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「好きな人いるの?」
友達にそう聞かれて、私は少し困った。
「……いないよ」
そう答えたけど、本当はいる。
ずっと前から。
同じクラスの、悠斗。
優しくて、
たまにバカで、
よく笑う人。
でも私は、好きって言えない。
だって。
悠斗には、好きな人がいるから。
「ねえ、聞いてよ」
ある日、悠斗が私に言った。
「俺さ、好きな人いるんだよね」
やっぱり。
胸がぎゅっとする。
でも私は笑った。
「へぇ、誰?」
「秘密」
悠斗は笑う。
「でもさ、告白しようと思ってる」
その言葉を聞いて、胸がズキッとした。
やっぱりダメだ。
私はこの気持ち、言っちゃいけない。
もし言ったら。
友達のままでもいられなくなる。
その日の帰り道。
駅までの道を、二人で歩いていた。
夕日が少し赤い。
「なあ」
悠斗が急に止まった。
「ちょっといい?」
「うん?」
心臓がドキドキする。
悠斗は少し照れた顔で言った。
「俺さ」
「好きな人に告白しようと思ってるって言ったじゃん」
「うん」
「今、言ってもいい?」
私は無理やり笑った。
「いいんじゃない?」
どうせ。
私じゃない。
そう思った。
悠斗は深呼吸して、言った。
「俺」
「お前が好き」
頭が一瞬、真っ白になる。
「……え?」
「ずっと前から」
悠斗は少し笑った。
「だから、告白するって言ったじゃん」
「好きな人に」
私は何も言えない。
すると悠斗が言った。
「もしかして」
「気づいてなかった?」
私は慌てて首を振る。
「だって…」
「悠斗、好きな人いるって…」
「いるよ」
悠斗は笑う。
「目の前に」
その瞬間。
胸の奥が一気にあたたかくなった。
ずっと言えなかった言葉が、
やっと口から出る。
「……私も」
「悠斗のこと、好き」
悠斗は少しびっくりして、それから笑った。
「よかった」
夕日が、二人を赤く照らしている。
私は思った。
ずっと言えなかったけど。
本当は。
言ってもよかったんだって。
だから私は__
もう、好きって言っちゃいけない、なんて思わない。
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