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時は遡り…
視点ないこ
ないこ「…えっと、、初兎くん?だっけ。」
初兎「、コクリ」
ないこ「年は?」
初兎「…12です。」
俺の二つ、三つ?くらい下か…思ったよりも幼いのだな。
初兎「…おにーさんは、」
ないこ「?」
ビッッ
は…?
勢い良く何かを振り上げたと思ったら、この少年が俺の喉元に‘’カッターナイフらしきもの‘’を宛がっていた。
プツッ…
少し掠めた皮膚から滴状の小さな血が流れる。流れるって言うか…出る、?
それくらい微弱な物だったが、幼い少年が繰り出すインパクトとしては十分だった。
初兎「…おにーさんも、いむくんが欲しいの??」
いむくん、??誰の事だ。何を言ってる?それに、さっきからこの子は何を見ている???
妙に据わった眼に明確な意思を感じる。
いむくん?が何かは知らないが、ソレに害を及ぼす様なら今すぐに動脈をかっ切られるだろう。
12歳、なんだよな、??
ないこ「初兎くん、?…おちついて…」
ズイッ
顔が近づけられ、彼の瞳孔の開き具合に驚く。
何にそんなに焦っているんだ…
初兎「答えてや。いむくんを…僕の弟を、おにーさんも僕から取り上げようとするん??」
この状況じゃ喋るにも喋れないだろう…!!
喉スレスレに(てかほぼアウト)に刃物が当たっている為、喋って喉仏を動かすのも躊躇われる状況だ。
体術は習ってないのに…!!こんな事になるなら護身術くらい教えて貰っとけば良かった、!!!
非力な俺に乱暴するなんて、教育のなってないガキだな…!
(後に最強になる男。)
フルフル
必死に考えた結果。俺は黙って首を横に降ることにした。
初兎「…よかったぁ、!!」
パッ
カッターの刃がカチカチと仕舞われ、綺麗な服のポケットに吸い込まれていく。
ないこ「…」
そうして離されると、俺は黙って首元に手をやった。
微かながらのヌルリとした感触。少し暖かいのが妙に生々しくて、目眩がしてくる。視線を前に戻すと教会の外で見た、あの笑み。
天使の様な…明るく、純白な。
首を横に降っただけ、なんの証拠も無い行動一つを信じられるくらい純粋なのに、目の前の顔はあどけない少年のままなのに、
けれど今、俺にはそれが、不安を煽る恐怖対象でしかなかった。
初兎「ッ!大変!!血が出とお!!…ばんそーこ、絆創膏…あった!これ、良かったら使ってくださ…」
パシ…
初兎「ッ…」
ないこ「ぁ、ああ、!ごめん。ありがとう…」
無意識に身体が強張っていて、意図せず内にこの子を拒絶した。
初兎「ぁ…」
幼い大きな目がゆらゆらと揺れている。
今にも泣き出しそうな表情に動揺を隠せない。
殺そうとした相手だぞ、、??!どういう精神状態してんだ…
とは言いつつ、あの屋敷で厄介な物を埋め込まれたらしい。
ないこ「…甘いものは好き??」
子供にそんな顔、させらんないよなぁ…
あの子達と戯れる中で築いた、できるだけ優しい声色で伺う。
初兎「すき…やけど、、」
ないこ「なら良かった!!笑」
とにかく話を聞こう。殺意を向けられたと言っても、まだ15にも満たない子供だ。
少なくとも桃李に直接依頼が来てるんだ。何か事情があるに違い無い。
ないこ「俺、ここ初めてでさ、案内してよ。笑」
初兎「ぼくが…?」
ないこ「そ!おにーさん疲れちゃったからさ、おすすめの喫茶店とか!」
初兎「わ、かった、!!」
くしゃっ
ないこ「ありがとお!!笑」
身体の強張りはもう無い。恐怖心も消えた。
あとはこの子の‘‘闇’’に向き合うだけ。
そう心で唱えて、傷と共に貰った小さな兎柄の絆創膏を、首元に張り付けた。
一方その頃…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー教会ーーーーーーーーー
視点ライ
桃李の旦那、男には引けない時があるんです…って、え、??
桃李「だっはははははははは!!!笑笑」
良い年にもなってまだ‘‘あの癖’’が治ってなかった事に驚愕する。
水兎「な、なに笑ってるのよ…!!?」
勘弁してくださいよ旦那…水兎ちゃんだって困ってる、笑
桃李「拳銃かぁ!!笑。しかもいきなり発泡て、、!!笑笑…あ゛ー、たまんねぇ、、、♥️」
旦那…もうそろそろ自覚してくれませんかね、、
桃川桃李には、誰にも言えない…と言うか自分でも気づいていない、所謂‘‘性癖’’なる物がある。
水兎「なにがなんだかわからないけど…子供達に手を出すならッ…!?」
銃を構える水兎の死角になる様にしゃがみ、そこから拳銃目掛けて鋭い蹴りが入った。
カランッ
拳銃が床に転がる音がする。
思わず目を瞑った水兎が次の瞬間に見た光景は、頬をほんのり染めた桃李の腕の中だった。
桃李「おっと、乱暴して悪いね?レディ。」
僅か一秒にも満たない間に、女と言えど拳銃持ちを無力化させた。
勿論、水兎自身を傷付ける事なく。
…水兎ちゃんを傷付けない為とは言え、少し妬けてしまいますよ。旦那。
内心子供っぽい言葉が浮かんだが、自身のお嫁さんに余裕の無い男だと思われたくは無いので、そっと飲み込む事にした。
さりげなく旦那の手から彼女を取り戻し肩を抱く。
これくらいは許して欲しい。
ライ「…はぁ、全く貴方って御人は、、。」
近くにあったテーブルに適当に銃を置くと、旦那の丹精な眉は八の字に下がった。
桃李「なんだライ。降参か?(しょぼ、)」
…、
ライ「違いますよ。大体、貴方本気じゃなかったでしょう?」
桃李「気付いてたのにやらせたのか??性格悪ィなぁお前」
イラッ
ライ「途中からですよ、途中から…!」
水兎「(こんなに怒ってるライさん初めて見たな)」
ライ「ふぅ、、、、…それで?貴方から見て、私達のふるまいは依頼を受けるに値する価値はありましたか?」
桃李「そりゃもおバッチリよ!!」
水兎「本当!?✨これ、少ないにだけれど、お代…」
桃李「ああ要らねぇよそんなもん。」
水兎「え?でも、、」
桃李「良いんだ良いんだ。お前らにはついさっき、‘‘イイ思い’’させて貰ってから!!」
水兎「、、、??」
ライ「…気にしなくて良いんじゃないかな、桃李の旦那は、そういう御人さ笑」
本当に趣味の悪い…笑
皆さんお分かりの通り、桃李は他者を追い詰め成長させ、その後自分が痛い目に合う事にどうしようもなく興奮する‘‘変態’’だ。
良く言えば教育者向けではあるが…(相手が鬼メンタルの場合)
悪く言えば下克上フェチ。
つまり、桃川桃李の人には言えない性癖とは…『無自覚ドSM』だ。
『無自覚』だからこそタチが悪い。本当に。
桃李「お前らのあの目付き…!!はァ♥️~、、、…余韻ヤベェ…////」
ライ「…あの、依頼内容聞いて貰って良いですか、?」