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ー竹谷八華ー
ー俺のこと、もう一度恋人にしてくれるか?ー
ーあぁ、もちろんだ。ー
ー約束、な。ー
そんな約束をしたからか、今世、竹谷八左ヱ門は竹谷八華、女として性をうけた。
記憶が戻ったのは5歳のときだった。
はじめはめちゃくちゃ嬉しかった。
三郎の子供が産める。
堂々と三郎の隣にいられるって。
でも、そんな喜びもすぐになくなった。
私は先天性心疾患だった。
生まれつき心臓が悪く、外で遊んだりなんてしたことがなかった。
毎日大量の薬を飲んで、運動制限して、それでも死ぬかもしれない毎日。
私は重症度が高く、何回も手術をしてきた。
過保護な両親、治るかわからない病気、限界だった。
いつ死ぬかわからない私は、三郎のそばにはいられない。
きっと優しい三郎の事だ、今でも律儀に約束を守って私を探しているかもしれない。
でも私は今世、いや、これから先三郎に会うつもりはない。
いつ死ぬかわからない女よりも、健康な女の子の方が三郎にはお似合いだ。
だから、ゴメンな。三郎。
出会ってしまったからには、記憶のないふりをするしかないんだ。
お前に幸せになってほしい。
ごめん。
ごめんな。
三郎。