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月川学園の校内は3棟で別れている。
1つ目は教室棟。その名の通り私たちが勉強する教室がある。
2つ目は管理棟。理科室や家庭科室、音楽室など移動教室がある。
3つ目は寮棟。寮生たちが暮らす量である。
そして舞衣がいるのは教室棟の2階。2階が1年生の教室だ。
今私と衣兎くんは管理棟の3階。2階に教室棟と管理棟を繋ぐ渡り廊下がある。だが渡り廊下を通ると鬼と鉢合わせる可能性もあれば、渡り廊下は目立つため危険と隣り合わせだ。そのため私と衣兎くんは1階まで降りてこっそり教室棟の2階に行く作戦だ。
「そーいや、外も範囲内ぽいですね。」
「え?そうなの?」
外に出れたら校門を飛びこえれば外に出られるのでは?
「外の様子も確認しといた方がいいかもね…。」
「そうですね。外の方が逃げやすいかもしれませんし。」
確かにそうだ。外にいればあまり回り込まれたりしないかもしれない。だがどさくさに紛れて校門から出てしまうのが1番いい気がする。
「校門飛びこえて校外に行けたりしないのかな…」
「ちょっと様子みてから行きますか?」
「うん。そうしよっか。」
きっと確認しておいた方がいい。舞衣を見つけて直ぐに校外に出られた方が舞衣も安全なはずだ。きっと舞衣なら今も生き残ってる。
「じゃあそのついでのついでなんですけど、俺の教室寄っていってもいいですか?」
「うん?何か忘れ物?」
「まぁ…そんなもんですよ。あとはビニール袋あるんでその中に靴入れといた方が楽なんじゃないかと思って。」
なるほど。確かにそうだ。
「そうだね…。じゃあ衣兎くんの教室もよろうか。」
「はい、すみません。時間取っちゃって。」
「いやいや!助けて貰ってるのに全然…!私が頑張らなきゃ行けないのにね…。先輩だし…。」
「いいんですよ。先輩、女の子ですから。歳1歳しか変わりませんし、ほぼ同い年なんで男の俺が守らないと。」
軽々とイケメンなことを言う。
よく見ると背も高くてキリッとした顔立ちをしている。この性格だしきっとモテるんだろうな。この学校は髪染めるのとかもOKで校則ゆるゆるだからか、髪色はカラフルな人が多い。そして衣兎くんは白髪だ。いや、銀に近いか?白と銀が混ざった感じの色をしている。黒い部分とか全く見えないし、地毛なのか?まあ私も舞衣も衣兎くんと同じような色が地毛で人のことは言えないが。そしてさらによく見ると綺麗な目だ。衣兎くんの目はなんか見たことない感じがする。綺麗な緑色。私は赤色の目をしている。よく「ネクタイの色と似てるよね!」と、舞衣に言われる。舞衣も人のことは言えない。舞衣もネクタイの色とそっくりな青色だ。The美少女って感じ。衣兎くんの身長は…私が155くらいだから…多分、自信はないが20cm…またはそれ以上に差がある。きっと175cm〜180cmの間だろう。ちなみに舞衣は私より全然身長が高い。162cmと言っていた気がする。
…妹に身長負けるのはなかなか悔しかった。
私が衣兎くんの顔をじっと見ていると衣兎くんと目が合った。
衣兎くんは焦ったように言った。
「…気づきました?」
「なにが?」
正直何が気づいたのか分からない。
「…ならいいです。」
変態とか思われてないか心配だったが大丈夫そうだ。
それからしばらく歩くと衣兎くんの教室の前についた。衣兎くんは「少し待っててください。」と言って教室の中に入って行った。この時に鬼が来たらどうしようとか考えていたが、思ったより衣兎くんが早めに戻ってきたためその心配はなかった。
「さて、外見に行きますか。」
「うん…。」
「…どうしました?」
「あのさ…今鬼ってどこにいるのかな…。」
「分かりません。」
「鬼って何体いるのかな…」
「…分かりません。」
「わかんないことだらけだよね…。だから不安になってきちゃってさ…。」
「…それは皆同じですよ。」
「…そうだよね。頑張らないと…!」
「…はい。」
「じゃあ外行きましょう。なるべく早い方がいい。」
「うん!」
衣兎くんは足早に歩き始めた。
私は正直疲れていたが急いだ方が舞衣の為だと思い頑張って歩く。
必死に歩いていると衣兎くんが急に止まったため衣兎くんの背中にぶつかる。
「わっ!衣兎くんどうし…んぐっ!」
衣兎くんに口を抑えられ近くの教室の掃除用具入れに入る。
一瞬のことで正直理解が出来なかった。
近い。きっと顔が真っ赤だろう。
「衣兎く…」
「静かにして。」
そう言われてハッとした。
近くで足音が聞こえる。きっと衣兎くんはそれに気づいたのだろう。心臓がうるさい。
掃除用具入れの前にいるのではないか。そんな気がした。
時間が遅い…。1分1秒がすごく遅い…。早くどこかに行って…!!気づかないで…!!
この思いが通じたのか足音が遠くなった。
「…もう平気ですね。」
そう言って衣兎くんは掃除用具入れの扉を開け掃除用具入れの外に出る。
「手、すみません。」
「いやいや!ごめんね!全然気づいてなかった…」
「きっとこれからこういうことがたくさんあると思うので気を引き締めていきましょう。」
「はい!」
「それじゃ、次こそ外へ。」
「うん!」
そうして私たちは外に向かって歩き出した。