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(場所:2月14日・QuizKnock編集部)
sgi『……ふぅ、今日の収録も疲れたな』
(デスクに戻り、椅子の背もたれに大きく体を預ける。時刻はもうすぐ20時。編集部には数人しか残っていない)
ymmt『あ、sgiさん。お疲れ様です』
(隣のデスクから、ymmtが少し落ち着かない様子で声をかけてきた)
sgi『おー、ymmt。お前もまだ残ってたのか。熱心だな』
ymmt『いえ、これくらい普通ですよ。……あ、そうだ。これ、あげます』
(ymmtがポケットからガサゴソと取り出したのは、小さな透明な袋に入った色鮮やかな飴玉だった)
sgi『ん? 飴?』
ymmt『はい。さっきコンビニ行った時にたまたま持ってた……というか、余ってたんで。ほら、sgiさん疲れてるみたいですし、糖分補給にどうぞ』
sgi『たまたま余ってたって……。お前、今日はバレンタインだぞ? 普通チョコだろ』
ymmt『……いいじゃないですか、別に! 僕はチョコより飴派なんです。深い意味なんてないですから。じゃ、僕、作業戻りますね!』
ymmtは耳を少し赤くしながら、逃げるように自分の席へ戻り、不自然なほどキーボードを叩き始めた。
sgi『(なんだよ、あいつ……)』
sgiは手元の飴玉を見つめる。
オレンジ色に輝くそれは、どこかymmtの明るさを思わせる色をしていた。ふと、sgiの脳裏に「クイズプレイヤーとしての知識」がよぎった。
sgi『(……確か、バレンタインの贈り物の意味っていうベタな問題、あったよな。飴は……)』
念のため、手元のスマホで「バレンタイン 飴 意味」と検索してみる。画面に表示された検索結果をなぞった瞬間、sgiの指が止まった。
キャンディ(飴):『私はあなたが好きです』 理由:口の中で長く甘さが残ることから、「関係が長く続く」ことを意味します。
sgi『…………は?』
反射的に隣のymmtを見る。彼は必死に画面を見つめているが、赤くなった耳先は隠せていない。
sgi『(……「たまたま持ってた」だと? 嘘つけ。あらゆる知識を網羅するクイズプレイヤーのあいつが、この定番中の定番の意味を知らないわけがない)』
sgiはしばらくその飴玉を見つめていたが、やがてふっと口角を上げた。
sgi『……なぁ、ymmt』
ymmt『ひゃ、はいっ!? な、なんですか急に』
sgi『これ、今食べてもいいか?』
ymmt『え……あ、はい。どうぞ、好きにしてください』
sgiは袋を破り、オレンジ色の飴を口に放り込んだ。じゅわりと甘さが広がり、喉の奥まで熱くなるような感覚。
sgi『……これ、すごく甘いな。しかも、なかなか溶けそうにない』
ymmt『……っ。……そりゃ、飴ですから』
sgi『そうだな。……これだけ長続きするなら、ホワイトデーまでずっと甘いもんが残ってそうだよ』
意味深に微笑むsgiに、ymmtはついに耐えきれず、資料で顔を覆って突っ伏してしまった。
ymmt『……sgiさんの、バカ。……もう知らないです……』
sgiはymmtの赤くなった項を眺めながら、口の中の飴をゆっくりと転がす。
sgi『(……「好きです」、か。直球だな)』
ホワイトデーまではあと一ヶ月。
sgi『(あいつがそのつもりなら……お返しも、同じ意味じゃないとフェアじゃないよな)』
sgiはスマホの検索窓を新しく開き、「ホワイトデー キャンディ お返し 意味」と入力した。そこにはバレンタインと同じく**『あなたが好きです』**の文字。
sgi『(よし。……3月14日、とびきり溶けにくいやつを用意してやるよ)』
隣で顔を伏せているymmtには内緒で、sgiはカレンダーのホワイトデーの欄に小さな印を書き込んだ。
(おわり)
バレンタインに渡す飴の意味
【飴】・・・貴方が好きです
長く続く関係に
変わらない関係