注意事項
・有一郎、最初彼女に振られて失恋して
ます。
・最終的にむいゆう
俺は今日、2ヶ月ほど付き合っていた彼女に
振られた。
理由は、「私から話を振るのがしんどい。
冷めてきた。 行動がうざくて いらいら
する。」 との事だった。
確かにここ1ヶ月、
なかなか会うこともないしLINEも
ほとんどしていなかった。理由は
簡単。俺は最初から彼女の事が好きでは無かったからだ。
俺は告白された時、彼女のことはそういう目で見たことは無かったが、付き合ったら何か変わるかもしれないと思って何となくOKしてしまった。それがダメだったのかもしれない。
振られた時は、何故か 別れるのが嫌だった。
でも俺にも悪いところがあったため、
素直に受け入れ、
簡単に別れてしまった。
正直、少ししんどい。好きじゃなかったのに、何故か心が苦しい。
何もする気にならない。
悲しい、辛い、後悔、怒り、憎しみ、
思い出が俺の心に突き刺さる。
もうどうしたらいいのか分からない。
でも、途中半端で終わらなくて良かった
とは 思う。
……何故だろう。苦しいのに、
彼女を心の”底”から愛したことは 一度も
なかった気がする。
それから、なんで好きでもないのに別れる
のが嫌なのか 俺には何となくわかる。
1人が嫌だからだ。
俺を愛してくれる人を失うのが
怖くて怖くてたまらなかった。
でも、別れて正解なのかもな。
好きではなかったし、彼女も別れたいって
言っていたから、一石二鳥だろう。
それにまた新しい恋を 初めれば、
きっと心の底から 「愛してる」を言える
人が見つかると 俺は信じている。
それでも、やっぱり少ししんどくて、
気持ちが情緒不安定な俺は今、
自分の部屋にこもり毛布にくるまっている。
俺の実の弟、無一郎から、表情で
分かるのか、俺の事を心配していた。
でも、弟に心配されるのが恥ずかしくて
平気なフリをした。
「ねぇ、入るよ。」
暫くすると俺の許可なしにいきなり
部屋に入ってきた。
「兄さん、やっぱり最近へんだよ、
何かあったの?」
「……うるさい。お前には関係ない」
「ふーん、もしかして失恋した?」
「……はっ!?!?」
「あ、その感じ失恋したんだね。」
「…なんだよ、からかいに来たのか」
「なわけないでしょ。でも兄さん、
恋愛って難しいし恋愛辞めたら?」
「……むり、」
「え、っなんでよ。辛くなるのは兄さんだよ」
「1人に、なるのが嫌、だから……むり。」
「は??1人???」
「……あぁ」
「兄さんなに言 ッてんの?僕が居るじゃん」
「……どーゆー意味だよそれ、」
「んー、さぁ?笑でも僕は兄さんの味方
だし、兄さんは独りじゃないよ。僕が
兄さんのこと、裏切ったことあった?」
「あるだろ。人のプリン勝手に食べたり 」
「ぅ、……それとこれとは話が別でしょ!
どんなに喧嘩しても最後には仲直り
してるじゃん。それに1番そばで兄さんの
こと見てきたのは僕なんだし、いっそ
付き合っちゃおうよ。」
「お前、ついに頭おかしくなったのか……?」
「失礼な!!僕はいつも本気だよ。
愛してくれる人が欲しいんだったら、僕が
兄さんを愛してあげるよ。僕、ずっと
昔から兄さんのこと好きだったし。」
「……なっ、!?」
「あ、言ってなかったね。ぼく、昔から
兄さんのことそういう目で見てたよ。
嫌われそうだったから言わなかったけど。」
「…………」
「で、どうするの?1ヶ月だけ、お試しで
僕と付き合ってみようよ。それでダメ
だったらもういいから。」
一瞬、こいつは何言ってるんだ。と思った。
兄弟同士で付き合う……?
正直俺は、こいつのことをそういう目で
見たことがない。無一郎は見ていたらしい
が。
……でも、確かにこいつとは14年間
いつも一緒だ。付き合えば、何か
俺の求めているものが手に入るかもしれない。
……お試し、だもんな。
「……よし、わかった。1ヶ月お試し、
でお前と付き合う。」
「うん、もしそれでダメだったら、
僕と付き合ったのはノーカンでいいから。 」
「……ん、分かった。」
「じゃあ1ヶ月間よろしくね。僕の彼女さん」
「俺が彼女なのか!?」
「当たり前でしょ。提案したのは僕なんだし」
「………、おかしいだろ(ぼそ、」
「何か言った?」
「……何も。」
*
「んぁ……むぃちろ、ゃ……」
「ん、にぃさ、かわいぃ」
無一郎とお試しで付き合って1週間が
経過した。俺たちは今、恋人らしいことを
している。提案したのは無一郎からだ。
……こいつ、 なんだか激しくないか……?
いきなり舌を入れる奴がいるか。
でも、なんだか気持ちいい……。
俺は彼女とキスしたことは無かった。
ただ、手を繋ぐことと抱きつき合うことしか
してこなかったから、キスは無一郎が
初めてだ。
「も、ぉ、やめろ……!」
「なに、兄さん。気持ちそうな顔してたのに」
「うるさ、い……!お前強引すぎるんだよ!」
「えーっ、だッて我慢できなかったし…」
「……はぁ、お前は昔からそうだよな」
「そう?僕普通だと思うんだけど」
「お前の普通は普通じゃない、」
「酷いなぁ」
*
それから早1ヶ月が立った。
恋人になってから、キスやデート、料理など、沢山恋人らしいことをしてきた。
そして俺は気づいてしまった。
恋人らしいことをしたせいで無一郎を
段々と意識し始めてしまって、今では完全に
無一郎に恋をしてしまったと。
最初は何も気にしていなかった。でも、
恋人らしいことをしているにつれて、
あいつの顔、唇、たまにちらりと見える
太ももをそういう目で見るようになってしまった。
「……で、兄さん。1ヶ月経ったけど、
僕と付き合う気になった?」
「…………──────れ、」
「え、何?」
「っ〜〜〜!!だから、!すき、になっちゃったから!責任、取れ!!」
「……ほんと!?」
「……あぁ、」
「やったぁ!!!兄さんだいすきっ!」
「うゎっ、お前、ばか!離れろ!!」
「え~?なんでよ、 」
「うるさい!!暑いんだよ」
「酷いなぁ、」
「悪かったな」
無一郎がやっと離れると、今度は
俺の手を掴んで目を合わせる。
「ねぇ兄さん、すきだよ。
前にも言ったと思うけど、僕は昔から
兄さんの事すき。ずっと見てたよ。
付き合った時は苦しかったけど、
早めに別れてくれて良かったよ。」
「……おれは愛してる」
「はっ……!?!?」
予想の斜めを言ったのか、無一郎は
一気に顔を赤くしてなかなか可愛い顔で
俺を見つめた。
「兄さん、ずるいよ……」
「本当の事言っただけだ」
「……今夜は覚悟してて、僕が抱き潰すから」
「ふん、望むところだ」
俺達はゆっくりと口付けを 交わした。
お互いの愛を確かめるように、深く、深く。
そしてその夜。ここから先は、 俺と無一郎
だけの秘密だ。─────────────
コメント
1件
うわ·····この兄弟えr((((