テラーノベル
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冬夜はひとりで画鋲を片付けていた。先刻渡したノートはきっとボロボロになって返ってくるのだろう。いつもそうだった 。
みんなが靴箱を通る時冷たい視線が冬夜に向く。
((なにやってんのあいつ
((知らないわよ。
((邪魔だから早くどいてくんない?
「………」
冬夜は黙々と片付けを進めていた。五分ほどした頃キーンコーンカーンコーンと予鈴が鳴った。
「やっべぇ急げ!」
「やばば!」
(あ……また先生に怒られるなあ)
冬夜はそう思いながら片付けを進めた。その時、
「手伝うよ。」
という声が後ろから聞こえた。冬夜は吃驚して振り向くと、背の高いくせっ毛の男子が立っていた。
「え……あ、大丈夫です。僕が落としてしまったので自分でやります。」
「でも、もう本鈴鳴るよ?2人で片付けた方が……」
「大丈夫です!ひとりでできるので……」
「……でも……」
「大丈夫なのでもう行ってください。」
「………」
冬夜は男子に近づいて言った。
「(小さな声で)変な噂がついたりするので関わらないでください。」
「……!」
「ごめん。考えないで言っていた。でも、俺は気にしないから……」
「貴方が気にするとかの問題では無いんです。変な噂がつくことは僕が嫌なので。」
冬夜は冷たい声で言った。
「………ごめん。でも、じゃあ、名前だけ。名前だけ教える。それでいいかい?」
「………」
冬夜は小さく頷いた。
「……俺の名前は、夏目。夏目朝日だ。」
「……僕は泉。泉冬夜。」
「わかった。変に関わってごめん。」
そういうと男子……夏目は笑った。
「また会えたらよろしくね。」
「……はい。夏目さん。」
冬夜がそう言うと夏目は去っていった。
本鈴がなった。
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