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離婚します  第一部

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離婚します  第一部

2 - 第2話 拒否された!

♥

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2024年10月22日

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晩ご飯の時間。テレビでは、ドッキリの番組をやっている。


「あはは!ちょっ、これ面白い!わかっててやってるんじゃないの?!」


出だしたばかりの芸人が、ありふれたドッキリを仕掛けられて大げさなくらいのリアクションをしている。

向かい合った旦那は黙々と箸を口に運んでいる。


「ね、面白いよね?このコンビ。売れそうじゃない?」

「あ?あー、わからんな」


画面を見ようともしないで返事をする。

もともとそんなにしゃべる人でもなかったし、大声で笑う人でもなかった。


それでも、もう少し私の言うことに耳を傾けてくれてた気がするんだけど。

今は、話しかけたらやっと答えてくれるくらいだ。


ひとしきり笑ってご飯を食べ終えた私を見て、待っていたかのように


「お茶、ちょうだい」


と旦那。


それくらい自分でやれば?と言おうとしたけど、美味しいお茶を飲みたくなったから黙って淹れることにした。


急須に茶葉を入れて、適温のお湯を注ぐ。

ちょっとだけ奮発して買った茶葉からは、とてもいい匂いがする。


「はぁー、いいお茶の匂い、さすが高級なだけあるわ」


そう言いながら旦那の前に、湯呑みを出した。

旦那は黙って湯呑みを持つと、立ち上がり自分の部屋へと向かう。


「えー、ありがとうもなし?」


なんだかなぁ。

嫁だったらお茶くらい淹れて当たり前なのかもしれないけどさ、ありがとうくらい言ってくれてもいいのに。


「あー、美味しい!自分で淹れると特に美味しいわ」


でも。

半年もいなくなると思うと、やっぱりちょっと寂しいかな。

うん、さっきのこともあるし、仲直りしとこっと。


片付けて、さっさとお風呂に入る。

こんな時は、肌を重ねて仲直りっと。


下着…はいらないか。

髪を乾かし、素肌にパジャマで旦那の部屋へと向かう。


「タロウ、あんたちょっと邪魔しないでよね!」


和室の前に横たわっていたタロウをよけて、旦那の部屋の襖を開けた。

灯りの下で、旦那はスーツケースを広げて荷物をまとめていた。

畳の上に置かれたベッドの上には、いろんなものが散らばっていた。

そっか、出張の準備か。

こりゃますます、別れを惜しんで濃厚なやつをしとかないと浮気するかも?なんて考えた。


「あ、あのさ…」


こういう場合、なんて言えばいいんだろ?

抱いて?しよう?

いつもどうやって誘ってたっけ。

そういえば、しばらく旦那とセックスしてないことを思い出した。


私が話しかけたのに、聞こえてないのか作業服や下着やスーツやスウェットを畳んでは、スーツケースにしまっていく。


「ねぇってば!」

「は?何?」


荷物をまとめる手は、止めようとしない。


「明日から行くんでしょ?」

「だから!今忙しい、見てわかるだろ?」


「うん、ごめん、私も手伝う。だから、ね?」

「なに?」

「終わったらちゃんと手伝うから、しよ!」


言い終わると同時に旦那をベッドに押し倒した。

不意をつかれた旦那は、思ったより簡単に私の下敷きになる。


「ちょっ、まっ、待てって」

「あ、そか、電気消さないとね、さすがに」


立ち上がり照明のリモコンを探した。


「あれ?どこ?」

「いや、そうじゃない、違う」

「え?じゃあ、なに?ゴムがないとか?」

「…や…くれ」


声が小さくて聞こえなかった。


「ん?聞こえないけど」


すーーっと一度深呼吸する旦那。


「そんなにセックスしたいなら、外でやってくれ!」

「は?!」


一瞬、何を言われたかわからなかった。


「外でって言った?いま、ね!」

「あぁ、言ったよ。外で勝手にやってくれ、俺はもうしたくない」


そう言うと、私をベッドから引きずりおろして襖からリビングへ押し出した。

あまりに突然のことで、理解できない私はされるがままにリビングで座り込む。

ばん!と襖が閉められた。


「拒否された?」


思わずつぶやく。

拒否どころか、外でして来いと言われた?


「ちょっと、どういうこと?私が外で誰かとセックスしてもいいってこと?」

「…」


返事はない。


「浮気してもいいの?それとも、あんたが浮気してるからそんなこと言うの?」


襖をバンバン叩きながら問い詰めた。

いきなりガラッと襖が開いた。


「浮気なんかしてない、でももう俺はしたくない。だから、そんなにお前がしたいのなら、誰かと勝手にしてくればいい!言いたいことはそれだけだ」


「うそ…」

「嘘じゃない、浮気なんかしてない」

「違うわ!その嘘じゃない、私が話しかけてもあんな適当な返事しかしないのに、なんでこんなことだけはそんなにハッキリ言うのかってことよ」


はぁとため息をつきながら、首をふる旦那。


「合わないんだよ、俺とお前は。いろいろと合わない、そういうことに関しては特に。とにかく、準備もあるからほっといてくれ」


ピシャリと襖が閉められた。


あ、そうなんだ。

へぇ、合わないんだ私たち。

そんな気はしてたけど。

だから私ずっとイライラしてたのかな。


でもそれは、裸で抱き合えば解決することかと思ってたのに。

それを拒否されたとなると、私はどうしたらいいんだろ。


誰かと?するぞ!


「ホントに外でしちゃうからね!後悔しても知らないからね!」


ソファにあったクッションを襖に思い切り投げつけて、2階へ上がった。

生活パターンが違う私と旦那は、家を建てた時から別々の部屋を持っていた。


「はぁー、むしゃくしゃする!こうなったら、とんでもなくいい男見つけてやるんだから!」


ヘッドフォンをつけて、ロック曲をガンガンにならした。


よくわからない歌詞を適当に大声で歌って、めちゃくちゃに踊って、そして知らないあいだに泣いていた。












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