張り切って短編も書いてみたもののあんまピンと来てないと言うね、
今回はハロウィンについて色々調べてたら結構面白かったんでそれ絡めてem総受けです。
では、どうぞ……
em総受け【HappyHalloween】
ハロウィンとは、2000年以上も昔、遠い西洋の国で生まれた祭礼である。
西洋の国では、10月31日は1年の終わり…つまりは年末であり、先祖の魂が帰ってくると信じられていた。
その祭りは秋の収穫を祝い、それと同時に現世に帰って来た先祖の魂に紛れ、人をあの世へ連れて行こうとする悪霊を祓う為の宗教的な行事だ。
そしてその祭の日には仮面を被ったり、化粧をしたりして悪霊のフリをして過ごすのだ。
それは一体何故か
連れて行かれないようにする為だ。
悪ぅいバケモノ達に
あちら側の世界へと
誘い込まれる事が無いように
「…と、言うのは有名な話だな!」
「貴方が開口一番お菓子を強請って来なかった事が今年一番の驚きですね」
「そこまでか!?」
幹部が揃い、しかし皆が気ままに過ごす談話室の中
意気揚々と入室し、参謀長の目の前のソファを陣取った総統がハロウィンの起源について楽しそうに語って居た。
「もう他の奴らにも渡したのか?」
「えぇ、貴方以外の全員に。皆さんイベント事にはあまり興味が無いと思っていたのですが…そんなにお菓子欲しいんですか?」
「まぁ、それもあるだろうが…ハロウィンは特別だからな!!」
「そういう割には仮装とかはしないんですね」
「…まァ、なぁ?」
濁された言葉の意味に、他人の感情に鈍い参謀長が気付くことは無い。
「して、エーミール」
「はいはい」
「Trick or Treat?」
「ほら、どうぞ」
差し出された掌の上に可愛らしいジャック・オ・ランタンを模したカップケーキが置かれた。
「ほう、手作りとは!手が込んでるな」
「だって貴方達毎年毎年ハロウィンだけはしっかりエンジョイするじゃないですか」
「去年手作りがいいってゴネたの貴方でしょ」と、エーミールが呆れた様に言う。
「ありがとう、大切に食べるよ」
「そんなにハロウィンが楽しみならもっとハロウィンらしい事すればいいのに。それこそ仮装とか「俺らには必要あらへんもんなぁ?グルッペン」」
「へ」
「そうやなぁ、ゾム」
急な後方からの声に驚き周りを見渡せば、いつの間にかエーミールとグルッペンを囲む様に幹部達が集まっている。
「…必要無いって……」
「そのままの意味やで!」
幹部達は愉しそうに笑う
「さっきも話したろ。ハロウィンに人間が仮装をする理由」
「……悪霊達に…連れて行かれないようにする、為…」
「その通り」
「せやのにエミさんは不用心過ぎるねん」
「何言って」
「根も葉もない迷信って訳でも無いねんで?」
「…は」
エーミールはそこで漸く異変に気付く。
先程まで明るい日が差していたのに、窓の外は真っ暗で小鳥の囀りさえ聴こえない。
「ちゃ〜んと用心せんと」
「俺らみたいな悪ぅいバケモノに」
「連れてかれるで?」
刹那、エーミールを取り囲む幹部達の姿が変わった。
目の前の総統には大きな角と長く鋭利な尾が
頼れる書記長には大きく真っ白い翼が
ミステリアスな外交官には黄金色に輝く9つの尾と長っ細い耳が
心優しい復讐鬼には鬼と呼ぶにふさわしい鋭い角と爪が
屑とからかわれる彼は意思を持つように煙を纏わせ
声が大きい狂犬には鈍色の艶やかで大きな耳と尾が
人気者の彼には黒く大きな翼と尖った牙が
あまり基地に居ない皆の兄には真っ白で大きな耳と2本の尾が
天の声を司る彼には額に大きい第三の目が
味方最大の脅威はその体に炎を宿し
神と呼ばれる彼は光り輝く輪っかを頭上に携え宙に浮き
しっかり者の後輩には黒い耳と二又に割れたしなやかな尾が
詐欺師を自称する後輩には両の掌に大きな口が
1番新人の後輩には豹の耳と尾が
十人十色、皆それぞれの姿を現した
「…ぇ……!?」
「漸く準備が整ったんや」
「…準備?」
「あぁ」
「お前を迎える為のな」
「何を言って…」
「じゃあ、エミさん!」
『Trick or Treat!』
エーミールを除いた14人全員の声が重なる
「さ…さっき全員に渡したでしょう?」
「せやな、美味かったわ!」
「ならもう」
「私達が望んでいるのはただのお菓子じゃないぞ!」
エーミールの向かいに座っていたグルッペンが手を伸ばし、エーミールの手を握った。
「さっき言っただろう。『迎える準備が整った』と」
「は、」
「私達が長年求め続けてたのはお前だ」
「エーミール」
バケモノ達は待ち望んでいた
その甘美で純粋な魂が
己らのモノになる日を
「さぁ、選べエーミール」
「俺達にイタズラされるか」
「それとも」
「その身を差し出すか」
あまりに理不尽な選択肢と、周りを取り囲むバケモノの姿をした仲間たちに、ヒクリと口角が痙攣する。
「なんや…それ……」
「拒否権、無いやん」
昔昔、とある大陸のとある国に
とても強い14人のバケモノ達が居ました。
そのバケモノ達は大古の昔に人間界に降り
皆で楽しく過ごしていました。
そしてある日、バケモノ達は出逢うのです。
美しい亜麻色の髪と、神秘的な真珠の瞳を持つ
今まで見た事がない程、純粋な魂を宿す人間に。
バケモノ達はその人間に心を奪われ
その人間をなんとしてでも傍に置こうと考えたのです。
しかし、人間の寿命は彼らバケモノ達には短すぎました。
だからバケモノ達は決めたのです。
『あの人間をコチラ側の世界へ迎え入れよう』と
しかし、もう1つ問題がありました。
その人間の魂が純粋過ぎるあまり、バケモノ達が付け入り、惑わす隙が無かったのです。
それでも彼らは諦めず
短くも長い時間をかけて、少しづつ少しづつ
その人間の魂に近づいて行きました。
そして漸く
彼らはその人間の魂を手に入れたのです。
バケモノ達は人間をとてもとても大切にし
人間も彼らを受け入れました。
それから人間とバケモノ達はいつまでも
楽しく幸せに暮らしたのでした。
めでたし、めでたし
はい、いかがでしたでしょうか。
14人の種族としましては
gr→悪魔 tn→天使 os→九尾の狐 ht→鬼 ut→煙の化身 kn→人狼 sho→悪魔 ni→大神 rb→三つ目小僧 zm→イフリート sn→神 syp→猫又 ci→イゴーロナク rp→豹の獣人
って感じです。
それでは、また次の作品で……
コメント
2件
はぴはろうぃーん🎃 ハロウィンも元を辿ればお盆みたいなものですからね。人外にも愛されちゃうぽやぽやemたそ、可愛すぎ〜。 ハロウィンらしい、ちょっぴりホラーな可愛いお話、ありがとうございました😊