テラーノベル
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「こ、ここが都市部……」
「リティ、はぐれないでね」
ボロボロな家(?)を出た二人は、さっそく都市部--バリに来ていた。
バリは悪魔が多く、悪魔狩りも多い。
つまり、悪魔狩りのギルがいてもバレないのである。
「人が多いね」
「まあ。都市部だし?」
「正論言わないで」
二人は寄り添うように人波を歩く。
そして、ひっそりとした路地裏に入った。
「ここ?」
「うん。においがする」
悪魔は独特の気配があり、それをにおいで感じ取れるのがリティ。
ギルは魔力がない、悪魔狩り。
それでは、なぜ魔法が使えるのか。
なぜ悪魔が狩れるのか。
それはのちに解き明かされる、重大な秘密である。
「でも、あいつらではないよ。においが違う」
「じゃあ、なんで来たの」
ガックリしたギルに、リティはしーっと人差し指を立てる。
「静かに。なにか音がする」
耳をすませば聞こえる、何かの音。
食べる音。
壊す音。
衣擦れの音。
「誰か、いる?」
「たぶん」
ギルは刀を抜き、リティとともに、歩き出した。
足音を立てないように。
気配をなくして。
静かに、静かに歩く。
声のする方へと、静かに歩く。
「っ、ギル!」
音の方に一歩踏み出した瞬間、ギルとリティはなにかの力に吹き飛ばされた。
とっさにリティはギルの腰に手を回し、地面をけって後ろに下がった。
「けがは!?」
リティはすぐさま、ギルの頬に手をそえ、安否を確認する。
「いや、大丈夫」
そんなリティの頭をなで、ギルは刀を構える。
その背中を見て、リティは自分の眼帯に手を伸ばす。
「リザーー」
言い慣れた言葉を口にしようとした。
「ストーーーーーップ!!!」
その途端、どこからか女性の声が聞こえた。
「お、お願い! ここで魔法は使わないで頂戴!」
お腹が丸くなった、ボブカットの女性が音のした部屋から出てきた。
と、その女性の後ろから、物音ひとつ立てず、長身の男が出てくる。
その男を見た瞬間、リティはギルを下がらせた。
「な、なんで……」
リティの顔は少し青ざめている。なぜならー-、
「あなた、リリス……?」
本来なら生きていないはずの悪魔が、そこにいたからである。
「で? どういうこと?」
妊婦、フィラに案内され、目的の部屋へ入ったリティはまず、リリスを問い詰めた。
「あなた、なんで生きてるの? 死んだんじゃなかったんですか?」
「リティファー、落ち着け」
「その名前で呼ばないで。あともう一つ……」
「だから、落ち着けって、」
「うっさい。あと、なんであの妊婦さんからあなたの魔力が感じられるの? まさかとは思うけど……」
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#聖女
桜井正宗@オートスキル1巻発売
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20
リティは声をひそめ、小さく囁いた。
「あなたまさか、子供を作ったんじゃないでしょうね」
その瞬間。
空気が冷えた。
「いいか、よく聞け」
静かな殺気を、リティにだけ向けながらリリスは言った。
「あの女は、人間じゃない」
この会話は、二人――向こうで料理をしているフィラとギルーーに聞こえないように結界を張っている。
そのため、リティもいつもならば使わない言葉も使えた。
「何言ってんの? 頭腐ってんの?」
「あん?」
一オクターブ低くなった声をごまかすように、ごほん、とリリスは一つ咳ばらいをした。
どうやら彼も、普段使わない言葉遣いをしてしまったらしい。
「お前、変なにおいがしただろう?」
「うん」
「あれだよ、あれ」
「……もしかして、」
「お茶の用意ができたわよー! さあ、早くたべてちょうだい」
「「あ、はい」」
リリスは結界を解き、手を振るフィラのほうに歩いていく。
リティも後ろに続くと、どこからか氷のような視線を感じた。
(これは……)
リティもそこで気づいた。
ここは、異常であるということに。
そんなこんなで、「ギルとリティの悪魔狩りinバリ」は幕を開けたのであった。
コメント
1件
うわ、第3話、一気に不穏な空気が濃くなりましたね…! リリスが生きてるってだけで「えっ」ってなったのに、まさか妊婦のフィラからリリスの魔力が感じられるって…「人間じゃない」発言も含めて、まだ3話なのに世界観の裏側が見えそうで見えない、このじらし方が絶妙です。リティがギルをかばって眼帯に手を伸ばす構え、あれ毎回ゾクゾクします。次が気になる…!