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彼は人気者だ。いつでも周りに人が沢山集まっている。告白なんて恐れ多いし、人の輪に入るだけでも足がすくむ。でもそばに行きたい。隣に立ちたい。

彼はもう3年生、もうすぐ卒業してしまう。だから私は決断した。一世一代の計画を練った。


「カッコいいよね、付き合いたいかもー」

「でもあの人長続きしないらしいよ。しょっちゅう新しい彼女連れてるって」

「だけどさー、あの人と別れた後の子ってみんなさー・・・」

色んな噂が絶えない人だ。放課後は大体男友達と昇降口横の倉庫前の段差でたむろしている。5〜6人の集まりの中、一際目を引くイケメン。

そのイケメンの前に立って、私は息を吸い込んだ。「大鳥先輩、私と付き合って下さい!」

私は大きな声で言った。恥ずかしくて俯いて目を瞑る。

大鳥ナオ、3年生。ストレートの髪を長めにカットし、グレーっぽい茶色にカラーリングしている。両耳には小振りなピアス。色白で目鼻立ちはくっきり。カットされた眉が綺麗な、オシャレな先輩だ。

「誰?」

大鳥先輩の隣の男子が言った。長身のモデルみたいに綺麗な人だ。

全員の視線を感じる。

「俺で良いの?」

大鳥先輩の声。私は頷いた。顔が熱い。今すぐ逃げ出したいのを気合いで我慢して踏み留まる。

「すげーマジメちゃんだね。1年?」

また違う声で聞かれる。入学以来イジっていない制服に校則通りの2つ結び、指定ソックス、学校ロゴ入り通学鞄。大鳥先輩みたいな人に似合わないのは百も承知だ。

「いいよ。行こう」

風が動いたと思うと、強く握りしめていた手をフワリと繋がれて優しく引かれる。

「マジかよナオ、ソレ行くの?」

「何処に行くんだよー」

顔を上げると大鳥先輩が集団から外れ、私の手を引いて校門に向かっていた。

「新しい彼女と下校デートだよ」


前を歩く大鳥先輩が振り返って微笑む。眩しい。

「ナオって呼んで。呼び捨てで。名前何?」

「・・・凛」

「リン、イイね。カッコヨ」

名前を褒められた。親に感謝だ。

「リン、今いくら持ってる?財布の中」

ん?と私は思った。何故所持金を聞かれるのだろう・・・。思いながらも、うろ覚えの所持金を伝える。

「親は厳しい方?」

「ううん、それ程でもない」

ナオはそれを聞いて、何処かに電話を掛けた。


「ナオの電話はいつも急だからなぁ」

連れて来られたのはナオが行き付けだと言う美容院だった。

「コレ俺の専属。この子俺の新しい彼女リン。宜しく」

「リンちゃん宜しくね。座って座って。学割と新規割引でカットパーマカラーで5千弱でどう」

「ん、それで。色はパープル系?ラベンダーとか似合いそう」

「カラー初でしょう?イキナリそれはキツくない?」

「ならピンク系ブラウンとかは」

「イイね。それで行こう」

と言う感じで、本人無視で勝手に始まった。私がカットなりをして貰っている間、ナオは電話をして席を外し、戻った時には綺麗な女の人を連れて来た。パーマやカラーの待ち時間の間、彼女は私の眉を整えて、学校にもしていける軽いメイクを実際に施しながら教えてくれた。

完成した私は、私ではないみたいに可愛いくなっていた。明るい髪色にゆるふわのウェーブ。淡いメイクは嫌味もなく自然だった。

「完璧じゃない?」

鏡の向こうの私の横にナオが立ってそう言う。

風が動いてナオの顔がすぐ横に来る。鏡を見ている私の横で、鏡の中のナオが私を見たかと思うと、鏡の中の私に顔を寄せる。頬に暖かく柔らかい感触。

「え!」

びっくりする私を見て笑いながら、店を後にした。

会計を済ませて外に出た私は、ナオに家迄送って貰うことになった。ずっと手を繋いで・・・。

「可愛いくなったから襲われたら大変でしょ?」

そんな事を言いながら・・・。

「朝は俺寝坊して遅刻するから、明日も放課後昇降口でね」 寝坊するのが決まっているらしい。3年なのにそんなで大丈夫なのだろうか。

「俺は専門行くから。専門行って資格取って美容師。他のも先決まってる奴ばっかだから遅刻でも何でも出席してればいんだ」

そうなんだ。何もしていない様に見えて、実はしっかりしてるものなんだな。

「じゃ明日ね。通帳ごと持ってきて」

繋いだ手を離して、頭を撫でて、背中を向けて後ろ手でバイバイ。イケメンの破壊力を噛み締めつつ、頭にポカンと疑問が一つ浮かんだ。

「通帳・・・」


「1日でこれかよ」

「ナオすげーな」

昇降口を出ると、横からそんな声が聞こえた。

顔を向けるとナオが笑顔で立ち上がり歩いて来る。今日はナオの他に4人の男子。その中の1人が目が合った時に言う。

「リンちゃん、ナオに飽きたら俺と、」

後ろからモデル風の人が殴る。

風が動いてナオの腕が私の肩に掛けられた。軽く笑いながらナオが言う。

「行こ」

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