──────いえもん視点──────
──────ボトバタガシャンッガタン
生きていたものが地に額を擦り付けて命が事切れる。死神の鎌は不可視のようでそれらは、臆せずに俺に刃を向ける。向けたと同時にそれらは魂を死神によって破壊される。
幻想的な青白い光が夜よりも暗い森をほのかに照らす。しかし、すぐに死神の手に持つランタンに回収されて言って、明かりは消えたり現れたりとまるで点滅しているかのように繰り返す。
一番最初に捕らえたそれは涙を目にいっぱいにため、何かを叫ぼうとするが、それは擦り切れた声にしかならない。魂だけが抜かれた死体はまるで生きているかのように美しい姿のままこと切れていた。使い古された人形。そんな言葉が一番似合うような気もする。生憎、それらを上手く表現できるほど文才は無いため諦めるが。
「種族長の場所、言え。」
「ッあ”ぁ”…ッぁッ……ぅ”ッヒぃッ…」
それは、まともな言語すらも喋れなくなってしまったようだ。用済み、そう判断して聖水をかける。レイラーさんがわざわざ調合してくれた特別品だ。痛みなく逝けるらしい。正直、痛みなく、というのは不服ではあるが、最後くらいはいい夢を見させる。
「…。」
「パ……パ──────。」
そう言い残して、それは事切れたかのように眠りにつく。涙は乾いた瞳を潤していたが、やがて役目を終えたかのように頬をつたい、地に落ちる。
「……あっけな…。」
不思議と、出た言葉は罵倒でも、慰めの言葉でもなく、ただの感想であった。しかし、これを殺したせいで種族長の情報を聞くことが出来なかった。
──────魔王。魔族の圧倒的頂点。それに逆らうものはいない。かつての世界は魔族が最強だと謳われるほどだった。しかし、今はどうだろう。歴史書を見る限りここ3万年間の間、魔王は生まれ落ちていない。そして、現在もその記録は更新し続けている。
俺は知ってしまった。この世界の歴史を。争いを。改革に、革命に犠牲は付き物だということ。──────人間が最弱種族となったのは魔族のせいであると。
「いこう。」
俺は短く告げると死神はこくりと頷き、魂へと戻る。そうすると、最初にあった犬人族以外の死体がチリとなり消えていく。そんな光景を見届けた後、魂をランタンのように使い、先へと急ぐ。多分だがそろそろ──────
「止まりなさい。幼き子供よ。」
やはり、と言うべきか仲間思い(笑)であろうそれが姿をあらわにする。
切れ長の瞳、瞳孔は縦長に細長く、蛇のようだ。黒髪のくせっ毛のロングヘアは男にも女にも見ることが出来る。鉄のような材質で作られた鎧のようなもので体を覆い、マントは重厚感に溢れ、闇夜に溶けてしまいそうなほど黒かった。黒い角は堂々としていて、異彩を放っている。そして、種族長の証とでも言うように黒く、赤い光を放つ宝石をマントの留め具として使用している。
「確認します。あなたが種族長でしょうか?」
いつもの癖で敬語を使ってしまう自分に内心舌打ちする。しかし、今から死ぬ相手に礼儀を払うべきだ、そう考え直し、先程の舌打ちを撤回する。そんな事を考えている間にも種族長は話し始める。
「いかにも。」
そう、短い言葉で返される。そう、これを倒せば残り半分滅するだけ。そう考えると意思とは関係なくと口角が上がる。頬が高揚しているのがわかる。そう、なるほど。そうか。楽しんでいるのかもしれない、この状況を。心の底から喜んでいるのだ。魔族の死を。滅亡を。
「子供よ。お前の名を名乗るといい。」
どこまでも高圧的な態度は気に入らない。今は対等の立場、なんて戯言を今更言うつもりは無い。しかし、こんな余興に付き合うのは悪くはない。
「茶川いえ。お前達が散々嘲笑ってきた人間だ。」
皮肉ったセリフを吐き捨てる。死神に手出しをさせないように後ろに下げる。俺は、自分の実力で勝ちたいのだ。1人の人間として。
俺がそんなことをいえば種族長はふーむと考えるような仕草をした後、ぎこちない笑みを浮かべる。
「別に嘲笑ったことは無いが…。どうせ散る命。魔族への恨みつらみ、申してみせよ。その間、手出しはせん。」
まるで自分が勝つのを確信しているかのようにそんなことを言うそいつに呆れを感じる。しかし、まあ。吐き出してもいいのかもしれない。どうせ、俺が殺すのだから。聞いたものは誰もいなくなる。
「はは…ッあなたも知っているでしょ?魔族と人間の因縁を。忘れたとは言わせません。」
「…。」
それは喋らない。それとは対象的に俺は話を続ける。
「人間から精霊の加護、魔力、力…あらゆるものを奪い、さらに俺たち人間の寿命を奪った…ッ!」
「…」
俺は1拍、深呼吸するために置く。ありったけの恨みを込めて。
「それなのに…ッ俺たちの種族を1度絶滅へとおいやった…ッ!!!忘れたとは言わせませんよ…ッッ!!!」
「人の子よ…それは──────」
「黙ってください。これ以上の議論はやめましょう?お互い、話したくないでしょうから。」
俺は静かに銃、剣を強く握る。手汗によって滑り落ちる、なんてことはしたくないからだ。
「さあ、始めましょう。」
──────因縁の戦いを
ここで切ります!いえもんさん編書くのくっそ楽しいですね!順当に狂い始めてて良きですよ!今まで人のことを散々他の人を狂人呼ばわりしたのは自分が狂人だと自覚しているからこそ、同類だ、と密かに思ってたんでしょうね。いえもんさんかっこよくかけて良きですよ!
良いご報告
それと、皆様のコメントのおかげでif版+番外編用の物語を作りました!題名は『明日の祝福』です!とりあえずif版の設定を出しました!是非見てもらって…。予定としては月、金にあげる予定です。まあ、つまり私の習い事関係ですね。その日本編ほどコストがあるもの作ることが出来ないので。把握お願いします!
それでは!皆々様!おつはる!
コメント
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おぉ〜いえもんさん話聞け〜?