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あのナルシスト(翠)に絡まれた日の放課後、あたしは教室でアオとリリーの質問攻めにあっていた。


「どうだったんよ!?」

「イケメンだったよね!?緊張した!?」

「いいなー!どんな性格だった?」

「優しかった!?何されたん、校舎裏連れてかれて!!」


耳がキンキンする…


「もー、2人ともうるさい!耳痛いって!」

「ごめーん!だってあの翠様に話しかけられてるんだもん」

「あんなナルシストが?学校1好かれてるとかマジで言ってる?」

「マジだよー!!」


正直、もう2度とあいつには会いたくない。

なんかあのテンションだとすごい疲れる気がする。


「じゃあさ、今時間ないから今日お泊りしようよ!金曜日だし!」

「え゙ッ」

「どしたんモモ、いつも乗り気なのにwww」

「な、なんでもない!ただ今日はちょっと用事が…」

「あれ、この前今週は空いてるーとか言ってなかったっけ?」

「…」

「黙ってるってことは正論やねwww」

「あははははっwww」


なんで覚えてたんだよぉ…

こればかりは忘れてほしかった。だって今お泊りしたら、あたしが九狐だってバレちゃう!


「ねぇねぇ、そういえばなんだけど。翠様、誰とも付き合おうとしないんだって。しかもさ、理由が『夜一緒にいれないから』なんだって。不思議だよねー」

「そうそう!ウチも一回告ったんだけど、一緒に過ごせる時間が少ないからごめんねって言われたんよ!」

「なんか特別な理由があるのかも!?」


え?

リリー今、『夜一緒にいれない』って…

いやでも!

まさか、ね…

だって神主さん、珍しいって言ってたもん。

そんな人が同じ学校にいるわけない。

ってなると、このクラスの中であたしだけ人間じゃないってことになるじゃん!!

なんか、アニメとかの厨二病の人が、隠し持ってる能力みたいでかっこいい。

まぁバレたらあたしのJK生活終わりそうだから誰にも話さないでおこう。


「おーい、モモ。聞いてる?」

「えっ!?なになに!?なんか言ってた!?」

「うん、言ってる。お泊りアオん家決定だって」

「曜日は!?」

「今日」

「マジか…」

「えでも予定ないから行けるやろ」

「それはそうなんだけど…夜早く寝るならいいよ」

「よっしゃー!夜通し話すぞー!」

「リリー…絶対今の聞こえてないふりしてるよね…」

「ギクッ」


どうしよう、マジでどうしよう!

布団かぶったら平気かな?でも尻尾飛び出そうだし…

いっそ解放するのはリスクが高いし…

アオたちには準備するって言って、神主さんに対処法あるか聞いてみよう。

流石にバレたら怖がられて、クラスメイトの霊感あるやつに浄化されるかもしれないし。

消えたくないもん。あたしのJKライフを終わらせんなってんの!

早く準備しに行こう。


「アオ、リリー!あたし準備してくる!」

「おっけー、アオん家集合ね!」

「待っとるよー」


そんな声を背中に聞きながら、あたしは神社へと猛ダッシュした。

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