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中也side
太宰がポートマフィアから姿を消して、長い月日が経った。太宰がいなくなった時、ポートマフィアは一時騒然としていたが、今では中也が五大幹部になり、日常が戻っている。
ある日、中也は山積みになった書類に目を落としていた。
(はぁ…書類ありすぎだろぉ…一昨日から眠れてないってのに…)
その時、ドアをノックする音が聞こえて手を止めた。
「中也さん、首領がお呼びです。 」
「あぁ分かった、今行く。」
中也は書類仕事から顔を上げて部屋を出た。
「中也君、突然呼び出してすまないね。部下から中也君が夜通し仕事をしていると聞いてね。今日はもう帰って休みなさい。」
「そういう訳には…っ!」
「中也君、太宰君が組織を去ってから、自分のことを追い詰め過ぎだよ…私だけでなく、紅葉君も心配していた。」
「ですが…」
「これは命令だよ。 」
(首領にそう言われちゃ、下がるしか無い…)
「はい、分かりました。ありがとうございます。それでは失礼します。」
「うん、ゆっくり休んでね。」
そうして部屋を出た中也は、自分のセーフハウスに戻ってから、出かける準備をしていた。眠いのだが、どうも寝る気分になれなかったのだ。
中也は、あの時太宰が置いていった手紙をもう一度見た。中也は4年前からずっと、外出する時には必ずこの手紙を持ち歩いている。だがその手紙には、太宰以外の字で付け加えられた文が書いてあった。
“俺も愛してる”
それは中也の字だった。
中也は少し悲しい目をして、鞄に手紙を入れて、家を出た。