attention
*stxxx
*nmmn
*桃赤
↓
重い足を引きずり階段を登る。
こつ、こつ。
靴の音だけが響く中、ため息を落とした。
今日は一段と疲れた。
上司には色々言われるし、資料は作り直しだし。
全部に耐えて笑顔を貼り付けて来たけど、もう限界だ。
何も考えたくなくて。
身体は染み付いた道を勝手に辿って、気付けば家の前。
じゃらじゃらと静かな夜に響く音を立てて鍵を取り出す。
捻って、がちゃりとドアを開ければ、ふわりと何かのいいにおいがした。
そこに重なる優しい彼の、低い声。
「りーぬ、おかえり」
あたたかい腕を大きく広げて優しく微笑む彼に、靴なんて脱ぎ捨てて、カバンもその場に落としてぎゅっと大きく抱き着いた。
「おかえり、今日は大変だったの?」
すうっと鼻に通るシトラスの香りと、あったかい身体と。
大好きな彼に、今までの疲労が溶けた。
「おつかれ。頑張ったな」
背中を撫でてくれる手が甘くて優しくて。あの時我慢したものがふっと蘇ってくる。
「あんまり優しい事いわないで。おれ泣きそう」
「別にいいんだよ泣いても。我慢する理由なんてないし」
「……そっか」
「うん、沢山泣きな」
もうすでに溢れそうだった涙が、あまい言葉に溢れる。
ぽろぽろ溢れては彼の服に模様を付けた。
彼はそんな俺に前屈みになってキスをする。
近くで見る顔は、やっぱり優しい。
「オムライス作ったよ」
「食べる?」
「…ぅん、たべる。」
先程のいい匂いはオムライスだった様。
「りーぬの好きなふわふわのやつにしたから」
「やった、」
彼はゆっくり俺から離れる。
それから俺が落とした鞄を拾ってから、一緒にリビングへ踏み入る。
ドアをあければ玄関よりも強いふわっといい匂い。
すぐジャケットを脱いで、椅子に座った。銀色に光るスプーンを手に取って、一口分掬うとふわふわの卵がとろけた。
口に含めば優しい味。
「……おいしい、」
「よかった」
「おれさとちゃんのオムライス大好き」
「うれしい。りーぬの為に上手く作れるよう練習したから」
あっという間にお皿は空になった。
がちゃ、と陶器のぶつかり合う音ともに彼が食器を持ち、流しへ皿を置く。
「さとちゃん、おれ眠い」
「お風呂入んないとだめ。一緒に行こ」
「…うん、」
どこまでも優しい彼のお陰で、明日も頑張れそうだ。
End
コメント
7件
え?最高✨
うわぁぁぁぁ😭😭まじで好きだあぁぁぁ😭😭😭😭
語彙力ありまくりで羨ましいです👀✨