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今回だいぶ長いのでお時間ある時によければ、

いつもの3倍はあります、


9月


猛暑も過ぎ去りだいぶ過ごしやすい気温になってきた。

2学期が始まる。そろそろ受験に集中する季節が近づく。

夏休みの唐突のお泊まりがあり、赤との仲は少し深まったような感覚だった。

赤「うぇ〜……1週間後テストかよ、だりぃ、」

紫「そろそろちゃんと勉強しねーとやばいもんな、w」

赤「紫はいいよな、結構普段から上位だろ?俺頑張らないと判定取れそうにないんだよなぁ、」

紫「赤が行きたいのって六奏大学だっけ?」

赤「そうそう、俺将来プログラム系の職に就きたいんよ」

六奏大学。インターネット、プログラム、デジタルなどの機械、技術に特化した大学で、日本では1番と言っていいほど優秀なところだ。

赤が高校生になった時から、ずっと行きたいと言っていたのを思い出す。

紫「応援してるわ、頑張れよ」

赤「紫もね、そういえば、紫はどこ行くつもり?」

紫「俺?………まだ言えねーわ、w」

これは、ちゃんと合格してから言うつもりの言葉だ。

赤「…そっかニコッ、最後はちゃんと教えろよw」

紫「もちろんw」


赤「そういえば紫。今回のテストさー、」

紫「ん?」

赤「勝負しね?」

紫「は?勝負、?」

下校中、突然告げられた宣戦布告(?)に驚く。今まで赤は、テストの点数や何かの記録を競うやつじゃなかったため余計驚きを隠せなかった。

紫「珍しい。いきなりどうした?」

赤「まぁー、モチベ上げるため、?みたいな」

紫「まぁいいけど」

赤「じゃあさ!総合点数勝った方がなんでも言うこと聞くってのどう⁉︎」

俺が了承すると食い気味に条件を話す。

紫「なんでも………いいよwじゃあそれで」

赤「しゃっ!絶対負けねぇw」

紫「まぁまぁ、どうせ負けて悔しがってる赤が見れるしw」

赤「その言葉そのまま返すしw」

なぜだかたった一つの約束だけで、テストがすごく楽しみになってくる。

なんでも叶うなら、なんでも聞いてくれるなら、俺と付き合ってほしい……なんて欲望を抑える。誰と付き合って誰と過ごすかを決めるのは赤自身で、俺が決めてはいけないことだと知っているのに。

どんな方法を使っても君を手に入れたくなってしまう____。



テスト返却の日がやってきた。

この学校は全てのテストが一気に返される、と同時に順位、偏差値、総合点数の資料も手元に届く。

そして上位50位は廊下に貼り出されることになっている。

今回は赤との勝負もあり、いつもよりだいぶ勉強した。勉強中は苦痛ではなく、約束を思い出しただけでやる気が出てくる。

まるであの約束が呪いのように。

先生「紫ー、取りに来いー」

紫「うぃーす、」

先生「さすがだな、いつもよりだいぶ上がってるが、何かあったのか?」

紫「いや、受験近づいてきたし、ちょっと頑張っただけっすよw」

先生「そうか、まぁ、よく頑張ったな」

先生から受け取った、テストと成績の資料を見てどうしてもニヤついてしまう。今回、まぁまぁ全体的に点数が良かった。

紫「これなら勝てるかも、w」

赤とは下校時に一緒に確認することになっている。

先生「次、赤ー」

赤「うぃー、」

先生「お前ちゃんと返事しろー、と言いたいところだが……何があった?」

赤「え?」

先生「前回と比べてだいぶ高くなってたし、なんか食べたか?それとも覚醒か?」

赤「あー……今回は……ね、ちょっといろいろありまして…w」

と言いながら俺の方をチラッと横目で見る赤。すごく嬉しそうにニヤついていて、余計、後で悔しい顔をしている赤を想像して楽しみが増す。

あと3限、勝利はどっちが握るのか。

その後の授業は2人とも全く頭に入らず、先生に調子に乗るなと怒られた。


紫「さぁ、終わりの時が来たようだなw」

赤「まぁ、そう言っていられるのも今のうちだw」

下校中、厨二のようなセリフをお互い言いながら実際結構緊張していた。

自信があると言っておきながら赤の方が点数が高い可能性は全然ある。どうか低くあってくれと願いながら公開の時が来た。

赤「おけ、せーので言おう」

紫「うぃー、じゃあ、せーのッ!」

赤、紫「「486点ッッ‼︎」」

赤、紫「「は?」」

綺麗にハモったお互いの声に驚きながら声を漏らすと、それさえもハモってしまう。

紫「ちょ、一旦待たん、?」

赤「え?紫何点?」

紫「486点」

赤「俺も486点」

5教科500点満点。なんと今回総合点数が全く同じになってしまった。

少し残念な気持ちもありつつ、まさか同じだと思わなくて声が出ない。

赤「………マジか…どうする?」

紫「え〜…じゃあもう両方言うこと聞くか?」

ま、赤に言うこと聞いてほしいだけだけど。

赤「じゃあそうするかぁ…」

紫「うわぁ〜wなんか悔しいわw」

赤「俺もw結構自信あったのにw」

紫「先生にビビられてたもんなw」

赤「うるせーw俺は勉強したらちゃんと取れんだよw」

紫「でも今回で結構目標近づいたんじゃね?」

赤「だな、これからはこれくらい頑張るわw」

紫「ファイトw応援してるわ」

そんなことを話しているともう別れる道まで着いてしまった。時が経つのは案外早いものだと感じる。

赤「………あのさ、紫」

紫「ん?」

赤「テストの報酬今使っていい、?」

赤がおずおずと聞いてくる。少し驚いた後、何を言うのかと気になり聞いてみる。

紫「いいよ、何にする?」

赤「…………今週末、”デート”…せん?//」

紫「ッッ⁉︎」

まさかの赤から発せられると思っていなかった言葉が出てきて、嬉しさと驚きが混じったよくわからない感情になる。

紫「いいけど……え?ほんとに?」

赤「、いやだったらいいけど」

紫「いや、なんか逆にいいの?って感じで、」

言いながら何を言ってるんだ俺はと思いながら了承する。

赤「ありがと、//……じゃあ、今週末、」

紫「あぁ、連絡して、//」

赤「ん、…じゃあね/」

紫「また明日、//」

2人とも耳を真っ赤にしながらよくわからない感じで別れる。

その後家に帰っても今日あったことが信じられずにいた。



…………いや、緊張するだろ。

今日はデート当日。駅前で待ち合わせをして赤のプランで動く。俺が言い出しっぺだから!と考えてくれるらしい。

楽しみすぎて30分前に着いた自分にデジャブを覚える。前にも似たようなことがあった気がする。

赤「紫ッッ!お待たせッ、!」

息を切らしながら駆け寄ってくる赤がまるで彼女のように思えてきて浮かれすぎだろと落ち着きを取り戻す。

紫「待ってねーよw俺も早く来すぎたし」

まるで付き合いたてのカップルのような会話をしながら行こうかと電車に乗る。

紫「…で、どこ行くん?」

赤「んー、内緒?w」

紫「楽しみだわw」

赤「期待していいよw」


着いたのは隣町のショッピングモール。

紫「これ良くね?」

赤「え、めっちゃいいじゃん!お揃いにする?w」

紫「いいよw」

赤「え、いいの?/」


赤「見て紫ッッ!ベ◯ータのフィギュアッッ!」

紫「マジじゃんッッ!取るぞ!」

赤「任せろ!_____w」


紫「赤………なんかデカくね?」

赤「?普通じゃね?こんなもんでしょw」

紫「え、食べ切れるか?その量」

赤「いふぇういふぇうw(いけるいけるw)」

紫「なんで言ってるか聞こえねーよw」


買い物、ゲームセンター、飯を堪能し、気づくと夕方になっていた。

赤「もうそろそろ本命行くかー」

紫「え?ショッピングモールじゃねーの?」

赤「なわけw期待してていいよっつったじゃんw」

ショッピングモールで満喫するつもりでいたため、結構全力で楽しんでいた疲れがどっと返ってくる。

紫「赤…言いにくいんだけどさ___」

赤「紫、疲れてるでしょ?」

俺が言う前に当てられてしまい、顔に出ていたのかと少し不安になる。

赤「大丈夫、そんな疲れるところじゃないと思うしw……紫のことは何でもわかる自信あるよ?俺w」

紫「………wじゃあもう嘘つけないなw」

赤「そこまではわかんねーよw」

赤の言葉が、たった一言がすごく嬉しくて、大切で…その気持ちを隠すように冗談混じりの言葉を返す。


『紫のことは何でもわかる自信あるよ___』


紫「………好きだなぁ、」

赤「え?何て?w」

紫「なんでもねぇーよw」


歩いて10分。もうすぐ午後5時の空の下。着いたのは海だった。

紫「こんなとこあったんだな、」

赤「この前たまたま見つけて紫に見せたくなったw………綺麗だね、」

紫「そうだな、」

道端の小さな草に覆われた穴を通って、向こう側に出たところにあった海。

別にめっちゃ水が綺麗なわけでも、景色が絶景なわけでもない、ただのそこら辺の海だった。

でもこんなに綺麗に見えるのはきっと、隣に居る大好きな君がここを見つけて、俺に見せたくて、ここまで連れてきた。

その全てを合わせて初めて綺麗だと思う景色なのかもしれない。

赤「こんなに綺麗に見えたの……もしかしたら紫がいるからかもねw」

夕日に照らされて微笑む君は嬉しそうにこっちを見つめる。照れているのか、照らされてそう見えるだけなのか。

ただ願う。この笑顔がずっと続きますようにと、そばで見られますようにと___。



10月


さぁ、みなさん。10月といえば………そう!

赤「体育大会だあ”ぁ”ぁ”ぁァァァァ、」

紫「運動苦手だもんなw」

赤「テストが終わったと思ったら次は運動かよッッ、死ぬぞ俺」

紫「そんな真面目な顔して言うことじゃねーだろ」

10月上旬、今日は体育大会当日。だいぶ涼しくなり…いや、少し寒いくらいで、天気も良く、天候に恵まれた今日この頃。1人全く恵まれたくなかった奴がいた。


『それではこれより…第37回体育大会を開幕いたします』

パァーンッッ!

響き渡る発砲音と共に燃えて燃え尽きる体育大会が始まった。

紫「てか、赤は何でんの?」

赤「ん〜、?借り物……足の速さ関係ないから、」

紫「あー、なるほどな」

赤「紫は?」

紫「リレー。200メートル」

赤「……チッ、優等生が、」

紫「おい聞こえてんぞ」


赤の出番がきた。本当に嫌そうな顔をしながら集合場所に走っていく。相変わらずだなと思いつつ赤に頑張れと伝えてから自分の席に戻る。

『プログラム1番、借り物競走です』

綺麗なアナウンスと共にゾロゾロと位置につく。周りに人は沢山いるのに赤に目がいってしまう。

紫「どんだけ好きなんだよ、w俺…」

ぼそっと呟いた時視線に気付いたのか、赤がこっちを向く。視線があった途端満面の笑みでピースサインをこちらに向ける。

あれだけ嫌がってた奴とは思えないほどの笑顔で思わず口角が上がるのを抑えながら手を振る。

赤も嬉しそうに小さく手を振り返してくれた。

紫「あぁ〜、マジで………//」


『それでは、位置について、よーい…」

パァーンッッ!

ダダダダダダッッ‼︎

一斉にスタートする。お題が書いている箱まで半周、お題の物と一緒に半周。計一周走りゴールする。

やはりだんだん離されていく赤。それでも一生懸命前を向いて走っている。

運動苦手なくせにやる時は一生懸命なところ、相変わらず顔は嫌そうで、まるで死んだような目をしているのにまっすぐお題箱を目指して走っているところ。

赤のいろんなところを見るたびに、赤と一緒にいるほどに、赤の全部に惹かれていく。

と考えていると赤がお題カードを引いているところだった。

お題を見た途端ギョッとした顔をすると、すぐに何かを探し始める。一体どんなお題だったのかと眺めていると赤が近づいてくる。

赤「紫ッッ!」

紫「え、俺、⁉︎」

赤「お前だよッッ!ちょ、一緒に来てッッ!」

紫「ッッ⁉︎⁉︎わかった、!」

ハッハッハッ!

2人一緒に走りながらふと思ってしまう。もしお題が『好きな人』とか、『気になってる人』とかだったら………と。

マンガの読みすぎなのはわかっている。わかってるが……ッッ、!

走ってる時に手繋いで走ってたら勘違いもするだろッッ‼︎

ハッハッハッッッ‼︎

ギュウッ

手を力強く握りながら隣で一生懸命走る赤。どうしても笑みが溢れてくる。

ゴールはもう目の前なのに。赤には悪いがもう少しこうやって走っていたいと思ってしまう。

パァーンッッ!

ゴールと一位を告げる発砲音と共に俺と赤は白いテープをきった。


紫「赤ー?結局あのお題なんだったん?」

赤「え”っ、……とぉ、」

紫「………」

赤「…………、」

コチョコチョコチョ

赤「うぇへぁw⁉︎あはッッwちょ、ギブギブッッwwま⁉︎ッッwwあははw」

腹が痛いと俺の体を殴りながら涙目で笑い続ける赤。少し意地悪をしたくなってしまう気持ちを抑え、手を離す。

すると機嫌を悪そうにした赤が俺を睨む。

赤「…………怒んない、?」

紫「………ん、タブン」

赤「ちゃんと誓え。怒んなよ?」

紫「わかったって」

どうしても言質をとりたがる赤に一体どんなお題だったんだと恐怖を覚えながら答えを待つ。

赤「………な人、」

紫「…え?なんて?」

赤「…………、」

赤「アホ毛が生えてる人、」

紫「あぁ、……………」

あまりに想像の斜め上すぎた答えにどう返そうかと困る。

別に怒るほどではないが、なんか、なんともいえない感覚が襲ってくる。

それよりもこんなお題で俺に怒られると思っていた赤が少し面白くなってしまった。

紫「ふはっwバカすぎだろw」

赤「ムッ、バカとはなんだ、てか……怒ってねーの?」

紫「こんなことで怒んねーよw」

赤「っ!ニコッ」

俺が怒らないと知ると安心したような嬉しそうな笑顔を見せる。

その顔は今まで見た顔とは少し違う、とても可愛らしい、幼い笑顔だった。

この先も毎日を過ごすたび、君の新しい一面を知るのだろう。


11月


文化祭、体育大会…学校行事はほとんど終わり、二学期も残すところあと数週間となった。

教室の空気も最近ピリついている。当たり前だ、もうすぐ受験の追い込み、ラストスパートというやつだ。

教室で弁当を食べるのは気分が悪いので赤と一緒に中庭で食べることにした。

赤「最近教室がこえぇ、」

紫「まぁ、wもうすぐだからな、」

俺も勉強詰めで少しストレスが溜まりつつあったため、こうやって何も考えず弁当を食べるのはすごく楽しかった。

赤「紫の卵焼きうまそー……もらいっw」

紫「あwおい!勝手に取んなw」

ヒョイッと俺の弁当箱に堂々と鎮座している卵焼きを奪い、口の中に放り込む赤、そして美味しそうに口を動かす。

怒りながら可愛いなと思う。この顔はもっと卵焼きをあげたくなる。いわゆる貢ぎたい気持ちというものがわかったような気がした。

タッタッタッタッ!

黄「あ!赤ちゃん!まにき!」

紫「あ、黄。おつかれ〜」

黄「お疲れ様!みんな勉強で大変やね、」

紫「だよな、目がギンギンなんだよ、」

黄「www」

紫「てかなんか急いでんの?走ってだけど」

黄「あ、そうなんよ。緑くん知らん?この後勉強教えてもらう予定やったんやけど…」

紫「俺は知らんわ…赤は?」

さっきから何も喋らない赤の方を見るとほっぺの膨らみがさっきよりも膨らんでいた。

まさかと思いつつ自分の弁当に目を向けるとさっきまであった卵焼きがすっかり姿を消していた。

紫「赤っ!俺の卵焼き食っただろッッ⁉︎」

赤「ふぁふぇふぇんわぁいふあ___」

紫「聞こえねーよッッ!」


赤「緑ならさっき先生に連行されてたぞ」

黄「あ、ありがとう………あの、赤ちゃん、大丈夫、?」

黄は心配そうに赤の腫れているおでこを指差しす。

赤「はは……大丈夫、」

黄「そう…お大事に、」

紫「俺は何も悪くない」

赤が卵焼きを全て平らげてしまった事件のすぐ後、俺は思いっきり赤にデコピンをお見舞いした。

現在、赤のおでこは薄く腫れていて真っ赤になっていた。

赤「いてぁ、……」

紫「じゃあ、黄。緑探し頑張って」

黄「うん、あの…ありがとう…、」

痛そうにする赤を無視して黄に励ましの言葉を送る。黄は気まずそうに御礼を行ってまた走り出して行った。

赤「紫さん、痛いっす、」

紫「卵焼き食ったお前が悪い」

赤「謝るから許して、俺のあげるから、」

紫「………じゃあいいよ、」

赤「っ!はいっ!」

いきなり明るくなって箸で掴んだ真っ黄色に少し焦げ目がついている、美味しそうなあいつを俺の前に突き出す。

正直、それよりもこれがまるでいわゆる『あーん』というもので少し意識してしまう。

てか、『あーん』こえて間接キスだろもう。

なんてしょうもないことを考えながら何も考えずそいつを頬張る。

ふんわりと包み込む醤油と少し甘い砂糖が舌に広がる。まるでそれが赤の笑顔のような感じ……なんて、

またいつか、この卵焼きを食べられる日が来ますように___。

あと4ヶ月。

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