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おもろいよ
第4話:「告白騒動」
その日、教室は朝から妙にざわついていた。小夏が私の席に駆け寄ってきて、興奮気味に話しかけてくる。
「奈子、大ニュース!涼が誰かに告られるらしいよ!」
「えっ?」
突然の話に、私は固まってしまった。涼が…告白される?頭がくらくらする。そんなの、考えたこともなかった。まあ…当たり前か。涼はクラスの中心的人物だし、女子を相手にもしてるし。
昼休み、気になって仕方がない私は、1人で校庭に出た。小夏は
「ちゃんと見てきな〜!」
って軽々しく送ってくれた。
すると、遠くの木の下で涼が女の子と向き合っているのが見えた。その子は、同じクラスの渚だった。涼と話している彼女の顔が赤くなっているのを見て、私は息が苦しくなった。
…渚ってクラス一モテるじゃん。あーあ勝ち目ない。
終わった。まあ何となくわかってたけど。
すると突然、涼が渚の頭を軽く叩いて笑うのが見えた。その後、渚は駆け足で校庭を去っていく。私は何が起きたのか理解できず、ぼんやりと立ち尽くしていた。…?あいつ何やってんの?絶対、成功したやつだ。じゃなきゃ渚の頭ポンポンしないしょ。そこに涼がこちらに歩いてくる。
「奈子、何してんだ?」
「えっ、いや、涼…?別に…。たまたま。」
私はあたふたしながら答えるが、涼は特に気にした様子もなく、「さっき渚に変なこと言われてさ」と笑った。
「変なことって?」
「いや、なんか『ずっと好きでした』とか言われたんだけど、びっくりしちゃってさ。」
涼は照れて頭をかいた。その無防備な様子に、私は複雑な気持ちになった。
「………おめでとう」
「は?なにが」
照れるって。成功した証。涼は私相手に照れたことないから、、、。…苦しい。
「………………………………(お幸せに。」
ぼそっとつぶやいた。
「なんか言った?」
涼が聞いてくる。ほんと、そーゆーとこ。
「……じゃあね」
くるりと身を翻して教室に戻る。
失恋って超つらい。そんなのわかってる。
負けたのか。私はモテ女に。