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去ってしまったこの世で一番美しかった兄。
私は今日もこの地獄を生きる
10年前
兄は美しかった。先に述べておこう。私は決して兄の容姿を誉めているわけではない。兄を取り巻く甘くて熱い空気。澄んだ漆黒の瞳。兄より整った男などこの世に山ほどいるだろう。しかし私にとって兄は美しかった。学術も武術もあるがそれ以前の不思議な美しさ。兄にそれを伝えると、「それならお前にもその美しさが出始めてる。これからどんな別嬪さんになるか見ものだな。」とはにかんででいった。眉がしっかりに細い目、中性的な顔で胸は平らだった。私の容姿を褒めてくれる人など兄くらいだった。
その兄は軍に入ろうとしていた。しかし死んだ。同じ志を持つものが兄の才能を妬み刺したのだ。それから私の時間は止まってしまった。私は血を吐く思いで己を鍛え、兄の戸籍で軍へ入り、すぐに復讐を果たした。しかし行き場のない思いは消えず、その後はスパイなどのどんな汚れ仕事もこなし、人を傷つけることで鬱憤を晴らしていた。もう全てがどうでもいい。私はもう汚れ傷つくことのない永遠に美しい屍になったのだ。
次回も見てね。