空はあんなに透き通っていたのに。魔物が棲むような黒い雲に飲み込まれた。
アイラ「嘘……嘘でしょ!? 急に波が高くなって……!」
セレン「アイラ、前が見えない! 波が……船と同じくらいの高さがあるわ!」
(激しい衝撃)
船首が波頭に突っ込み、大量の海水がデッキを洗う。
アイラ「舵が……舵が効かない! 後ろから波に押されて、船尾が持ち上げられてるの!」
セレン「アイラ、危ない!!」
次の瞬間、巨大な「追い波」が船尾をさらった。
船体は抗う術もなく横を向く。
視界が上下逆さまになり、冷たい海水が鼓膜を突き破らんばかりに流れ込む。
(暗転。肺に焼けるような痛み。水中でアイラの伸ばした手が、泡と共に遠ざかる――)
「……っ!!」
目が覚めると、そこは別荘の寝室だった。
(顔面蒼白なアイラ)
アイラ「ぜー。ぜー。ぜー……」
セレン「大丈夫?」
アイラ「だ、大丈夫よ。……ただ、少し怖かっただけ」
セレン「そばにいるよ。ずっと」
アイラ「ありがとう、セレン……」
私は、アイラに寄り添いながら横たわった。
嵐の夜、私たちは共に支え合い生きていきたいと思わず願ってしまうのであった。






