テラーノベル
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あのあと適当な喫茶店に足を運んで、(桃李の金で)初兎くんにしこたま甘い物を摂取させた後、本題に入る事にした。
因みに頬袋いっぱいにパンケーキを詰め込む初兎くんはめっちゃかわいかった。初兎ちゃんだった。
ないこ「それで、聞かせてくれる?弟くんの事。」
そう尋ねると、初兎くんは戸惑いながらもフォークを止めて、話し始めてくれた。
初兎「…、いむくんは、、」
ーーーーーーーーーーーーーーーー同時刻ーーーー
視点桃李
水戸「仏は…産まれが特殊なの。」
桃李「ほお??」
産まれが特殊、とな。
有栖仏。もとい稲荷仏は、神々の住まう街、二番街で産まれた。
稲荷教の評判はとても良く、二番街が「神々の住まう街」と呼ばれた由縁でもある。
彼の産まれは稲荷家であり、本来ならば彼もまた、神の子として崇め奉られる筈だった。
仏が産まれたその直後、母親の夫。つまり仏の父親の浮気が発覚したのだ。
相手は教徒の女。その腹に夫の子種を宿し、その女は民衆に向かってこう叫んだ。
『私こそが真に神の妻に相応しい!!』
まともな思考回路を持っていればこんな馬鹿馬鹿しい事聞き入れない。信者は神を信じる物だ。神の不貞など認めるものか。
実際、この女がそう叫んだ時、誰も信じる者など居なかった。
無論、妻は怒り狂い、夫を問い詰める。
立場の悪くなった夫はこう考えた。
いっその事、この女を棄てて仕舞おうか。
夫は、妻を悪役にする事にした。
奴は悪魔だ。私は騙された。たぶらかされていたのだ。
民衆が信じる訳無い。彼女はそう信じていた。
が、信仰心とは時に凶器となり得る。
『神がそう仰った。』『教祖様のお言葉は神からのお達し。』『神に仇なすこの売女めが。』
民は盲目だった。
教祖様が言ったのだから。
それだけで悪も善にひっくり返った。
彼女は絶望した。
愛した男に裏切られ、
慈悲深く接した民に罵倒を浴びせられ、
許せない女は幸せになった。
彼女の心は壊れてしまった。
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仏「ぅぁっ、あ゛ー!あ゛ぁー!!!(泣)」
母親「(…五月蝿い。)」
山道。誰も居ない。会いたくない。
仏「あーあ!!!あぁ゛あ!!!(泣)」
私の子。産まれたばかりの、私の子。
…でも、
母親「もう、疲れた。」
…ごめんね。
仏「ぁ、、あぅ、??」
ダンボールにタオル。質素な作りのベッドだわ。
仏「ひ、、ぅ゛っ、」
こんな所に我が子を置いていくなんて、正気じゃない。
仏「、あ。」
正気じゃないのよ。もう。
母親「さよなら」
ちゃんとした母親になれなくて、ごめんなさい。
嗚呼、もう死のう。
仏「まぁ、、ま、???」
母親「ッ、」
辞めて。
振り替えるな。足を止めるな。今更だ。今戻った所で、今、戻った、ところで…
仏「ままぁ、、!!」
母親「っ、、ほとけっ、、!!(泣)」
戻ってしまった。
抱き締めてしまった。
今更なのに。
離れるって決めたのに。
母親「ちゃんとッ、、ママに成れなくて、ごめんね、ごめんねっ(涙)」
仏「、?ま、?ま?」
丁度良いところに割れた酒瓶が、
ごめんなさい仏。凄く、凄く無責任な事を言うのだけれど、
幸せになって欲しい。
私の事なんて忘れて、幸せに。
でも、、もし、もし次もまた私の元に産まれて来てくれるなら、その時は、
ちゃんとしたママに成れるように、頑張るから。
どうか仏。これからは幸せに
母親「生きてねっ(涙)」
ニコッ
グサッ!!!!
パタタタタタタッッッッッッ!!
仏「まぁ、ま、??」
ポタ、ポタ、
その日、赤子は一人になった。
その身体を、真っ赤に染めて。
コメント
3件
えっ、、💎くんは別の家の子ってことと二番街出身なのはわかってたけどまさかの母親がそんな事になってたとは…そんでもって父親許せないですね。さっさと56しに行きましょう。てかまだ生きてます?今過去の回想ですよね?これ知ったら🍑さんそっこーやりに行きそうだけど。