「 さてと…この部活、今の三年はもう引退しちゃってるから
お前らの先輩は俺しか今はいんねぇーけど。 」
軽くボールを整理しながら言う。
豊岡くんと辰美くんはモップをかけながら。
行と草ノ瀬は俺の近くで倉庫の整理をしながら俺の話を聞いた。
その時思った。
俺は果たして頼りがいのある先輩だろうか。
行や草ノ瀬。豊岡くんに辰美くん。俺と同じ年はいない。
だけど、向こうの、燕帝山高校にはもっと、先輩がいる。
それに新しく一年も入ってくる。
今より。お前らがバレーを、楽しい。
面白いって。思って貰えるように。
「 まぁ…そうですね。ここで練習でこのメンバーで、
できるの、今日で最後ですもんね 」
豊岡君がそう呟いた。
このメンバーで、か。時が過ぎるのは早い。
だから、4人には、後悔無い様にしてほしい。
「 この人数やったら、まともな試合。出来へんけどな 」
行は徐に呟く。
「 行は律儀だな! 」
草ノ瀬は明るくそう言った。