貴方が欲しいのは、愛おしい程の愛情?
それとも、狂おしい程の愛情?
愛することだけが愛と思うなら――
それは間違いだ――。
『繫縛の楔』
〜私はこの檻から逃げられない〜
プロローグ
いつからだろうか――。
ここから逃げ出すのがどうでもいいと思ったのは――。
部屋の窓には、鉄板を張られて出られない。
部屋のドアも外から南京錠で鍵を掛けられた。しまいには、私には足枷がついている。
そして、元の世界に戻れないように、指輪をロックされてしまった。
『…。』
私は椅子にもたれ掛かり、ゆっくりと息を吸う。
(もう、苦しさも感じない…もう、楽になりたい。)
『誰か……私を殺して――。』
コツ、コツ……。ギィィ…。
『おはようございます。主様。』
悪魔が微笑みかける。
『ふふ、もう抵抗する気力もないみたいですね…良かったです。』
『べリ、アン…もう、嫌だよ…。ここから、出して…。』
『……。まだ元気な口を叩けるんですね。はぁ…。』
グイッ!ジャラっ!
首輪の鎖を引かれる。
『お仕置きですね…。主様♪』
冷たい瞳が私を映す。
甘くて、痛い快楽を何度も身体にほどこされて、身体はもうボロボロ――。助けてくれる人なんてどこにもいない。だってここには
人なんて存在しないから――。
次回
第1鎖 『マナー指導(調教)』