テラーノベル
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「あぁそうさ!どうぞ座って!」
「1人で経営しているときいたのですがそちらのかたは?」
「助手の…名前を聞いていなかったね」
「あぁハヤトです、助手ではなく知り合いみたいなものです」
「僕はそうだね…マリト、マリトと呼んでくれ」
「落とし物をしてしまって、とても大切なんです」
「…すぐに見つけていただきたいんです」
「落とし物は少し傷のついた銀の時計…そうだね?ハナさん」
「はは…驚いた、噂は本当だったんですね」
「私立探偵のあの男は10を語らずとも100解ると、近所のかたからも祖母からもよく聞いていたんです」
「…あぁ思い出した、君のその美しい顔にはどこか見覚えがあったんだ」
「君の祖母の名前はキョウコさんだ」
「祖母を知っているのですか」
「知っているとも、彼女はよく僕の元へ来ては茶を飲んで少し話して帰っていったよ」
「そうか、もう孫をもつ歳か…懐かしいね」
「祖母は去年の春頃に亡くなりました、最後まで私に困ったらここを訪ねなさいと」
「…そうか、もっと推理の時間とかとったほうがよかったかい?余韻とか浸っとく?」
「いえ、早ければ早いほどありがたいのです…が、もう場所がわかったのですか?」
「近くの海辺の踏切だ」
「だが僕は慣れない外出をしたせいでもう動けない」
「困ったなぁ助手でもいないものか、学生でたくさん動けるような人いないものか」
「俺に行ってこいと?」
「…はぁわぁったよ、持ってきたら推理の内容とさっきの話ちゃんときかせろよ」
「りょうかーい、さてハナさん僕と茶でも飲もう」
「え、あはい 」
なんだって人使いの荒いやつだ。
傷のついた銀の時計…ね。
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