🤍「たっつん先輩すごーい!!」
💛「……よし」
💚「すご!!」
そして2年C組。ゆあんくんとうりのクラス。
テーマは迷路。
🖤「お、来たな!」
❤️「あ!じゃぱぱとたっつんじゃん!」
💚「うりりん!ゆあんくん!」
うりが入口で案内をしていた。
🖤「この迷路、結構難しいから気をつけろよ!」
💛「ほんまか?」
❤️「マジマジ!」
入って数分後。
💚「……」
💛「どうした?」
💚「迷った」
💛「早すぎるやろ!!」
🖤「だから難しいって言ったじゃん!!」
💚「出口どこー!?」
🖤「そっちじゃない!」
💛「こっちか?」
❤️「たっつんも違う!」
💚「うりりん!!どこ!?」
🖤「自分たちで探せよ!!」
結局、ゆあんくんに教えてもらいながら出口へ向かった。
……文化祭って、思った以上に疲れる。
でも。
楽しい。
すごく楽しい。
*
最後に向かったのは、1年A組。るなとえとちゃんのクラス。
フォトブースだった。
🧡「いらっしゃいませー!」
🩵「写真撮りませんかー?」
💚「撮る撮る!」
💛「俺も?」
💚「もちろん!」
💚「せっかくだし撮ろ!!」
俺たちは二人並んで写真を撮る。
🧡「じゃあ、笑ってー!」
💚「はい!」
💛「……」
🩵「たっつんさんもっと近づいてー!!」
💛「……はい」
シャッター音が響く。
💚「見せて!」
🩵「どうですか?」
💚「めっちゃいい!」
💛「俺写真苦手なんだよな〜」
💚「大丈夫だって!ほらかわいいから」
💛「かわいくない!」
💚「かわいいって!」
💛「うるさい!」
俺たちはまた笑った。
*
気がつけば、空は少しずつ夕方の色に変わり始めていた。
廊下を歩く。
さっきまであんなに賑やかだった校舎。
でも、まだ文化祭は終わっていない。
💚「楽しかったー!」
💛「ほんまやな」
💚「いろんなところ行ったね!」
💛「まだ行ってないところもあるけどな」
💚「じゃあ次は――」
そのとき。
🖤「じゃぱさん!たっつんさん!」
後ろから声がした。
振り返る。
そこには、ギターケースを背負ったうりが立っていた。
🖤「探したよ!」
💚「うりりん!」
💛「どうしたん?」
🖤「そろそろ俺たちの出番だよ」
💚「……!」
俺は思わず息を呑んだ。
今日は文化祭。
そして――。
俺たちのバンドも、今日が本番。
💛「……いよいよやな」
🖤「うん」
うりが笑う。
いつもの、ちょっとポンコツっぽい笑顔。
だけど。
ギターケースを背負った姿は、少しだけ頼もしく見えた。
🖤「絶対絶対…成功させよーな!」
💚「そうだね!」
💛「そうやな!」
🖤「よし!」
うりは体育館のほうを指差す。
🖤「じゃ、早く行こー!」
💚「うん!」
💛「おう!」
たっつんと二人で顔を見合わせる。
💚「緊張してきた」
💛「俺も笑」
体育館のほうから、マイクを確認する声が聞こえてきた。
「次のステージは――」
俺は、少しだけ胸が高鳴るのを感じた。
クラスのみんなと作った文化祭。
今日一日、たくさん遊んで。
たくさん笑って。
そして――。
これから、俺たち自身の番がやってくる。
俺たちがずっと練習してきたステージが待っている。
文化祭は、まだ終わらない。
むしろ――。
ここからが、俺たちの本番だった。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
ついに、文化祭当日です!バンドは無事成功するのでしょうか!
まだでてないメンバー様もちょっとだけでてます!笑
次回 振り返ってごらん ♡50↑
#からぴち
まい
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コメント
3件
ほわぁ、たつ子ちゃぁぁん!絶対かわいい、、、ファンアートとかやりたい、、、楽しみにしてます!うりりんも頑張れ!
ついに文化祭本番ですね!たっつんの女装、めっちゃ似合ってて「褒めんな!」って怒るところが可愛すぎました笑。のあちゃんのギャル姿や、お化け屋敷でたっつんに抱きつくじゃぱぱにもほっこり。最後、ギター背負ったうりりんの「絶対絶対…成功させよーな!」で一気に本番の緊張感が来ました。次が楽しみすぎます!