コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
あたしは今、ものすごく戸惑っています。
できるだけハプニングを起こさないように、と向かった学校で、イケメンに声をかけられました。
あたしの1つ年上の先輩で、学校1のイケメンって言われてる人。
名前すら知らないイケメンとはどーせ関わりやしないって思ってたから、かっこいい人候補に入れてなかったのに!
ここが朝の校舎前のせいで、周りからの生徒の視線が痛い。
恥ずかしい…!
「…モモちゃん、ちょっとこっち来て」
顔が真っ赤になっているあたしの腕を、彼が引っ張って校舎裏へと連れて行く。
「ちょ、ま…てかなんであたしの名前知ってんの?」
「いいから!今は黙ってついてきて」
その声で言われて断る人がどこにいる?
あたしはそのまま大人しく彼についていく。
彼は校舎裏に入った瞬間、そっと呟いた。
「モモちゃん、獣耳。出かけてるよ」
「え」
あたしは慌てて頭を触る。
ふわっとした感触が、指に触れた。
「や、やばっ…!」
余計顔が赤くなっていく。
彼はそれに気づいたのか、あたしの頬をぺちんって軽く叩いた。
「大丈夫、秘密にしとく。それに、これ以上照れると尻尾出るよ?」
あたしはハッとする。
そうだった、これ以上は気をつけないと。
気持ちを落ち着かせると、獣耳も引っ込んだ。
彼は…と思って見ると、すでに校舎の入口へと歩き出していた。
あたしの視線に気づいたのか、ちょっとこちらを振り返る。
そして、人差し指を口の前に当てて、「しー」のポーズをした。
そしてそのまま歩いていこうとする。
「待って、聞きたいことはいっぱいあるけど名前だけ教えて!」
「いいよ。俺は小枕 翠(こまくら みどり)、イケメンだよ」
聞かなければよかった。こいつナルシストすぎる。
あたしは気を取り直して校舎に入り、教室に向かった。
声を掛けられたことを思い出したらまた獣耳出てきそうだったから、今日の購買のパンのことを考えてみる。
カフェテリアの横を駆け抜けると、ほんのりだけど焼きそばの匂いがした。
今日はきっと、焼きそばパンだ。
授業が終わったら1番に買いに行ってやろ。
あたしは期待に胸を膨らませながら、教室に駆け込んだ。
「あ、モモやん!おは〜、今日ちょっと遅かったねー!」
「アオ!ちょっとカフェテリアの前で止まってたwww」
まぁ、あながち嘘でもない。
実際に、立ち止まりかけてたし。
「モモらしいねー。で?今日の日替わりパンは?」
「焼きそばパンだったよ!焼きそばの匂いした」
「よっし、モモ!どっちが早く買いに行けるか勝負や!」
「あたしの足に敵うとでも?」
「モモのドヤ顔ムカつくわー」
「アオは運動神経なさすぎて私にも追いつけないでしょ」
「なんやてリリー!?あんたもウチと同じくらいやろ!」
「ほーらくだらないことで喧嘩しない!先生くるよ!」
なんて言ってみた瞬間、本当に先生が来た。
やばっ!
あわててあたしたちは席に座り、HRを受け、授業が始まった。
面倒くさいけど、次のテストは赤点回避するために頑張ろう。