テラーノベル
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いらっしゃいませ
ご来店ありがとうございます
注意
・死ネタ、流血表現あり
それでも良い方は行ってらっしゃいませ
pn「呂戊、準備できた?」
rbr「できたけど……兄さん、荷物多ない?」
pn「だってカメラ持ってきたから」
rbr「カメラだけやないやろ、それ」
pn「他にも色々必要なんだよ」
rbr「そうなんや」
呂戊は呆れたように兄の荷物を見る。
rbr「ま、時間やし行こ、兄さん」
pn「うん!」
二人は集合場所へ向かった。
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集合場所には、すでに何人かの参加者が集まっていた。
「皆さん、集まりましたか?」
ガイドが参加者を見渡す。
kr「今日ガイドをさせて頂くクロです。あだ名はクロノアですので、気軽に呼んでください」
kr「よろしくお願いします」
kr「今日は天気も良いので、景色を楽しみながら行きましょう。何かあったら遠慮なく言ってくださいね」
参加者たちがそれぞれ返事をする中、彩斗はその横で、すでに山の方を眺めていた。
pn「……すごいな」
rbr「兄さん、まだ登ってへんで。楽しみすぎやろ」
pn「だってこの山、前から来たかったし、見てよ呂戊!あの山肌めっちゃ綺麗じゃない?」
彩斗はそう言いながら、山の方を見る。
pn「……絶対いい景色あるって」
kr「ふふ、今日は天気もいいですし、いくつかおすすめの場所を回りましょうか」
pn「ほんとですか!?」
kr「はい」
pn「やった!」
rbr「兄さん楽しそうやな」
pn「呂戊は楽しくないの?」
rbr「俺は兄さんが喜んでるだけで楽しいから…」
pn「……」
rbr「兄さん?」
pn「……呂戊、今のもう一回言って」
rbr「嫌や」
pn「なんで!?」
クロが二人を見て笑う。
kr「仲いいですね、お二人」
pn「まあ、兄弟なんで」
rbr「兄さん、そろそろ行くで」
pn「うん!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
山に入り、10人ほどの登山客はクロの案内に従いながら山道を進んでいく。
pn「クロさん、あれなんですか!?」
彩斗が少し離れた場所にある岩を指差す。
kr「あれはですね――」
クロが足を止め、その場所について説明を始める。
pn「ほうほう……」
彩斗は興味津々に話を聞いている。
そのまましばらく歩いていると、クロが足元を指差した。
kr「皆さん、足元気をつけてください。少しぬかるんでるんで」
pn「え?」
彩斗が一歩踏み出した瞬間、
pn「うわっ」
足を滑らせた。
rbr「あっ!」
rbr「大丈夫? 兄さん」
呂戊がすぐに声をかける。
pn「痛てて……」
rbr「気をつけてよ、兄さん」
pn「いや! これでも頑丈だから!」
rbr「そういう問題ちゃうやろ」
kr「ふふ、気をつけてくださいね」
クロも苦笑する。
そんなやり取りをしながら、僕らはさらに山道を進んでいった。
しばらくすると、クロが少し先で足を止めた。
kr「私がこの山で一番好きな絶景スポットです」
pn「え、そんなに!?」
彩斗は慌ててクロのところまで駆け寄った。
そして、目の前に広がった景色を見て、息を呑む
振り返ったクロの先には、木々の間から広がる景色があった。
pn「……うわぁ」
呂戊も隣から景色を覗き込む。
rbr「めっちゃ綺麗……!」
kr「ふふっ、そうですよね」
クロは嬉しそうに笑った
彩斗は嬉しそうにすぐにカメラを取り出した。
pn「これ撮りたい!」
rbr「早く撮ってよ? みんな待ってるからさ」
pn「分かってるって!」
彩斗はカメラを構え、夢中でファインダーを覗く。
クロはそんな彩斗を見て、小さく笑った。
kr「じゃあ、撮り終わったら先に進みましょうか」
pn「はーい!」
彩斗がシャッターを切る。
カシャッ。
――その瞬間だった。
pn「……え?」
足元から、嫌な音がした。
ピキッ
足元を見ると地面に、細い亀裂が走っていた。
kr「皆さん!動かないでーー」
クロが叫んだその瞬間。
ピキッ――。
地面を走っていた亀裂が、一気に広がった。
pn「えっ――」
rbr「兄さん!」
誰かが叫ぶ。
次の瞬間、足元の地面が大きく崩れた。
「うわぁぁっ!」
「きゃあっ!」
「助け――!」
土と石が一気に斜面を流れ落ちていく。
彩斗は反射的に手を伸ばした。
pn「呂戊!」
rbr「兄さん!」
伸ばした手が、一瞬だけ触れる。
けれど――
二人の身体は、崩れた地面とともに斜面の下へと落ちていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
pn「…………」
どれくらい時間が経ったのだろう。
彩斗はゆっくりと目を開けた。
pn「……っ」
視界に入ったのは、見覚えのない木々と崩れた土。
pn「……ここ、どこ……?」
身体を起こそうとすると、あちこちに痛みが走る。
pn「痛っ……」
けれど、大きな怪我はなさそうだった。
彩斗は周囲を見回す。
pn「……クロさん?」
返事はない。
pn「……呂戊?」
――返事がない。
pn「呂戊?」
少し声を大きくする。
pn「呂戊!!」
rbr「……兄さん……」
pn「!」
かすかな声が聞こえた。
彩斗は慌てて声のした方へ向かう。
pn「呂戊!?」
そこには、土砂に埋もれかけた呂戊がいた。
rbr「……兄さん……」
pn「呂戊、大丈夫!?」
rbr「……たぶん……」
pn「たぶんって何!?」
彩斗は急いで呂戊の周りの土を払い始める。
pn「ちょっと待ってろ。今出すから」
rbr「兄さん……」
pn「何?傷が凄く痛む?」
呂戊は首を振る
rbr「……他の人は?」
彩斗の手が止まる。
pn「…………」
二人は周囲を見回した。
少し離れた場所に、倒れている人がいる。
「…………」
さらにその先にも、動かない人影が見えた。
そして、その周囲には崩れた土砂が広がっている。
彩斗は何も言えなかった。
さっきまで一緒に歩いていた人たちだった。
rbr「……兄さん」
pn「……うん」
rbr「クロさんは?」
pn「…………分からない」
彩斗は辺りを見渡した。
けれど、どこにもクロの姿はなかった。
彩斗は何度も辺りを見回した。
けれど、どこにもクロの姿はない。
pn「……クロさん……」
呼びかけても、返事はなかった。
rbr「……兄さん」
pn「……うん」
rbr「俺ら……どうなったん?」
彩斗は答えようとして、言葉に詰まった。
自分たちがいた道は、もう跡形もない。
土砂によって山道は大きく崩れ、さっきまで歩いていた場所との間には、深い谷のような段差ができている。
pn「……たぶん、俺たち……」
彩斗は一度言葉を止める。
pn「……みんなと離れちゃったんだと思う」
rbr「……そっか」
呂戊は周囲を見渡した。
rbr「クロさん……向こう側におるんかな」
pn「……分からない」
彩斗はカメラを握りしめた。
さっきまで、あんなに綺麗だった景色。
その景色を撮った直後に、すべてが変わってしまった。
pn「……助け、来るよな」
rbr「……来るやろ」
pn「……うん」
二人とも、そう言い聞かせるように呟いた。
彩斗は呂戊の方を見る。
pn「……まず、呂戊をちゃんと出さないと」
rbr「うん」
pn「待ってろ。もう少しだから」
彩斗は再び、呂戊の周りにある土を少しずつ取り除き始めた。
pn「呂戊、動ける?」
rbr「ちょっと痛いかも」
pn「そっか……」
彩斗は呂戊の様子を確認する。
pn「無理に動かない方がいいな」
rbr「兄さんは?」
pn「俺は大丈夫。ちょっと痛いけど、動ける」
rbr「そっか」
pn「……とりあえず、ここから出られる場所探そう」
rbr「うん」
pn「クロさんたちも、たぶん無事だよ」
rbr「……そうやとええな」
pn「大丈夫だって。きっと今頃、助け呼んでくれてるよ」
彩斗はそう言って、周囲を見渡した。
pn「……だから、もう少しだけ頑張ろう」
rbr「……うん」
彩斗は立ち上がり、周囲を見渡す。
pn「……あっち、行けそうだな」
rbr「ほんま?」
pn「うん。ちょっと見てくる」
rbr「待って、兄さん」
pn「ん?」
rbr「……一人で行かんといて」
pn「……分かった」
彩斗は呂戊の隣に戻る。
pn「じゃあ、一緒に行こう」
rbr「うん」
二人はゆっくりと歩き始めた。
けれど、少し進んだところで、彩斗の足が止まった。
pn「……あれ?」
rbr「どうしたん?」
彩斗の目の前には、大きく崩れた斜面が広がっていた。
pn「……道、なくなってる」
rbr「……ほんまや」
二人はしばらく、その場に立ち尽くした。
pn「……別の道、探そっか」
rbr「うん」
彩斗は辺りを見回す。
けれど、どこを見ても崩れた土砂ばかりだった。
pn「……まあ、まだ他に道あるかもしれないし」
rbr「そうやな」
彩斗はそう言って歩き出す。
その声には、まだ諦める様子はなかった。
二人はもう一度、帰れる場所を探し始めた。
しばらく歩いていると、呂戊が足を止めた。
rbr「……兄さん、ちょっと疲れちゃった」
pn「そうだよね。落ちてからずっと休んでなかったよね」
彩斗は呂戊の様子を見る。
pn「……気づいてあげられないお兄ちゃんでごめん」
rbr「いや、兄さんも大変やったやろ」
pn「でも……」
rbr「大丈夫やって」
呂戊は少し笑った。
rbr「それより、ちょっと休みたい」
pn「うん」
彩斗は辺りを見回す。
pn「あっち、少し座れそう」
rbr「ほんま?」
pn「うん。あそこで休もう」
彩斗は呂戊の歩く速度に合わせながら、ゆっくりと歩き出した。
二人は崩れた山道の端に、少しだけ平らになっている場所を見つける。
pn「ここなら大丈夫そう」
rbr「ありがとう、兄さん」
pn「いいよ。ゆっくり休もう」
二人はその場に腰を下ろした。
しばらくの間、誰も何も言わなかった。
聞こえるのは、木々の間を抜ける風の音だけだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どれだけ時間が経っただろうか
呂戊は段々口数も少なくなっていった
rbr「兄さん…」
pn「どうした…?」
rbr「帰れたらさ兄さんのいつもの山語り聞かせてくれや…」
pn「うん…聞かせるよたくさん話すよ…」
rbr「…初めて山に連れていってくれた時の景色綺麗やったな…」
pn「…うん綺麗だったね」
rbr「また…一緒に見に行こうな」
pn「…もちろん断る理由無いよ」
彩斗はカメラを取り出す。
画面には、あの日撮った景色と、そこに映る呂戊の姿があった
pn「…呂戊」
呼びかけに、返事は無かった。
pn「…お前がいるから綺麗だったんだよ」
それだけ呟き彩斗は写真を見つめる
ーー静かな山に風の音だけが響いていた
本日は2回目のご来店、ありがとうございました。長くて疲れましたでしょうゆっくり休憩し次の仕入れを楽しみにしておいて下さい。
またのご来店を、心よりお待ちしております。
くんちゃんさん
1,008
#魔法学園パロ
Sora🫧🐋
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コメント
3件
はいまたご来店させていただきます(?)
読み終えました……。 最初は穏やかな空気で始まった登山が、崩落で一気に変わるところは心臓がドキドキしました。特に、クロさんの姿がどこにもいなくなって、静かな山の中で「助け来るよな?」と問いかける台詞が胸に刺さります。 ラストの写真を見つめる場面も、切なくてずっと余韻が残ります。二人の距離感と繊細な空気感がとても好きです。続きが気になります……!