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お疲れ様のふわふわオムライス

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お疲れ様のふわふわオムライス

1 - お疲れ様のふわふわオムライス

♥

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2022年04月08日

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attention


*stxxx


*nmmn


*桃赤






















重い足を引きずり階段を登る。


こつ、こつ。


靴の音だけが響く中、ため息を落とした。

今日は一段と疲れた。

上司には色々言われるし、資料は作り直しだし。

全部に耐えて笑顔を貼り付けて来たけど、もう限界だ。


何も考えたくなくて。

身体は染み付いた道を勝手に辿って、気付けば家の前。

じゃらじゃらと静かな夜に響く音を立てて鍵を取り出す。

捻って、がちゃりとドアを開ければ、ふわりと何かのいいにおいがした。


そこに重なる優しい彼の、低い声。


「りーぬ、おかえり」


あたたかい腕を大きく広げて優しく微笑む彼に、靴なんて脱ぎ捨てて、カバンもその場に落としてぎゅっと大きく抱き着いた。


「おかえり、今日は大変だったの?」


すうっと鼻に通るシトラスの香りと、あったかい身体と。

大好きな彼に、今までの疲労が溶けた。


「おつかれ。頑張ったな」


背中を撫でてくれる手が甘くて優しくて。あの時我慢したものがふっと蘇ってくる。


「あんまり優しい事いわないで。おれ泣きそう」


「別にいいんだよ泣いても。我慢する理由なんてないし」


「……そっか」


「うん、沢山泣きな」


もうすでに溢れそうだった涙が、あまい言葉に溢れる。

ぽろぽろ溢れては彼の服に模様を付けた。

彼はそんな俺に前屈みになってキスをする。

近くで見る顔は、やっぱり優しい。


「オムライス作ったよ」


「食べる?」


「…ぅん、たべる。」


先程のいい匂いはオムライスだった様。


「りーぬの好きなふわふわのやつにしたから」


「やった、」


彼はゆっくり俺から離れる。

それから俺が落とした鞄を拾ってから、一緒にリビングへ踏み入る。


ドアをあければ玄関よりも強いふわっといい匂い。

すぐジャケットを脱いで、椅子に座った。銀色に光るスプーンを手に取って、一口分掬うとふわふわの卵がとろけた。

口に含めば優しい味。


「……おいしい、」


「よかった」


「おれさとちゃんのオムライス大好き」


「うれしい。りーぬの為に上手く作れるよう練習したから」


あっという間にお皿は空になった。

がちゃ、と陶器のぶつかり合う音ともに彼が食器を持ち、流しへ皿を置く。


「さとちゃん、おれ眠い」


「お風呂入んないとだめ。一緒に行こ」


「…うん、」



どこまでも優しい彼のお陰で、明日も頑張れそうだ。








End

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