テラーノベル
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今日から俺の秘書生活が始まった。
一昨日社長の会社に見学に行き、主にする仕事を教えてもらって、今日から本格的に仕事を始める。
社長のスケジュールを確認し、管理し、変更点があったら効率的なスケジュールに変える。あの人は実は効率厨で当たり前だけど社長だからかなんでもテキパキとこなす。
多忙なはずなのに一切弱みを見せず、表情はいつも貼り付けた笑顔。…あの人に弱点なんてあるのだろうか。
「社長、次は取引先との商談です。」
社長は記憶力が高く、俺は最低限の報告しかやることがない。俺がいる必要はあるのだろうか。
「うん、ありがとうね。分かったよ。」
いつも通りの優しい笑顔。でも俺は知っている。その裏に隠れている素顔を。
いつもの光が灯っている目とは違う、闇に包まれ、何もかも引き摺り込んでしまいそうな目。鋭い目つき。…あの人は…俺に執着している…
怖いのに…嬉しい。
(あ、あの人…最近話題のキーホルダーつけてる…やっぱり人気なんだなぁ。)
真白は通りすがりに女の人のバッグを見ていた。
その時、猫子が真白の目線が自分じゃなく他の女に移っていることに気づき、
真白を引き寄せ、強引に腰を掴んだ。
「真白さん。今、誰を見ていましたか?」
正気を失った声。
「え…?誰って…」
突然の声に真白は困惑し、後退りしようとする。だが猫子の力は成人男性をも圧倒する強さであり、ビクとも動かせない。
「こっち見て。真白さん。あの人のこと、見てましたよね?」
ギロっとさっきの女性に目を向け、真白の頭に手を当て、自分の方に引き寄せた。
「いや…キーホルダーを見ていただけで…」
自分は何も悪いことはしていないはずなのにあまりの黒い覇気に怯み、目に涙がたまる。
「本当ですか?…嘘つかれたら、私どうなるか分かりません。」
猫子の言葉は決して冗談ではなく、本気だ。
激しい問い詰めに耐えきれず、真白は涙を堪えきれず、ボロボロと溢してしまった。
「ごっ、ごめんなさっ、嘘じゃっ、なくてっ…ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、怒らないでぇっ、」
謝罪が止まらない。いつも堂々としているはずの真白でも猫子の前では抗えない。
「可愛い。泣いているんですか?いい子ですね。もっと泣いて。」
ぎゅうっと真白を力強く抱きしめる。
猫子は愛する人の涙にも動じず、むしろそれを「待ってました」と言わんばかりに真白の泣いている姿をまじまじと見つめ、喜んでいる。
猫子にとって、真白の苦痛はご褒美でしかない。
「社長っ、ごめっ、ごめんなさいっ、」
涙が止まらない。真白も猫子の前ではただの小さい弱者なのであった。
コメント
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第6話、読みました。猫子さんの「泣いている姿を喜ぶ」という歪んだ愛情表現がぞわぞわして、でも目が離せなかったです。表向きの優しい笑顔と、秘書にだけ見せる闇のギャップがたまらない。真白さんが普段は強気なのに猫子の前ではただの弱者になってしまう、その力関係の描き方が丁寧で、次が気になりますね。