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※実際の団体、個人とは無関係です。
※歌ってみたを軸に派生していします。
※成人向けに準ずる表現があります。ご注意ください。
※その他捏造した設定が多く含まれます。
「あーあ、ボスともあろう方がお風邪ひくとはねぇ。」
風楽家の個人的なセーフティハウス。そこのソファへ横たわり、苦しげに呻く上司へと向かって雲雀は言った。
上司の前にしゃがみ込み、顔を覆う前髪を手で避けてやると、 真っ赤な頬と潤んだ青い目が露わになった。
『……ここには入るなと、言ったはずだが?』
言いながら、重たい動作で雲雀の手を振り払う奏斗。
体がだるいのだろう、振り払った後の手はソファから力無く垂れ下がっていった。
そんな奏斗の手を拾いあげるようにしながら、雲雀はぎゅっと優しく手を握った。
「そうはいかんよ。我らがボス様が苦しんどるんなら助けなきゃな〜。……ほら、ベッド移んべ」
『ん゙ー……』
奏斗は嫌だ、面倒だと言いたげな目線を投げかけた後、クッションへ顔を押し付けている。
マフィアのボスともあろう者がなんという威厳のない姿をしているのだろうか、他の部下にはとても見せられたものではない。
『寝れば、治るから…ここでいい……』
「だめやろ。スーツも皺になるし風邪も悪化するって。」
握った手を引っ張ってやると、奏斗はゆっくりと起き上がり、何度かまばたきをした。
寝癖とまではいかないが柔らかそうな金髪がところどころ跳ねている。
「寝巻き、そこにあるから先に着替えな。」
『あぁ…。』
ベッド端に畳まれた質の良さげなナイトガウンを指し示してやるが、ソファから起き上がった体勢のまま動かない奏斗。
冗談めかして手伝ってやろうか、とも聞いたが頷くばかりで反応が薄い。
どうやら相当しんどいらしい。
「奏斗、バンザーイ!ほれほれ」
『……ん。』
いつもであればキレるであろう雲雀からの子供扱いも受け入れ、奏斗は為されるがままになっている。
スーツとシャツを雲雀に脱がされ、薄着になった奏斗は悪寒のせいかわずかに震えていた。
だが、それを見逃す雲雀ではない。素早くナイトガウンを着せ、それから厚手の毛布をいくつか巻いた。
言葉通りに雲雀は奏斗に毛布をくるくると巻いた。
そのせいで奏斗はふわふわとした肌触りの良い毛布とナイトガウンに包まれ、ふくら雀のようになってしまった。
それでも不機嫌そうに眉根を寄せて奏斗は雲雀へ問うた。
『もういいか?』
「おう。横んなりな〜」
もそもそと緩慢な動作でベッドに移り、そのまま弱々しく横たわる奏斗。
転ぶのでないかと雲雀は内心冷や冷やしながらいつでも手が出せるようにその様子を見届けた。
毛布に顔を埋めた奏斗が猫のように丸くなるが足先がどうにもはみ出てしまう。
『…ひばり、』
「ん?……あぁ、はいはい。」
今にも眠ってしまいそうな眼で雲雀を見つめながら奏斗は名前を呼んだ。
察した雲雀は奏斗の足先をぎゅっとその手で包んでやった。
「温いやろ?」
『…ひばり、寝れるまで歌って』
足のことには触れることなく、その上 想定していなかった奏斗の発言に雲雀は目を丸くしながら、分かったと目を細めた。
幼いこどものような言い方をした奏斗に雲雀は断ることなどできなかった。
小さい頃、よく奏斗に歌ってあげた曲。
雲雀が歌い出すと、普段の強張ったボスの面はなく、奏斗は安心したような顔で眠りについていた。