⚠ご本人様とは一切の関係ございません
基本🟪視点のみ(🟨🟪)
学パロ
®️なし
絵文字の都合上🐼→⬜で表記してます…🙇♂️🙏
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今日は卒業式
門出にはもってこいな満開の桜と一面に広がる青空
そして関係の無い生徒は基本的に三連休になるラッキーな日
溜まっていたゲームやら積読やらを消化しようと密かに楽しみにしていた三連休の初日
─になるはずだった
🟪「何で俺らが片付け手伝ってんだよ…!?」
俺が今いる場所と言えば学校の体育館。そこでパイプ椅子やら机やらの撤去作業に付き合わされている
🟪「要件言わずに呼び出したと思ったらこれかよ…」
⬜「だからそれは悪かったって言ってんじゃん」
「それに、言ったら何だかんだ文句言って来ないだろ?スマイルなんて特にさ」
俺らを呼び出した張本人、なかむに図星を突かれて何も言えなくなる
彼は実行委員に参加しているらしく、作業の指示を出していた。 彼曰く本来担当する予定だった生徒が数名来れなくなり、人数が足りなくなったとかで急遽呼び出したという
初めはなぜ彼に、と思ったが、今ならそういうことかと合点がいく
⬜「ほら見ろよきりやんなんて、お前の倍働いてるよあれ」
「同じ理由で呼び出されたとは思えないわほんと」
🟪「…別に、それは人それぞれだろ」
呼び出されたのは俺だけじゃない。同じくきりやんもなかむに声をかけられ手伝いをしているのだ
なかむの言う通り、俺が一往復している間に彼はその倍往復して作業をこなしているように見えた
体力差もあるだろうが何故あそこまで動けるのかが不思議でならない
訳が分からないといった目を向けながら、絶妙に持ちにくいパイプ椅子を抱えて格納庫に移動する。もう少し持ちやすくならないものだろうか
ムッとしていたのが顔に出ていたのだろうか、隣を歩いていた彼に苦笑いされた
⬜「まあまあ、終わったら何か奢ってやるから許してよ」
「多分どっかにきんときもいるだろうから、終わったら近くのファミレス行かね?打ち上げ的な感じでさ!」
運動部所属の彼は、こういった後片付け系の役割を担いやすい。今回も例に漏れずといったとこだろう。彼のことだ、二つ返事で了承したのが目に見える
しかし卒業してない俺らが打ち上げをするのもいかがなものかと思ったが、口にすればきっと終わらない攻防が始まるため大人しくすることにした
🟪「…言ったからには奢れよ?」
⬜「男に二言はないからな、流石に嘘はつかねえって」
「それと今日やりたかったボドゲがあるから持ってきたんだよ、向こうでやろうぜ!あれ4人用でさぁ─」
意気揚々と息巻く彼。もしかしたら本来の目的はそっちなのかもしれない
簡単に内容を話してくれる彼に軽い相槌を打ちながらの作業は思いのほか楽しく、そんなこんなで時間はすぐに過ぎていった
・・・
🟪「や、やっと終わった……」
どっと来た疲れに思わずしゃがみこむ。途中収納ミスがあったり、総出で落し物の捜索をさせられたりでゴタついたとはいえ、無事に予定していた時間内に終了したらしい
なかむは最終連絡があるとかで体育館の前方に消えていった
彼を待ちつつ、壁を背もたれに軽く休憩していると、頭になにかを乗せられる感覚を覚える
見上げるとペットボトルを2本持ち、こちらを見下ろすきりやんの姿があった
🟨「お疲れー、相変わらず体力無いよな」
🟪「普段こんな重労働しないだろ…」
🟨「いやいや、これでへばってるのは体力ないって 」
言い返す気力も大してないため、下から彼を軽く睨みつけるも、軽く眉を寄せるくらいの反応しかされなかった
🟪「…で、何持ってんの」
🟨「ああ、これ?お礼の品だってさ、前で配ってたからお前のも貰ってきてやったんだよ」
そう言って渡されたのは桃味の炭酸飲料
軽く礼を言って受け取り、早速蓋を開け口をつける。疲れた体に炭酸の刺激と桃の嫌にならない甘さが染み渡る。 体が水分を欲していたのだろう、半分近くまで飲み干していた
🟨「…それそんなに美味いの?」
🟪「え?まあ、普通に美味いと思うよ?」
🟨「なんで飲んでたお前が疑問形なんだよ」
味にそこまで意識を向けていた訳でもないため曖昧に答えれば、半ば呆れたように笑って返される。
🟪「気になるなら一口やるよ」
🟨「え、…マジ!?いいの?」
「…いや、でもな……っスマイルはいいの?」
🟪「は?何が」
🟨「その、だから…えーっと」
嬉しそうな顔で俺からペットボトルを受け取った後、一瞬固まったかと思えば何故か口ごもる彼
どうしたんだと聞けば、嫌々説明されたものの、ぼかされすぎてなんの事だかさっぱり分からない
こいつは何を渋っているんだ?
埒が明かない気がして更に問い詰めると「口をつけるがいいのか」という事だったらしい
今度は俺が呆れる番だった
🟪「はぁ!?何だよそんなことかよ…」
「いいよ別に、口つけたらいいじゃん好きにしなよ」
🟨「ほんとにいいの?嫌じゃない…?」
🟪 「いいって言ってんじゃん、いいから飲むならとっとと飲め!」
そこまで潔癖じゃないことぐらい知っているだろうに、何度も確認を取ってくる。同じような会話にうんざりしながら一喝すれば、こちらを気にしながらもようやく蓋に手をかけた
男同士なのだからそこまで気にする必要あるか?と疑問に思ったが、そこで考えが変な方向へ向きそうになり思考に停止をかける
あれだけ動いて身体も火照っていたのだろう、ペットボトルを傾けかすかに上を向いた時に見えた彼の耳は、ほんのり色づいているように見えた
🟨「…美味いなこれ」
🟪「ん、良かったじゃん」
「てかきりやんも同じの貰ったんじゃないの?」
🟨「いや、何種類か選べたんだよね。俺はこっちが気になったからさ」
そう言って見せてきたのは梅味のサイダー。この季節にあっていると言えなくもない。一口いるかと聞かれたが、即答で断った
なかむが戻ってきた時に見たのは、それがが癪に障った彼にもみくちゃにされ、情けない悲鳴を上げる俺の姿だったという
・・・
⬜「─マジで面白かった、スマイルが頭グリグリされて聞いた事ない悲鳴上げてんのとか特に、っはは」
🟪「もういいだろ…どんだけ笑ってんだよ」
未だに思い出しては爆笑している彼にげんなりした目を向ける
今はきんときからの連絡待ち。部活の方で今後の打ち合わせがあるため、終わり次第連絡するとなかむに予め伝えていたらしい
春風はこんなにも気持ちがいいのに、こめかみ辺りが痛むせいで気分はあまり上がらず。お前のせいだぞ、と隣の元凶をねめつければ、肩をすくめるだけで終わらせられたのも気に食わない
⬜「後できんときにも教えてやろっと、あー面白すぎてお腹痛いわ…」
「お、─うわナイスタイミングすぎ!俺ちょっと迎えに行ってくる!」
きんときから連絡がきたのだろう、体育館の方へと走っていく彼を見送れば、俺の周りは打って変わって静寂が広がった
桜が風になびく音に耳を傾けながら物思いにふける。風に揺られて花びらが舞う姿は、まるで春なのに雪が降っているかのようだった
あの突発的な思い付きからだいたい1ヶ月。もちろん答えなど出ているはずがない
彼を見る目が変わったわけでも無ければ、それらしい感情が膨らむ素振りもないのだ。所詮友人に対するある種の独占欲に近いのか、はたまたその時の精神状態に左右れていたのか──
巡る思考の中で誰かに呼ばれた気がして、声がした方向に軽く顔を向ける。立ち位置からしておそらくきりやんだろう
何だと言う意味を込めて眉を動かすと、不意に俺の方向に彼の腕が伸ばされた。デコピンでもされるのだろうかと思わず目をつぶる
しかし俺の予想は外れ、代わりに彼は横髪に軽く触れてきた。彼の手が俺の頬を、耳をかすめる度に全意識がそこへ向かう。
割れ物でも扱うかのように慎重な手つき。数秒経ち、髪から手を離されてから次いで一言
🟨「─髪に花びらついてたから」
🟪「…口で言ってくれたらいいのに」
🟨「え?…あ!ごめん無意識だった」
数秒の間の後、しまったという風な声を上げる彼。何故か弁明されるように、ついていたであろう花びらを見せられる
その姿が面白くて、つい頬が緩んでしまう。その時に思考も緩んだらしい、先程までの思考ゆえの言葉が口からこぼれてしまった
🟪「なぁきりやん、俺の事どう見えてる?」
🟨「は、何その質問キモすぎない…?」
「うーん……強いて言えば口うるさい捻くれた友人、ってところ?」
顔をしかめられたあとに、何とか絞り出したかのような返答を受け取る
“友人”
その言葉だけが脳で反芻される。嫌なわけじゃない、ただ安堵の裏に言い表せない感情が張り付いていることが気がかりだった
─俺は彼からの返答に何を期待していた?
🟪「…ふぅん」
🟨「おい聞いといてなんだよその反応は!」
🟪「いや、ただ…何となく気になったから」
🟨「えぇ…お前いつもそんなこと考えてんの?」
🟪「そんな訳ないだろ、お前だ─」
“お前だからだよ”
言い終える前に口をつぐむ。聞き返されるかと思いきや、丁度いいタイミングでなかむ達が戻ってきた様で、「遅せぇよ!」なんて文句を飛ばしていた
彼だから?きりやんだからなんだというのだ。なぜ彼の存在だけが俺の内を掻き乱している?ほかの友人達には抱く予感すらないというのに
本当は答えなんてとうに出ているのかもしれない。それでもまだ、まだそれに気付いていないフリをさせてくれと己に言い聞かせた
背中をドンと小突かれる。 案の定きりやんからだった。置いていくぞ、と言わんばかりの眼差しを向けられる
俺は思考から逃げるようにして、彼らとファミレスへ向かった
続く
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