テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
恵
214
#探偵
橘靖竜
5,774
にここ
79
人類は突然覚醒する者が増えた。
念動力、テレパシー、テレポーテーション、千里眼、そうそれは超能力。
覚醒した者たちはその能力を自在に操り、欲望のまま力を使うものが増え続けた。
超能力者による、犯罪が増え続けたのだ。
当初、超能力者を取り締まる法律はなかったのだが、あまりに犯罪が多いため、超能力取締法ができた。
この物語は警視庁捜査一課超能力捜査班の面々が大活躍する物語では……残念ながらないのである。
「警視庁捜査一課超能力捜査班に入電中!警視庁捜査一課超能力捜査班に入電中!超能力者による殺人事件発生!直ちに現場に向かってください!」
警視庁捜査一課超能力捜査班の詰め所に入電が入った。
詰め所にいた5人の刑事は昼時だったので、カップラーメン等を食べていたが、すぐに食べるのをやめて現場に向かう。
すぐに地下駐車場に行き、覆面パトカーに乗り込み、パトランプを車体の上に装着した。
「加賀美警部補、現場は新宿御苑だそうです!どんな事件ですかね?うちだから超能力者の犯罪でしょうけど?」
運転してるのは加賀美警部補。
隣の席にはバディを組んでいる新人刑事、武藤。
2人とも体のラインが出ているピッタリとしたスーツを着ている。
「そんなの現場を見ればわかるでしょ?」
加賀美警部補はクールに答えた。
加賀美警部補はいつもクールで塩対応だ。
「ボクは超能力者といつか大捕物したいんです!」
武藤刑事は血気盛んだ。若いからだろうか?
「そんなことにならないのはいつもわかってるでしょ?」
加賀美警部補は呆れた顔をしている。
超能力者の犯罪は超能力者が衝動的にやる場合がかなり多い。衝動的に超能力を使い、相手を殺す。
しかし、その後冷静になるのか出頭してくるのが多い。
ドラマみたいな犯人との追いかけっこや大捕物はない。
超能力者は頭の中で怒りに任せて、相手を殺したい!と思っただけで殺せてしまう。
想像だけで殺人ができるのだ。
殺人という結果がすぐ出てその結果に青ざめてしまう。
そんな犯罪者が多いのだ。
初めての超能力がそのまま殺人に至ってしまうケースも多い。
想像するだけで殺人ができる恐ろしい時代が来たのだ。
加賀美警部補は人間は欲望で生きていると思っている。
人間は欲望に常に負け続けている。
法に触れるような欲望を満たした者が犯罪者なだけだ。
欲望を我慢できた者だけが犯罪者ではないだけ。
人間は綱渡りをして生きている。
綱から落ちないように必死に生きている。
綱から落ちたら欲望に負ける。
そして犯罪者になる。
警察はそれを取り締まるだけ……。
それ以下でもそれ以上でもない。
犯罪者にも被害者にも感情移入しないようにした。
武藤刑事は全く逆だ。
犯罪者に怒り、被害者を見て泣き出してしまう。
新人だからそうなのだろう。
いつしか、慣れてきて私のようになる。
加賀美警部補は武藤刑事を眩しそうに見た。
そんなことを考えていたら、現場に着いた。
新宿御苑は広大だが、先に所轄の刑事や現場検証が始まっておりブルーシートもあるのですぐわかった。
超能力捜査班の他の面々も先に着いていた。
加賀美警部補は面倒そうに手袋をはめる。
武藤刑事も跡を着いてきた。
ブルーシートの中に入ると被害者が見える。
被害者は顔が原型を留めていなかった。
超能力者が頭の内部を爆破したのだろう。
肉片が飛び散り目玉が飛び出し脳漿が散乱している。
服装は女性の服なので被害者は女性だとわかる。
武藤刑事が口を押さえてどこかに走って行った。
気持ち悪くなったのだろう。
超能力者の犯罪は陰惨を極めることが多い。
被害者の体が原型を留めないこともある。
新人の武藤刑事には荷が重いかもしれない。
加賀美警部補は被害者の遺体に祈りを捧げた。
せめて、痛みを感じないぐらいに即死ならいいのに。
加賀美警部補はそう願った。
そこに所轄の刑事に連れられて、泣いている少女が現れた。彼女が被害者を超能力で殺してしまったと供述しているらしい。
やはり、罪の意識に耐えきれず自首してきたか。
この事件もこれで解決。
あとは適当に調書を取って動機で聞くかな。
それとも取り調べも所轄に任せるか。
超能力捜査班の班長に相談しよう。
加賀美警部補はそう思った。
何にせよ、やる気がないのである。
あいつが来なかったら、問題なく終わるな。
そんなことを考えているとキコキコと自転車の音がした。
あちゃー!やっぱりあいつが来てしまった!
ママチャリに乗った女子高生がブルーシート押しのけて乱入してきた。関係者以外は入らないで!と警官が言う。
その声を無視して女子高生は自転車から降りて現場に入り、被害者を見た。うわ!ひどい!と声を出す。
光に照らされると茶色く見えるロングストレート美少女で黒のセーラー服を着ている。
その少女を所轄の刑事がブルーシートの外に出そうとした。
「気安く触らないでください。私はおじい様から特命を受けた自称美少女無能力捜査探偵なのですよ!」
女子高生の少女はそう言い、警察手帳のようなものを見せた。
だが、どう見ても警察手帳ではない。
だが、そこには警視正の写真と承認印がある。
「私の邪魔をすると言うことはおじい様、警視正の邪魔をするという事と同義!おどきなさい!」
刑事を押しのけて、女子高生探偵はやってくる。
そう、彼女は警視正の孫娘、自称美少女探偵なのである。
自称?まぁ、見た目はそれなりの美少女ではある。
「私とおじい様は超能力など信じません!この事件を超能力ではなくて無能力だと推理します!」
女子高生探偵はえへん!と胸を張り宣言した。
加賀美警部補は何回か彼女に会った事があり面倒に思う。
警視正は超能力反対派で、超能力に懐疑的なのだ。
警視正は忙しく、いちいち現場の事件に介入できない。
そこで孫娘に特命を与えて捜査させるのである。
無論、普通ならそんなことはありえない。
しかし、彼女は邪魔する刑事や警官を片っ端から警視正のおじい様に告げ口するのである。
告げ口された刑事や警官は左遷させられたり、酷いと懲戒免職させられるらしい。
犯罪者より達の悪いとんでもない女子高生探偵なのだ。
女子高生探偵を知っている他の刑事が彼女の邪魔をしてしまった者に耳打ちした。
女子高生探偵には絶対逆らってはいけないと……。
「こ、これは失礼致しました!お許しください!」
警官や刑事達は、慌てて謝った。
「分かればいいのですよ?分かれば……」
女子高生探偵は、オホホホと笑っている。
なんとも、性根の悪そうな探偵である。
「しかし、探偵さんよ?この事件、犯人は上がっていて超能力で殺したと自供してるんだ。自称?美少女探偵さんの出る幕なんてないんだよ?」
加賀美警部補は面倒くさそうに説明した。
他の刑事達は青ざめた。
そんな事を言っては女子高生探偵の機嫌を損ねると。
「私は超能力が無いと推理するだけ!犯人が超能力だと言い張っても無視します!」
女子高生探偵はとんでもないことを言う。
「そこの犯人さん?これは超能力でした犯罪ですか?」
女子高生探偵は犯人に聞く。
犯人の少女は震えながら、そうですと頷いた。
少女は被害者の女性とトラブルになり、カッとなって念動力で被害者の頭を潰してしまったという。
やはり、どう見ても超能力の事件なのだ。
「超能力なんてありえません!気の迷いです!」
女子高生探偵は断言した。
「いいですか?例えばこういう推理はどうでしょう?
この被害者の女性に小型時限爆弾を飲ませたとか?時間が経てばドカン!と爆破です!!」
女子高生探偵はそこそこの胸を張り推理した。
だがしかし、その推理はド下手なのである。
そもそも推理と呼べるのだろうか?
見守る刑事たちは、あちゃー!と額を抑えた。
この子は、アホの子だと皆が確信した。
だがそれを指摘出来る者はいなかった。
告げ口が怖いのである。
「それだと食道から胃を通ってお腹で爆発するのでは?」
外から帰ってきた武藤刑事がツッコミをしてしまう。
ブルーシートの外にいたので告げ口云々を知らないのだ。
「あなた、名前は?」
女子高生探偵はイライラして聞いた。
それは告げ口するという宣言である。
「武藤です!でも推理は頭の運動になり良いですね!」
武藤刑事はニカッと笑顔で言った。
陽キャならではの満面の笑顔。
女子高生探偵はまぁ推理は良いものよね……。
と、満更でもないご様子。
告げ口されないといいな、武藤……。
加賀美警部補は心の中で祈った。
「なら、こういう推理はどうでしょう?この被害者の頭に突然空から大きな万力が降ってきて、被害者の頭を押さえ込んでギリギリと閉めたのです!そして犯人の頭は粉砕されてしまったのです!どうですか?この名推理!!」
女子高生探偵はまた胸を反らせてドヤ顔をした。、
「なら、凶器の万力は何処に?」
また、何も知らない武藤刑事が聞く。
「そんなの犯人が持ち去ったのですわ!」
美少女探偵はそうでしょ?と、犯人に聞く。
「そもそも、万力ってなんですか?」
なんと若い犯人の少女は万力を知らないのであった。
周りの刑事達はまた、あちゃー!と頭を抱えた。
そんな感じで女子高生探偵は、しょーもない推理を何度もした。
その時、不思議なことが起こった!
被害者の女性の顔が徐々に戻ったのだ。
そして、綺麗な顔になっていく。
息を吹き返している。
女子高生探偵は本人は否定しているが、超能力者なのだ。
巻き戻しの超能力を持っている。
女子高生探偵は最初、被害者の顔を凝視してしまう。
そこで超能力が発動したのだ。
被害者は生き返り、事件自体が無くなった。
犯人(もう犯人ではないが)の少女は生き返った女性に抱きついた。
ごめんなさい!ごめんなさい!と謝っている。
犯人だった少女は被害者だった女性のことが好きになり、告白したが断られたので犯行に及んだという。
そんなに好きなら付き合ってみる?と女性は言い、少女を抱きしめた。
なんなんだ、この展開は??と刑事達は呆れ帰っていく。
加賀美警部補と武藤刑事も帰ることにした。
少女と女性は、ずっと抱き合い、愛を育んだ。
その様子を女子高生探偵は拍手して祝った。
めでたしめでたし
コメント
1件
読ませていただきました!超能力犯罪というシリアスな設定なのに、女子高生探偵の♡♡♡推理と巻き戻し能力でまさかのハッピーエンドになる展開が最高でした。特に「万力」の推理には思わず笑ってしまいました。武藤刑事の無邪気なツッコミもいい味出してますね。加賀美警部補のクールな塩対応に隠れた優しさも好きです。続きが気になります!