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リリリリリリリリ……
「う……うーん……?」
リリリリリリリリ…………
「ふぁ……ん……」
リリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ……
「うっせえわ!」
隣にあった目覚まし時計。見てみたらもう……え?10時?
(あのBBAめ……起こしてくれよ……)
そう思いながらリビングに入っていく足。しかし、自分の足音以外聞こえない。気配すら……ない。
「おいかーさ…………えっ?」
俺の下に見えているのは、えっと……赤黒い……どこからどう見ても血。えー……この血は……倒れた母親から流れている。
「っ……はあ!?おいとーさんは!?那乃は!?」
……返事は返ってこない。
「あっ……えーと……だ、大丈夫ですか?大丈夫じゃないですか、そーですか……救急車呼ぶよ?」
確か110……じゃなくて119だっけ。わかんないけどとりあえず連絡しなきゃ!
とりあえず救急車が来てくれて助かった。とーさんと那乃は捜してもいなかったので諦めた。
俺、柊耀太は……制服を着て学校へ向かっている。
ちなみに通っている学校は平凡な私立高校。過去には日本一頭が良いと言われるあの大学に受かった人もいたらしいけれど、全体的に頭が良いわけでもない。
道行く人の怪訝な目を避けながら、俺は少しだけ考えごとをしていた。
俺には現在中1の妹、那乃がいる。しかし彼女は約1週間前に突然行方不明になり、現在も警察が捜査を続けているそうだ。そして、今回起きたかーさん死すとーさんどこやねん事件も、なんとなくそれに関係していそう……。
(結局……俺はひとりぼっちかよ……)
ため息をついた。その時、目の前で俺は見た。
(あのトラック……信号無視してやがる……?)
信号無視だけじゃない。道路交通法を完全に違反しているぞあの運転手!……ん?前にイヤホンを付けた女性がいる……まずい、あのままじゃトラックに轢かれる!
……助けたい。そう思った。
「やめっ!」
叫んだ。響いた。止まった。……え?止まってる!?
パトカーの音が聞こえる。誰かが通報してくれたのかな?この時の俺はまだ気づいてなかった。味方なんて来なかったことを。
女性はぴくりとも動かずにただ呆然とそこにいる。トラックは動かずにまだ止まっている。警察が最初に声をかけたのは……俺だった。
「君、なんでこんな時間に外に出歩いているの?」
「えっ!?いや、普通に寝坊して今から学校に……」
「学校?どこの?」
「宝光学園です……」
「じゃあ電車使わないとでしょ、駅は反対方面だよ?」
「そ、そうですけど……!」
「……君がやったの?あれ」
「え、そ、そんなわけないじゃん……」
「君、もしかして異常発現者……ねえ、署に来てくれる?」
優しい口調だった。でも口調が優しくたって……目が怖ければ、それはもう凶器と化すのだ。
(……逃げなきゃ)
咄嗟の判断。これで良かったのかなんて知らない。ただ、警察のいない方向へ走った。なるべく警察から遠ざかる。交番に連れて行かれないように。無実を証明するために!
後ろから激しい足音が追ってくる。これは人生終了を賭けた鬼ごっこだ。休む暇なんかない……!ない……けど……。
はぁっ……はぁっ…………反吐が出るくらい追っかけ回されて……もう……走れねえ…………。
それでも俺を探す足音は止まなかった。
……あ、だめだ。捕まる。そう思ってた。
「……お話聞くから着いてきませんか?」
可愛らしい声。振り返ると、もう警察はいなくて、代わりに小柄な女の子がいた。
「お前……警察か……!?」
「まさかまさか!ぼくは天使、あなたを救いに来ました」
「天使ってことは俺……死んだの……?」
「か、勝手に死なないでください!ぼくはただ着いてきてほしくて……」
「ふーん……よし!行くぜ!」
「判断が早い!」