―ある春、僕は制服を買いに来た 。
そう、高校受験に合格したんだ。
僕の名前は、神笑 桃輝。
僕がずっと憧れていた花園学園の制服は、すごくお洒落なんだ。
女の子の制服は、セーラー服なんだ。
襟とリボンとスカートが、ピンクのチェック柄になっている。
女の子は、スカート、キュロット、ロングパンツが選べるそう。
男の子の制服は、白色の学ランで、袖とズボンの裾が水色のチェック柄になっている。
今日から、私立花園学園高等学校の一年生!
今から、中学からの友達の、東 スペド、戸下山 ダイヤとクラス表を見に行くんだ。
「えっと、オレは……二組!」
「俺も二組だ」
えっ、二人とも同じクラスなの?
僕はどこだろう……あ、あった
「僕も二組だ!」
やった!二人と同じクラスなんて嬉しい!
楽しい高校生活になるはずだよ!
嬉しい気持ちで新しい教室に向かった。
昇降口に来て確信した。
やっぱり花園学園はとても綺麗な校舎だ。
綺麗好きな僕にとってはすごく嬉しい。
しかもすごくお洒落なデザインだ。
「一年ってどこなんだ?」
ダイヤがそう言ったので、
三人でフロアマップを見ることにした。
「一年は……三階か」
スペドが見つけてくれた。
新しい教室は、やっぱり少し静かだった。
話している人が少ないうえに、
話している人は小さい声で話している。 こんなに静かだと話しにくいもんね。
すると突然、ダイヤが大声で言った。
「おぉー!やっぱ教室も綺麗だなーー!
あ、みんな、はじめまして!
オレ、戸下山 ダイヤ!
よろしくなーー!
ちょ、え、まって!
漫画最新刊だよな!?
オレ、漫画好きなんだよなー!
もしかして君も好きなの!?」
わあ!ダイヤ、
すぐに友達たくさんできそう!
「ダイヤってやっぱ凄いよな。
俺なら緊張してなかなか話せないかも」
「あはは!僕も、 なかなか話せないかも!
でも話してみなくちゃ仲良くできないしね。僕たちだって、そうでしょう?」
「確かに!話してみなくちゃ始まらないよな。俺も少し勇気を出して話しかけてみようかな」
「うんうん!」
色んな子と仲良くなりたいな!
ていうか、僕の席ってどこだろう?
うーん、あ、あった!
後ろの方かぁ。スペドはどこだろう?
窓際の一番前!そっか!
スペドの頭文字は、あ行だもんね。
あ、なんだか、ミュゲの香りがする。
いい香り。あの子を思い出すなぁ。
綺麗なお顔の子。
ま、ここに居る訳ないよね。
でも、いつかまた会えたらいいな。
次、会えた時は絶対に名前を聞こう。
― わたしの名前は、花美 ありす。
ミルクティーベージュの髪と
アイスグリーンの目が特徴の女の子だよ。
ちょうど三年ほど前に、
日本に引っ越してきたの。
日本生まれだけど、
小さい頃に海外に引っ越したんだ。
長期休みは絶対海外に行くよ!
あ、ちなみに、ハーフとかじゃないよ。
親はどちらも日本人なんだ。
だから家では日本語で話すの。
わたし、通いたい高校があるんだ。
だから海外に住んでるときから、
日本で習うことも勉強してきたんだ。
そして、ずっと通いたかった高校に、
今日から通うんだ!すっごく楽しみ!
ちなみに、わたしが今日から通う高校は、
花園学園高等学校だよ。
制服がかわいいって有名で、
学校も綺麗なの!ほんと夢みたい!
そろそろ クラス表を見に行こうかな。
えっと…わたしの名前はどこだろう。
あ、あった!
二組だ!どんなクラスかな?
他にはどんな人がいるんだろう?………
「…っ!?」
嘘でしょう?え?え?
ううん、見間違えだよ。絶対。
「………見間違えじゃない…。」
そんなことあるはずないよね。
同じ名前なだけだよ。
うん、そうだよ。
で、でも、ほんとにあの人だったら…。
もう一度、髪を整えよう。
制服に ほこりは付いていないよね。
でも、何かが足りないような…。
そうだ。わたしはバッグから、
色つきリップを取った。
そして、わたしの唇を
コーラルピンクに染めた。
これでバッチリ。
わたしは少し緊張しながら
新しい教室に入った。
……あれ、あの人が居ない。
やっぱり違う人だったかも。
浮かれてた自分が恥ずかしいよ…。
しばらく席に座ってぼーっとしておこう。
もう教室へ来て五分くらい経つなぁ。
ガラッ
教室の扉が開いた。
「あ…」
まって。え。あの人だ。
まさか、また会えるなんて…。
どうしよう。
うぅ、やっと落ち着いてきてたのに、
また緊張してきたよ。
だって、あの人、すごく優しいんだもん。
あの日、わたしがあのまま、
ハンカチを落としたことを
気づいていなかったら……。
あのハンカチは、
大切なお友達からもらった物だから。
思い出すと、
心がふわふわ、
ぽかぽかする。
仲良くなりたいなぁ。
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