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「転生？」
「はい、チートな幼女に転生して異世界を楽しむのもいいし、悪役令嬢に転生して王子様に溺愛とか、なんなら人じゃなくて動物とか魔物とかドラゴンに転生もできますよ！」
猫神様が誇らしげに説明をしてきた。
「えっいいかな…そういうのは」
私はいまいちピンと来なくて顔をしかめる。
「えっ…そうですか。今の子はこういうのが好きなのかと…」
猫神様が私の反応にガックリとしている。
「あっご、ごめんね！普通の人ならきっと喜ぶよ！でも私BLにしか興味ないんだよね～だから王子様とかはいいや」
「びーえる？」
猫神様はなんとBLをご存知ない！私は目を輝かせて説明を始めた。
「そう！ボーイズラブ！略してBL！あっそうだこれだよ」
何故か持っていたカバンからBLゲームを取り出すと猫神様に見せる。
「これね昨日発売されたばっかりなの！まだチュートリアルしかしてないんだけど事前予約で色々と話題になってて！声優さんも最高だし！イラストも最高に素敵でしょ？ヒロインの男の子が対象者をメロメロにさせていって男の子を落としていくんだよ！」
オタク特有の早口でまくし立てると猫神様の髭がピクピクと動く。
「ご、ごめんつい興奮して…あーあこれが出来ないのが唯一の心残りかな…まだ対象者を誰にしようか迷ってたから…」
「ま、麻衣子さん…これは全部男の人に見えますが…」
パッケージの煌びやかな男性人をみて猫神様が首を傾げる。
「そうだよ、これは男の人達同士が恋をする話なの！」
「男同士…」
「そう！男同士だから感じる背徳感や純愛感…秘密裏に愛を育む感じが尊いんだよ…」
私はうっとりと手を合わせる。
「麻衣子さんは…男に生まれ変わりたいのですか？」
「違う、違う！」
私は猫神様の疑問に笑って手を振り否定した。
「私は男の子達が恋したりするのを近くで見れるだけでいいの…私なんかが入っていい世界じゃないからね！」
目をキラキラに輝かせて説明する。
猫神様はじっとゲームを凝視していると…
「なら、びーえる？という世界に転生しますか？」
「えっ！いいの！？」
面白そうな話に食いつくと
「はい、男の子ではなくてまた女性として生まれ変わるので大丈夫ですか？」
「うん！もちろん！」
麻衣子は嬉しそうに頷くと、猫神様がほっとする。
「よかった、麻衣子さんが望む世界がわかって…では早速お送りしますね…男の子達が恋する世界…これかな？」
猫神様は何もない空間を見つめていた。
「ありがとう！あっよかったら猫神様にこれあげる！」
私は持っていたゲームを猫神様にあげた。
「ここは寂しいからね、このゲームでもやってみてよ。ゲーム機本体は買いに行ってね！あっ今度は信号気をつけてよ」
「は、はい」
猫神様はゲームを受け取ると…
「私のゲーム機あげてもいいんだけど…あっ！！」
凄い事を思い出し大きな声を出してしまった。
「ね、猫神様！私が死んだ世界ってどうなってる？もしかしてもうお葬式とかしてちゃってる？」
「そ、それが…」
猫神様が言いにくそうに顔を逸らした。
「ま、まさか！」
「はい…そのまさかです。麻衣子さんはあの世界に元々存在しなかったものとして処理されました…申し訳ありません」
猫神様がガバッと小さな頭を下げた。
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