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side:ur
どうしても、叶えたかったものがあった。それは他の誰もが関与して叶えられるものではなく、自分の手でしか掴むことの出来ないもの。
ya「おいうり!お前また俺のお菓子食っただろ!」
ur「食ってねーし!証拠でもあんのかよ」
ya「お前の部屋のゴミ箱」
ur「…ま、また買えばいいじゃん!」
ya「ふざけんな!今食いたかったんだよ、今!」
ur「はいはい、買ってきますよーだ」
ya「当たり前だろ、早く買ってこいよ? 」
ur「へいへい」
昔と環境は変わり、今はゲーム実況者として、そしてそのグループのメンバー達とシェアハウスをしている。今のあいつはその中の一人、ゆあんという名前で活動している、俺より5歳も年下のガキ。喧嘩ばかりでよく揃って怒られることは日常茶飯事。反省せず2回戦を始める瞬間にはもう手が出されるほど。
今回の件は全面的に俺が悪い。渋々と立ち上がれば、ゆあんくんはふてぶてしい様子で俺を睨みつけている。どんだけ食べたかったんだよ、という言葉は飲み込んだ。もうすぐ20歳だというのに、中身はまだまだガキのまま。さすが最年少とでも言うべきか。
ur「はぁ、あっつ〜…歩道に出るまでどんだけ距離あんだよぉ……」
どでかい玄関から外に出れば、そこはもう熱気の漂う石の上。無駄にでかいこの豪邸は買う前は嬉しくて堪らなかったが、夏場のこの欠点はどうにかして欲しい。
ようやく歩道に出たかと思えば、そこは1面コンクリートに囲まれているせいで余計に暑い。日焼け対策の日傘の下でもこんなに暑いのなら、傘を下ろせばどんなに暑い事か。
徒歩5分程度のところにあるコンビニで、俺が食べたものと同じものと、食べながら帰る用のアイスを買って外に出る。相変わらずの暑さに体まで溶けそうなほど。まだ7月頭だと言うのにもう真夏日、最近の地球温暖化は酷く悪化している事が言われずともわかる。
そんな事を考えていればショルダーバッグに入れていたスマホから音が鳴る。そのままスマホを取りだし手画面を見ればじゃぱぱと書かれた文字に着信という文字。その電話に出れば相変わらず大きな声が電話越しに聞こえ始める。
jp『うり!大丈夫!?』
ur「何が?」
jp『お前、自分が熱いのダメな事知ってる?』
ur「あー、まぁちょっとだし大丈夫、もうすぐ家着くし」
jp『そう?なら…てならんから!もっと危機感持ってよ!』
ur「はいはい、相変わらず心配性だなぁ…」
jp『俺はうりのためを思ってーッ!
ur「…ま、あと5分だし行けるっしょ」
電話を切りながら、相手には聞こえないであろう言葉を呟く。スマホを鞄の中へと戻し、傘を両手で持ち早足で向かっていれば見えてきた豪邸の草垣が見え、それと同時にこちらを仁王立ちで睨みつけている人が立っていた。思わず足が止まり、顔が引き攣っているのがわかる。
ur「あー、ただいま?」
tt「ただいま、じゃないやろ!なんで誰にも言わず外出んねん!」
ur「いやぁ…ゆあんくんのおつかい?」
tt「だからって…せめてのあさんには言っといてや、今やばいことなってるから」
ur「肝に銘じます…」
腕を捕まれ、駆け足で玄関へと向かえばそこにはまた仁王立ちで待ち構えていた2人。もう見飽きたこの光景。
たっつんさんの腕を振り払おうにも、生憎外で思うように体は動かない。諦めて鬼の形相の2人のところに行くしかない。
na「うりさん!なんで何も言わず外に出ちゃうんですか!」
ur「いや、」
jp「途中で電話切るとか、本当に心配したんだからね?!」
ur「それはごめんじゃん…?」
na「反省の色が見えません!罰として今日の晩御飯は焼き魚です」
ur「え”っ?それは違うじゃん!ほんとごめんってぇ…」
jp「自業自得だからね、残したら明日の朝ごはんになるから」
na「じゃぱぱさんの言う通りです、食べ切るまで目を離しませんからね」
ur「そんなぁ……」
肩を落としていれば、隣で声を殺して笑っているたっつんさん。他人事ではあるが酷い事だ。そして俺をおつかいに行かせた当の本人は階段の踊り場でニヤニヤと嫌な笑みを浮かべている。このクソガキ。
ya「いやぁ、ごめんねうりくん!」
ur「ガチ許さん…」
ケタケタ笑いながら俺の買ってきたお菓子を椅子に座って回りながら頬張っている。
だが、このシェアハウスの中で唯一ほかと対等に関わってくれるのがゆあんくんただ1人だけ。1番心を許している人。信頼している人。
ya「ごめんって、もう無理させないから」
ur「別にあれくらいなら…」
ya「嘘、既にちょっと溶けてんじゃん」
ur「え?…うわ、まじじゃん」
「ごめん、冷やせるものない?」
ya「そこのウォーターサーバーで冷えた水なら使えるけど」
ur「おけ、借りていい?」
ya「お好きにどーぞ」
許可も得たことで、俺はタオルをウォーターサーバーの蛇口部分に添え、冷えた水を出す。少量の水を染み込ませたタオルを溶けている右の手の甲を冷やしていく。冷やしている間は動くことも出来ないので、毎度他愛のない話をする。
普通じゃないこの体。治ることの無いこの病気。普通に戻れない俺。
いつか、お前と太陽の下で歩くことが出来たなら……
初めまして、無です。
1年ほど前くらいにある名前で活動していたんですが、krptのnmmnルールを見て1度辞めましたが戻ってきました!
いやぁ、欲は抗えませんね()
書き方も雰囲気もおそらく変わっているのでどいつだ?となるかもしれないですが、これからは気まぐれに投稿していきたいと思います(昔の垢は作品削除済で垢は残ってます)
低浮上当たり前の無ですがまったりとお待ちください、不意打ちに出すと思います!