注)ニノ→元の表現が少しあります。ニノさん独身設定。
若井を迎撃するため、練習スタジオに早めに来て待っていると
「はよー。」
標的がやって来た。
「あれ?元貴一人?」
「お前には集合時間少し早く伝えたからな。」
「え?なんで?」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」
「何?」
「ニノさんが言ってた“例の件”ってなに?」
「言ったじゃん。二宮さんが韓国語を――。」
「お前嘘下手だよね。」
「……。」
しばらく沈黙した後、若井はため息をついた。
「俺からは話せないから二宮さんから聞いて。」
「お前に聞いてんだけど。」
「無理。」
「なんでよ!?」
「二宮さんとマブなんだろ?あっちに聞いて。俺知らないから。」
そう言うと若井はさっさとギターの準備を始めた。
こうなると絶対口を割らないのは長い付き合いで分かっている。
「しゃーねぇ。本丸叩くか。」
ニノさんにラインをすると、少し離れたところで若井は哀れんだ表情になっていた。
え?どういう状況なんマジで。
大森;ニノさん、若井に話してた「例の件」ってなんすか?
二宮;せっかくだか食事しながらでも。今日の夜とかどう?
え…今言えないくらいのことなの…?
若井をちらりと見ると、親指立ててgoodポーズをしていた。
大森;そんな大それた話なんですか?
二宮;いや、別に?俺が元貴と食事行きたいから
大森;普通に誘ってくださいよ。ビビりますって。
二宮;いつもの店に22時くらいで
大森;了解です
「若井―。」
「なーに?」
「二宮さんから聞いたけど、マジ?」
鎌をかけてみたが
「はいー、嘘乙ぅー。」
「ちっ、だまされなかったか…。」
「何年お前と一緒にいると思ってんのよ。」
22時いつもの店にて
「で、例の件ってなんすか?」
単刀直入に聞く。多分、のらりくらりとかわされるとは思うが。
「若井君とちょっとした賭けをしたんだけど、俺が勝ったら俺が気に入ってる子といい感じになれるようにサポートするって約束したの。」
意外にあっさりと話してくれた。
「そんなこと?」
「そんなことってなによ。俺結構真剣だったんだけど。」
「気になってる子いるんなら俺が全力でサポートするのに。若井よりいい仕事しますよ!」
「んー、でも元貴より若井君の方が今回ばっかしは適してたからなぁ。」
「えーなんでっすかぁ。」
「だって本人には頼めないじゃない?」
「本人?」
「そ、気に入ってる子本人☆」
「…え?俺?」
「そういうこと。」
え?どういうこと…?
「この前飲んだ時に元貴が最初にどこ座るかって賭けを若井君としたのよ。若井君は俺元貴、若井君藤澤君の2:2で座るって予想して、俺は君ら3対俺って予想した。」
「それで若井が賭けに負けて…。」
「若井君と賭けした時、元貴はまだ藤澤君への想いを自覚してなかったから押せばワンチャンと思ったけど、無理だったね。」
「えぇ?!ちょっと待って!俺が涼ちゃん好きなの知ってたんすか?!」
「気づいてないの君と藤澤君くらいよ。」
ってことは若井も…。
「うん、若井君も知ってる。」
「心読まないでください。」
「ねぇ、元貴。若井君は賭けに勝った場合何を希望したと思う?」
「えー?クッソ高いギターとか?」
「それは断られた。」
「断られた(笑)初手それ提案したんすね。」
「若井君のお願いは、元貴だよ。」
「え?俺?」
え?若井も俺のこと好きだったの?
「何かあった時、元貴守ってって言われた。」
「守って?」
「何かあった時、若井君と藤澤君はどうにかなるけど、露出多い元貴は一番打撃を受けるから、公私共に支えてくれってさ。」
何あいつ・・・。
「…生意気・・・。」
「本当、素敵なメンバーだよ。君たちは。」
食事後、別れ際にふと聞いてみた。
「あの、ニノさん。」
「ん?」
「いつから俺のこと・・・とか聞いてもいいですか?」
「…それは野暮ってもんじゃない?」
「・・・。」
「まぁ正しく収まってよかったじゃん?じゃぁ、またね。」
ひらひら手を振りながら歩き出すニノさん。俺も帰ろうと背を向けて歩き出した。
スマホが鳴る。
二宮;最初っからだよ
「若井。」
「なにー?」
「涼ちゃんと付き合うことになりました。」
「…。」
目を見開いて固まる若井。
あれ?ニノさんの話では知ってたんじゃないの?
すると、若井は深いため息をつきポツリとつぶやいた。
「やっとか…。」
それはどこか呆れ気味で、どこか疲れ気味で、でもとてもほっとした声だった。
「おめでとう、元貴。」
ニカっと笑った若井。
受け入れてくれると分かってはいたけど、やっぱりどこか不安はあった。
「ありがと、若井。それとね、もう一つ言いたいことがあるんだけど。」
「次は何?」
「俺が守りたいものに若井も入ってるから。」
目をぱちくりさせる若井。そして、「あぁ…」と察したらしい。
「二宮さんから聞いたのか。自己犠牲とかそういうのじゃないよ。なんていうか、ズルい考え方なんだけどお前さえどうにかなれば俺と涼ちゃんもどうにかなるかなって思ったんだよ。」
「若井ごときがニノさんにそんなお願いしてんじゃねよ。」
「俺が頼めるのなんてあのタイミングでの二宮さんくらいしかいないだろ。」
「お前が頑張って俺を支えろ。」
「えぇ―・・・暴君・・・。」
「てことでこれからもよろしくね。」
「はいよ、王様。」
二人してケラケラ笑った。
大森から共有された音源と歌詞を確認したマネージャー・サポートメンバー・スタッフ一同は思った。
(あ・・・。)察し
「涼ちゃん、明日オフだよね?映画見に行かない?」
「いいけど何見るの?」
「涼ちゃん何か見たいのある?」
「真相?」
「…それ以外で。」
「映画行こうって言ったの元貴じゃん。」
「マジそれは別で行って?」
「じゃぁ風磨君と行こうかな。」
「絶対ダメ!!」
「じゃぁ若井?」
「若井は…まぁいいよ。」
「他に見たいの今のところないなぁ。家でゴロゴロしながらネトフリは?」
「それはいつもの日常じゃん。ゴロゴロしながらネトフリ見てそのままHして。」
「最後の言わなくていいよね?」
「じゃぁどこかちょっといいところに食事に行くとか。」
「映画見たいんじゃなくて元貴は出かけたいの?」
「デートしようって言ってたじゃん。」
「あれ、本当にデートって意味だったんだ。」
「俺があげたそのピアス付けてきてね。」
「僕のお気に入り。」
「てかさ、思ったんだけど俺結構束縛激しめかもしれん。」
「なんでそう思うの?(若干感じてはいた)」
「だって、涼ちゃんに赤あげるってさ。」
「赤は元貴のメンバーカラーだからね。でも、僕は元貴とずっと一緒にいるみたいで嬉しいよ。」
「もー、そういうとこ!」
「え?」
「嬉しすぎて監禁したくなる。」
「いや、それはやめてほしいかな。」
コメント
2件
このニノさん、かっこよすぎます!!! お話の詰め合わせ、めちゃ満足感あり豪華で嬉しいです🙏💛♥️💙