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夜の風、
ちょっと冷たい。
カラオケ出て、
並んで歩きながら。
「楽しかったですね〜」
「思ってた以上に歌いましたね笑」
「海龍さんの声、落ち着きます」
狛、 楽しそうにぽんぽん喋る。
海龍は、
相槌打ちながらも、
内心はずっと同じこと考えてる。
(……もう終わりなん、早すぎへん?)
駅、
見えてきて。
歩く速度、
どっちともなく遅くなる。
立ち止まって、
少し間。
「……今日は、ありがとうございました」
そう言って、
一歩下がる。
そのあと。
ちょい、困り眉。
でも笑顔。
「……また」
一瞬、
言葉探して。
「また、一緒に会えますか?」
声、 ほんの少しだけ小さい。
一瞬で心臓持ってかれる。
(なにその顔……)
(断る理由ないやろ…っ!)
喉、
軽く鳴らして。
「……もちろん」
できるだけ平静装って、
でも声は優しく。
「俺でよかったら」
ぱっと顔明るくなる。
「ほんとですか!」
その笑顔、
夜の中でも眩しい。
「じゃ、……また連絡しますね」
「うん、待ってます」
別れ際、
手振って。
狛が見えんくなるまで、
海龍、立ち尽くす。
歩き出してから、
一人で小さく。
「……あかん」
「完全に、惚れたわ」
スマホ見て、
LINEのトーク開いて。
名前、
もう一回見て。
玄関のドア開ける。
靴脱いで、
電気つけて。
「……ただいま」
誰もおらん部屋。
ソファにバッグ放って、
はぁって息つく。
……で。
急に。
「……狛…、さん」
声、
思ったより普通で。
「……狛」
もう一回。
(…おれきもすぎ…っ)
誰も聞いてへんのに、
耳まで熱なる。
クッション抱えて、
顔うずめて。
「……狛、…今日楽しかった……デスネ」
言うてから、
自分でダメージ食らう。
(やっば……呼び捨て、破壊力えぐ)
(てか、俺一人でなに言ってんねん…あかん)
天井見上げて、
片腕目覆って。
さっきの声、
歌ってる横顔、
マイク渡した時の距離。
(デュエットもしてもうたし……)
「……幸せすぎやろ」
スマホ開いて、
LINEの名前見て。
しらはく…から、 狛。
指、
編集画面までいくけど——
「……まだ、あかん」
そっと閉じる。
布団入って、
小さく。
「……おやすみ、狛さん」
完全に恋。