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今日はすごく晴れていて天気のいい日だ。
「すごい晴れてるし公園行かね?」
「いいぞ。」
お母さんとお父さんはいつもより機嫌が良い様子で話していた。最近は梅雨で雨の日ばっかりで遊びに行けなかったし、家族3人で遊びに行く機会が少なかったから凄く楽しみだ。
公園は広くて綺麗で人気がなく静かな場所だった。
俺は何気なく笑顔で駆け回っているお母さんを追いかけ回した。
急に頭がくらっとして、小石に躓いて、思いっきし転けてしまった。
かすり傷だったけど、傷が深くて痛い。なんとか我慢しようとしたけど、泣いてしまった。
「アキ大丈夫か?!」
お母さんが直ぐに俺のところに駆けつけてくれた。
「だいぶ深いなぁ。こりゃ痛いな…」
お母さんは心配そうな顔をして俺の頭を撫でてくれた。
「消毒と絆創膏あるぞ。」
お父さんが治療をしてくれた。
「ありがとう…」
お父さんとお母さんは優しく微笑んでくれた。何処か儚く、消えてしまいそうでなんだか胸がきゅっとなって泣きたくなった。
夜ご飯を食べにラーメン屋さんに来た。
「うまぁ!今まで食べたラーメンの中で1番うまい!」
お母さんは目を輝かせて言った。
「それラーメン食べる度に言ってるぞ笑」
お父さんは嬉しそうに少し笑った。俺もつられて少し笑う。
食べたあとはすぐ家に帰った。
家に着いてお風呂を済ませてお父さんとお母さんと一緒にベットに横になった。
すると1時間後くらいに急に不安が襲ってきた。泣きたくなるくらい怖くてお父さんとお母さんの手を布団の中で必死に探した。それに気づいたお父さんとお母さんが俺の手をにぎってくれた。すごく温かくて落ち着く。
そしてようやく眠れた。
目が覚めた。なんでかは分からないけど道路にいた。道路には車も人気も無かった。
お父さんとお母さんの手が冷たくなっていた。血の匂いもする。俺は手を握ったまま起き上がってお父さんとお母さんを見た。
死んでいる。じわじわと涙が溢れてきた。
もう一度寝転んだ。きっと夢だと信じて…
目が覚めるとソファの上にいた。起き上がって横を見てみると、とても心配そうな顔をしているハルと真顔でただ俺を見つめているフユがいた。
「先生大丈夫?すごく泣いてたよ。」
ハルは俺が泣いている所をあまり見た事が無かったからか、物凄く心配そうにしている。フユはただ真顔で何も言わない。
「大丈夫。」
声が震えて息が乱れる。
「…そっか。あ、お腹すいてる?ラーメンとか作るよ。」
ハルはいつもとほぼ変わらない表情と声に変わった。
「すいてる。」
なんとか息を整えながら口を開く。
すぐにラーメンを作りに行った。フユがようやく口を開いた。
「なんの夢を見たんだ?」
フユは優しく言ってくれた。
「親が死ぬ夢。」
「そうか。」
両親の笑顔を思い出して泣きそうになる。
でもあまり親友の前では泣きたくなくて我慢していた。
「別に、僕の前で泣くのを我慢しなくていい。」
フユにすぐに気づかれた。
涙が少しづつ頬を伝っていく。
「先生ラーメン出来たよ。食べれそう?」
ハルが戻ってきた。泣きながら頷いた。ハルは机にラーメンを置いて俺の隣に座った。
ハルが作ってくれたラーメンは夢の中で両親と食べたラーメンと似ている味をしていた。
頭がくらくらする。なんだか視界がぼやけて頭が上手く働かない。どんどんと体の力が抜けていく。箸がラーメンの器の中に落ちる。器の中に入っていたスープが飛び跳ねた。
俺はそのまま後ろにあるソファにもたれかかった。
「先生?大丈夫?」
ハルは力の抜けきった俺の手を握った。
温かい。
この温もりもさっき見た夢のようにいつか消えてしまうんじゃないかと不安になった。
でも、嫌でもいつかは消えてしまうんだろう。