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『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところに闇は生まれる〜
最終章 『狙われた名探偵の妹』〜名前に付けられた本当の意味〜
第4話 煮え滾る怒り
東の大地 フガヤマ 旅館
ガシャンっ!
『え……?百合菜が…?』
私は持っていた湯呑みを落とす。
『申し訳ございません…。我々が着いていながら…。』
『そんな…百合菜…っ。』
私は旅館から出ようとする。
ガシッ!
『どちらへ行かれるのですか。』
『っ、決まってるでしょう…百合菜の所よ。
私の責任よ、姉として守れなかった!必ず…守るって約束、したのに……っ。』
私は涙目になる。
『麻里衣様…。』
『主様…責めるなら俺を責めてくれ。俺が一番近くにいたのに守れなかったんだ。』
『っ、ボスキさんだけではありません、私もです、主様。』
『私が守れなかったのです、すみません…主様……。』
『ボスキ達のせいじゃないわ…。悪いのは百合菜を攫った連中よ。許さない…っ。』
『主様…。』
『っ…。』
私は涙を拭う。
『ナック、その手紙を見せて。』
私はナックから手紙を受け取る。
『悪魔執事の主、麻里衣。お前の大切なものは頂いた。返して欲しければ今日の夜、お前一人で私の屋敷に来い。リリシュナ・ボルド』
と、屋敷の場所まで詳しく書かれていた。
『……最初から私を誘い出すのが目的だったみたいね。』
『主様、リリシュナ・ボルドって…。』
『えぇ…。過去に私が事件を解決した時の犯人よ。』
数年前――。
『貴方は巧みなアリバイを作り、疑いの目を逃れた。だけど、私のこの瞳の前では嘘偽りなどつけないわ。』
『くそ……っ。お前がお前が来なければこんな事にならなかったのに…!』
『…憲兵様、この方を連れていってください。』
『今に見ていろ!いつかお前に復讐してやるからな!!お前の大切なものを全て奪ってやる!!』
『……。』
『そんな、ただ逆恨みじゃないですか!』
『本当にね…。私が狙いなら最初から私を狙えばいいのにね。』
『主様、これは罠です。1人でいったら確実に…。』
『そうね…殺される、かもしれないわね。
でも…そうしないと百合菜は助からないわ。 』
『主様……。』
『…お母さん、お父さん。私にお稽古を習わせて厳しくしたのはこの為だったのね…。』
『主様……?』
『母が言っていたの。百合の花言葉はね、純粋で無垢…。そうなって欲しいと言う意味を込めて百合菜という名前をつけたの。反対に私は麻里衣……。鞠金の花言葉は勇者。勇者のように強くあれ。と、付けられた名前なんですって。だから私は姉としてその名前に相応しいように生きてきた。妹を守る為に出来ることは何でもやったわ。勉学も護身術も…。』
私はコツコツと歩き、自分の荷物から剣を取り出す。
『主様、それは…。』
『私は剣道の心得もあるわ。全ては百合菜を守る為に身に着けたものだから。』
私は剣を抜く。
『美しく純粋無垢に咲いた百合の花を守る為に私はこの剣を振るうわ。』
『主様はお強いですね……。流石我々の主様です。でも、1人でなんて行かせません。』
みんなは私の前に跪く。
『みんな…。』
『我々は主様の執事です。執事は主様の傍で仕えてこそ幸せを感じられるのです。』
『どうぞ、御命令を。主様。』
『…みんなで必ず百合菜を救うわよ。』
『えぇ。もちろんです。主様。』
その頃、リリシュナ・ボルドの屋敷
『本当に瓜二つだな。あの赤い瞳以外は。』
『お姉ちゃんに何の恨みがあってこんなことふるの…っ。』
『恨み?あぁ、そうだな。あいつのせいで貴族の俺は牢屋にぶち込まれた。屈辱だったよ。悪魔執事の主で、ただの女に侮辱されるとは。』
『ただの逆恨みじゃない…!お姉ちゃんはただ仕事をしただけであなたがただ勝手に……』
『声までもそっくりだな。気に食わねぇ…あいつが来る前にその顔に一生残る傷をつけてやろうか。』
『く…っ!』
『ふん、やめだ。あいつの目の前でお前をいたぶる方が気持ちいいからな。』
『っ…。』
『ボルド様。悪魔執事達が来ました。』
『あ?1人でと言ったはずだがこの際いいか。門を開けろ。』
ギィィ……。
『……。』
『ようこそいらっしゃいました。麻里衣様、悪魔執事の皆様。』
『ミヤビさん…っ?貴方がなんで…。』
『私もあちら側の人間という訳です。さぁ、中でボルド様がお待ちです。』
『っ……。』
私は屋敷の中に入る。
コツコツ……。
『来たか。悪魔執事の主。』
『ボルドは何処。』
『ボルド様は屋上だ。ボルド様の前に我々がお前の相手をする。』
武装した男達が武器を構える。
『…主様。道は我々が作ります。主様は屋上を目指して下さい。』
執事たちは武器を構える。
『えぇ。ありがとう。』
私は剣を構える。
チャキッ。
『はぁぁ…っ!!』
『くっ!』
ガキンッ!
『邪魔しないで…百合菜を返して…!!』
『ぐあっ!!』
私は剣で弾き飛ばす。
私は走って階段を上る。
『百合菜、百合菜――っ!』
廊下を駆け抜ける。
バタンッ!
屋上の扉を開ける。
『はぁ、はぁ、はぁ…っ。』
『早かったな。』
『お姉ちゃん…っ。みんな…っ。』
『主様!良かった、ご無事で…。』
『百合菜…。』
『お姉ちゃん…っ。』
『ボルド、私の妹を離しなさい!』
『はいはいって離すと思うか?』
俺は百合菜の手を掴み屋上の柵の外に出す。
『っ…!』
『嫌!!やめてぇ!!』
『百合菜様!』
『おっと、動くなよ?動いた瞬間こいつを落とす。麻里衣。選ばせてやるよ。妹を守るために俺を殺すか。俺を殺すために妹を見捨てるか。』
『……。』
『お姉ちゃん、ダメ…っ。私のことは気にしなくていい。こいつを倒して…っ。』
『主様……っ。』
次回
最終話 これからも私の傍にいて
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