テラーノベル
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──────時の悪魔視点──────
俺は力を使う。全てはラテのために。
俺はほかの悪魔と同様、地獄から這い出てきて生まれた。生まれたばかりの悪魔は1年間は安全が保証される。そして、俺を担当した悪魔こそラテである。ラテ。俺はその時優しい先生程度だと考えていたが、後に調べてみたところ、その経歴は化け物であった。
数百年生きた悪魔であり、第1次、第2次天使悪魔戦争を生き抜き、強欲の悪魔の下、200年以上働いていた。しかし、第2次天使悪魔戦争の際、七つの大罪が3名死んだほどの大戦争を機に、戦争から離れ、今は若手育成に力を入れている。
何がすごいかを説明すると、普通、悪魔はそこまで生きられない。寿命的には数千年、数万年は生きれなくはないのだろう。だが、戦争の過激化により、常に命の危機に晒され続ける。また、1年をすぎて、100年間は決闘によって弱いものは淘汰される。そんな環境だからこそ、数百年生きるというのはすごいことなのだ。最低でも500年は生きてきたであろう彼女を俺は素直に尊敬している。
ラテの役に立ちたい。いつからか抱いた願望。弱い自分は嫌だという自己否定。時間がなくて焦る焦燥感。焦って、焦って。何を取り組むにも時間が足りなくて。ラテはずっと、ずっと先にいるのに。彼女から出る光すら届かないほどラテは遠くて。俺は必死にもがくけど。それもダメだった。
けど、神は俺を見放さなかった。
その日は、夜遅くまで勉強していた。昼は戦いの練習。魔法はいつになっても使えなくて。だから、魔法が使えるようになるために勉強をしていたのだ。だから、疲れて眠ってしまったのだと思う。
俺は夢を見た。なぜだか俺の服は絹製の布1枚でできた服で。目の前には光り輝く何かがあった。その強い光で、確かな姿は分からない。それに、それが生き物かすらも分からない。得体の知れない何か。
無意識にパニックになってしまうところを、深呼吸で何とかこらえて、それを直視する。その眩しい光はいつの間にか暖かな光に代わる。まるで、俺を歓迎しているかのようだった。興味本位でもあり、好奇心でもあった。俺はその光を手に入れようと、触れてみる。
そして──────
夢から覚める。寝ぼけた頭を叩きつつ、勉強に再度取り組む。
───ある程度の魔術展開式を暗記し終えた時。いつもなら夜明けも近く、数十分でも寝よう、そう思う頃のはずだった。空はまだまだ暗く、夜明けまで程遠く思えた。満点の星空を見る。星空、なんて言ったがこれは実際は星なんかじゃなくて、どっかの火山が噴火したせいで舞い上がる火の粉だ、なんて聞いたことがある。無論、今はそれが嘘だということはわかっている。何故ならば火の粉は同じ場所に留まり続ける訳ないからだ。
俺はこの星空は魔界に空いた穴から見える天界だと思っている。まるで、俺たち悪魔を監視し続けるかのような───。
そんな仮説はどうでもいい。今日は長く寝られる、それだけでいいじゃないか。疲れた頭ではそれ以上の思考はできず、ベッドに向かい、そのまま深い深い眠りにつく。
夢を見る。先程まで夢のことなんてすっかり忘れていたのに、なぜだかこの夢が前の夢の続きだとわかる。その暖かな光は今度は実態を持っている。俺よりも背が高い長身の女性のような見た目。薄いオリーブ色の髪に、背後には幾つもの歯車と針がクルクルと回り、頭上には光輪の代わりと言わんばかりに時計の盤だけがないものが針だけをクルクルと回していた。その気だるげな、しかし、暖かな光が埋め込まれたその瞳には俺だけが映し出されていた。
「ふふっ。愛おしい我が子よ。」
透き通った声に、やや低音の声が耳をふわりと撫でる。正面にいるはずなのに、横から声が聞こえた。わけがわからず、今すぐにでも逃げ出したいのに、体は動くことすらままならない。その女性は続ける。
「我は《時の神》。いうならば、お前の《親》というものになるだろう。…そなたをこの残酷の世に1人にしてしまってすまない。今、迎えに来たぞ。」
そう言って、その女性は俺の手を取ろうとする。俺は、反射的に手をはらいのける。自分でも分からない拒否反応。脊椎反射みたいなものだったから、自分でも理由がわからなかった。自身の行動に戸惑っていると、時の神、もとい俺の親を名乗るその存在はふふっとにこやかに笑う。自身を否定されたと言うのに、その余裕はどこから、なんて疑問が絶えない。
「反抗期、ね。仕方ない。あなたが天寿をまっとうしてから連れていこうか。…元々はそなたで言う前世で連れていく予定だったのだが。思いの他の魂に未練が残っていたからな。まだ、その未練が無くなることは無さそうだ。今世こそその未練を消して、私の元に帰ってきて送れよ。」
そう言って、その存在は俺をぎゅっと抱きしめる。そして、俺のまぶたに軽いキスをしてくる。突然なんだ、とおもい疑問を顔に出せば、その存在はニコリと笑うだけで、もう二度と話すことはなく、俺は夢から引きずり出される。
───朝だ。頭がそう訴える。けれど、朝日はまだ登っていなく、夜の明かりは前と変わらずだった。
突如、言葉に言い難い恐怖に覆われ、素早く辺りを見渡す。それを見つけたのは存外早く、素早く確認する。それ、というのは時計でその針は俺が寝る時と同じ時間を指していた。
───間違いない。今、この世界は俺以外が止まっている。ばっと先程神によって口付けされた目を手で抑える。どことなく違和感と不信感が湧き出て、俺は洗面所で自身の顔を確認する。迷いなく目を見つめる。口付けされた目には文字盤のような、時計のような紋様が現れている。その目からは薄く光が漏れ出しており、あの夢が紛れもない、現実だと理解する。
呼吸が荒くなる。時間が止まったという現実が俺を容赦なくおそう。しかし、《もうひとりの自分》が楽しげに囁く。
『時間がなかったんだ。ちょうど良いじゃないか。このチャンスを利用してやろう。』
───その通りだ。俺は、時間がなくて焦っていたじゃないか。なら、今こそ力を身につけるべきなのだ。
思い立ったら即行動。俺はまずは基本的な体術について学び、姿勢や、構え、力の重心───様々な力を身につけて理解する。肉体が成長に追いつかない。いくらやっても筋肉がつくことはなく、背が伸びなければリーチが伸びることもない。しかし、時間が止まっていれば、それが叶うことはない。つまり、この力を使う際はもっと歳をとって、身長が伸びて、筋肉がつくようになってからじゃないといけないのだ。それに、魔法も使えないままだ。魔力をどう頑張っても感知できない。理解もできてない。言葉だけじゃ分からない。実際に、見て体験しないといけない。
ラテに頼む?…不可能だ。ラテは俺に戦いを教えたがらない。俺を子供としてしか見ない。でも、だからといって他の軍の下に入ってしまえば、ラテと一緒にいられない。俺はラテを守りたいのだ。
だから、俺は時を止めるのを辞めた。その時が来るまでこの力は封印しつつも、勉強を疎かにしなかった。いつか、俺を鍛えてくれるやつを。理解してくれるやつをただひたすらに待った。
そんなことを考えていたある日。俺はビビっとくる。世界から《天才》と称えられ、その能力を目の当たりにして、理解した。魔法も、剣も、完璧に扱うその悪魔に俺は魅入ってしまった。こいつなら、俺の力を見ても何も言わずに、交渉次第では俺を鍛えてくれるだろう。
だから、念じる。
《時よ止まれ》
ここからは賭けである。いかに、自分が強いものであるか、いかにやつにメリットがあるか。そして、俺がどうにかしない限り、動くことができないかを分からせなければならない。
さあ、天才よ。バカと賭けをしようじゃないか。
ここで切ります!私立受験無事!1日目が終わりした!!イェーイ!こ合格か不合格かまだ分からないので緊張であんまり上手く書けなかったですけど…。ウパさんの過去編と、時の悪魔である理由の説明はここしかないって思ってねじ込ませていただきました!本編、というより番外編が強く出たお話でしたね!《未練》がウパさんの欲の核であり、行動の原動力でもあります。まあ、未練というのはお察しの通りラテさん関係であり、魂に刻まれた気持ちは理由も分からないウパさんを縛っていますねー。おもろ。
最近文字数がインフレして3000文字は当たり前になってきて衝撃ですね!仕方がない!うん!
それでは!おつはる!
コメント
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1日目お疲れ様 なぜ受験の時にこんなのかけるかが知りたい
受験時期によう出すわ