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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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何度も過去に戻りたいと思った。

子供の時は友達がいっぱい居て、

笑えたのにって。

昔は勉強も簡単で楽しかったのにって。

何度もそう思う今。


部活が終わり、

学校から帰っているときある少女に会った。

明らかにやばい雰囲気がした。

なんてたってその子は全身が真っ黒で、

まるで影のような姿をしていたからだ。

私が驚いて凝視していると

「マチガイサガシ〜!」

「期限は3日」

「いつもと違う日常が明日から3日間始まるよ」

「答えは何個あるか数えてみて!」

「間違えると罰ゲームも用意してるからね!」

そう言って目の前から姿を消した。

なんだか声が人間のような透き通った声ではなく、

ノイズがかかったような声だった。

それより今のはなんだったのだろうか。

幻覚…?

しかも間違えると罰ゲーム…。

まぁきっと誰かのイタズラでしょ!

そう思い、私は足早に家に帰った。

この時はただの夢…そう思っていた。


目が覚めると、そこはいつものベッドの上。

やっぱり夢だった。

そう安堵しつつ、私は学校に向かった。

いつものように授業を受け。

いつものように友達とふざけあい。

いつものように過ごした。


だけどなんだかおかしい。

どこか違和感を感じる。

私の友達って私含め、3人だったっけ?

それにこの怒りの気持ちは何…?

なんだか周りの人も私のことを睨んでくるような…。

それと、友達に無視される時があるような…。

ただの思い込みだろうか。

一瞬そう思ったが違うと断言出来る。

やはり昨日の

” マチガイサガシ “

のせいだろうか。


それから過ごしていくうちに

その違和感は感じなくなった。

もしくは慣れてしまったのかもしれない。

学校に行ったら誰もが私を無視し、

居ない者のように扱う。

友達は私を置いて2人だけの会話。

やっと話せると思ってもなぜだか睨まれる。

しかも、なんだかいつもより、

気持ちが弾まない。


やっぱりおかしい。

気づいてないだけでやっぱり違和感を感じる。

今過ごしているこの世界は

私がいつも過ごしていた世界と

異なる世界だと思った。

多分、それが ” マチガイ “ なのだろう。


それと、もう1つ気づいたことがある。

それは、

この3日間の生活がどこかデジャヴを感じたこと。

この気持ちを私は知っている。

寂しい気持ちが怒りに変わることを。

周りを、全ての人を、敵だと思ってること。

頼られたのにそれ相応のことが出来ないと

自分を責めてしまうこと。

友達がいつか裏切るんじゃないかと

思ってしまうこと。

過去を見誤っていること。


そんなこと思いながらも、

ついに約束の3日が経ってしまった。

とぼとぼと家に帰っていると

またあの少女が現れた。

「マチガイは見つけられた?」

「うん…」

私が力無さげにそう答えると、

にんまりと笑いながらこう言った。

「じゃあマチガイは何個?」

「6個!」

「どう?正解でしょ?!」

そう自信満々に答えたが、

「ブッブー、不正解」

「え?なんで!?」

「罰ゲームだね」

そう言いながら少女は徐々に私に近づいてくる。

なんで不正解なんだろう。

どこで間違ったんだろう。

そんな言葉が頭の中で飛び交った時、

1つの言葉も飛び交った。

それは今日の授業での詩の言葉。

『自分らしさが分かる人は何度も脱皮した。だが、自分らしさが分からない人は1度も脱皮をしていない』

『自分らしさを理解するのはポジティブへの第1歩だ』

その時私の体が黒く滲み出す。

周りの人を見たが、

周りの人は黒くなく、

むしろ光っている。

そうか。

きっと私は脱皮が出来てないんだ。

子供の頃のあの楽しい気持ちを忘れて、

今しか見ていなかったから。

脱皮できていなかったんだ。

私は自分らしさが分からなかったんだ。

そう思っているうちに少女との距離は

縮まるばかりだった。

だから私は急いで自身の体に付いている

黒く汚れた薄い何かを一生懸命取り払った。

あと一歩で少女が私に触れてしまう。

そう思った瞬間、私の身体は光出した。

周りの人の誰よりも強い光で。

それと同時に少女の黒い靄が晴れたんだ。

中から見えた姿は、幼少期の私だった。

私が目を丸くしていると

「ずっと忘れないでって言ってるのになんで私のことを忘れるの?」

「私を忘れたら今を楽しめないんだよ!」

「未来の私は友達に好かれて、素直で優しい子なんだよ!!」

「なのに私の悪い部分ばかり見てたから私は黒くなっちゃったの!!」

そう叫ぶように。

訴えるように。

泣きながら私にそう言った。

いつの間にか私の頬には涙がつたっていて、

胸が苦しくなる。

「ごめん…ごめんなさい…」

「今も未来も見なきゃだけど、私の楽しかったあの気持ちを忘れないで欲しい」

そう言った後その少女は消えた。

まるで成仏したかのように。

儚く消えていった。

もしかしたらあの少女は

私自身じゃなかったのかもしれない。

それでも私の心の靄を晴らしたのは

あなただから。

あなたを私の心に置いて、共に生きていこう。

そう思った。


私はあの ” マチガイサガシ “ の日から

考えを改めた。

何を言われても何をされても、

ありのままの私で行動をしたら、

周りに自分らしさを伝えれるから。

そう考えることにした。

周りの人にも、

その人らしさがあるから考えを尊重すること。

世間が正しいことは

全てが正しいという訳では無いこと。

もし、脱皮できていない人がいるなら、

私なりに助けてあげること。

それが

” 私らしさ “

の生き方だと思う。

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