_桜介、大好きだよ
朝起きるたびに、この声を思い出す。 もう一生聞くことのできない声を_
_好きだよ 月詠にそう告白された時、泣くほど嬉しかった。ずっと、片思いだと思っていたから。
告白されたのは、桃と鬼の戦いが終わったあとだった。この長い戦いに終止符を打った。
この時は、とても幸せだった。この平和になった世界で二人、一緒に生きようと思えた。
だがそれは、風に吹かれた煙のように、達成できない目標になってしまった。
鬼と桃の戦いが終わったからと言って、鬼の存在が消えるわけではないし、桃の存在が消えるわけでもない。
ただ、桃に恨みを持った鬼が桃を襲ったりする、という話を聞いたことがある。
それが現実になった。
家族を桃太郎に殺されたという鬼が、月詠が一人の時に襲いかかり、月詠は殺された。
俺はその鬼を殺した。ダメなことだとはわかっていたが、頭に血が上り、冷静になれなかった。
殺したあと、月詠の元に駆け寄った。息が絶え絶えな月詠を見て、自分の無能さに腹が立った。
最後の最後に月詠は、血だらけの俺の手を握ってこう言った。
_桜介、大好きだよ
その言葉が昨日のことのようにはっきりと頭に残っている。
月詠がいなくなってから、毎日が辛くて辛くてたまらなくなった。人生に、疲れてしまった。
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