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俺は小さい頃からなにかを感じることができた。それがなにかわからないけど、確かにそこに存在を感じることがある。
しかし、見る方法がある。
メガネをつけたり、鏡や水面に反射して写る姿などなにか媒体があると、今まで感じてたものを見ることができたのだ。
もちろん、このことは誰にも言っていないし、言わない。
なぜなら、後継者になりたくなかったから。
涼風家が有名な陰陽師の家系だということは倉を見た時に知っていたし、おじいちゃんが陰陽師だったことも知っている。
俺はおじいちゃんが怖かった。
普段優しい顔をしてとてもいいおじちゃんだったけど、あやかしの前だと命乞いをされても躊躇なく首を刎ねているところを見たことがある。
俺がそんなことできるわけがない。
幸いおれはメガネとかしてないとただ感じるだけで見ることはできないので、なにか特別な力を持っているとは微塵も思われなかった。
まず兄さんが全く霊感なかったからあまり疑われなかった。
あと、お父さんが少し感覚が鋭いみたい。お母さんは普通の人。
でも、その兄さんがある日から急に変わったのだ。
急に金魚の妖怪を連れて帰ってきたんだ。
それからは急激に兄さんの存在感がどんどん増していった。
なんか裏山に入り浸っているし。周りの金魚も増えたり大きくなったりしたし。
とにかく急に兄さんが変わったのだ。
ここ最近近くの沼の方であやかしたちの戦いがあったみたい。すごい妖気をビンビン感じた。
その時兄さんは帰りが遅かった。
今度は遠くの山の方でもっと大きなあやかしたちの戦いがあったみたい。前よりも多くて強い妖気を感じた。
兄さんの帰りも遅かった。
そして帰ってきた兄さんは、昨日見た兄さんより一段階以上強い存在感を感じた。
間違いないだろう。
兄さんはあやかしと命懸けで戦っている。
おじいちゃんと同じような気配も放つようになってきた。強者の気配。
僕はこの手の話は関わりたくない。
でも、兄さんが助けを求めていたら。
俺は兄さんを躊躇わず助けに行くだろう。
実は倉にあるおじいちゃんの書物を漁って基礎的な陰陽術と涼風家に伝わる独自の術も会得している。
俺は霊力は少ないけど、なんかセンスは良かったみたい。やはり陰陽師の血が流れてるのだろうか。
まぁ、戦いたくはないけど、自衛のために覚えた。
できれば、あやかしなんかとは関わりたくないけど…
でも、いつかはあやかしと戦わなくちゃいけない時が来ると思う。
これは俺の勘だけど…