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忘れもしない、あの時の君の姿。
太陽が眩しく光り、とても眩しかった。
耳に響く蝉の声、
君のどこか哀しそうな顔。
なにも出来なかった。
なにも気づけなかった。
何かしていたら、どこかで選択を変えていたら、
何か、変わっていたのかもしれない。
「……噂?」
俺_黒井乃亜__は、同級生の緑寅虎に、講義室で話しかけられた。
「はい。ここ最近の話題はそればかりで……」
「知ってますか?」
「夜霧殺人事件。」
「__それって、今ネットで話題になってる…… 」
「そうです。」
夜霧殺人事件。
それは、ここ数週間連続している殺人事件。
被害者は毎回、夜、同じ時刻に殺される。
そして、その事件はここらの地域でよく起こっているのだ。
「それが…どうしたの?」
「その犯人が、この大学に居る…」
「そんな噂があって」
「ぇえ?」
「可笑しな話ですよね」
「はは、そうだね」
「でも、物騒な話だね」
「はい、まぁそんな噂、数日経ったら無くなると思いますけど…」
「そーだね」
そんな他愛ない話をして、
大学を出ようとした時。
通路で、ある人とすれ違った。
何だか、見覚えが在るような……
いや、気にしすぎだろうか。
そのまま、特に考えもせずに帰った。
今日はやけに暑い。
そういえば、ニュースで猛暑日って言ってたな__
毎年、この時期になると思い出してしまう。
あの時、あの日の事を。
よく笑っていた。
それは、最後まで同じだった。
いつも俺の先を行っていた。
明るくて、優しくて。
でも___
「ま縺�あシ_た!」
「っ!!」
「はぁ…っはあ…」
「……夢、……」
いつの間にか家に居た。
ここにくるまでの記憶は……あまり覚えていない。
熱帯夜ということもあってか、蒸し暑い。
この汗は、先刻見た夢と、この暑さによるものだろう。
冷房を付けようとリモコンを取ったところで、手が止まる。
ピンポーン
「こんな深夜に……」
重い身体を起こし、玄関へと向かう。
扉を開けると___